『ジョジョの奇妙な冒険』という長く壮大な物語の系譜に、また新たな伝説が刻まれ始めました。シリーズ第9部となる『The JOJOLands(ザ・ジョジョランズ)』。これまでのジョジョとは一線を画す、どこかヒリついた現代的な空気感に、世界中のファンが熱狂しています。
今回の舞台は、青い海と鮮やかな陽光が降り注ぐハワイ。しかし、そこで描かれるのは爽やかな観光旅行などではありません。一人の少年が「大富豪」へと昇り詰めていく、野心的で、少し危うい、仕組み(メカニズム)をめぐる物語です。
この記事では、現在進行形で進んでいるジョジョ9部のあらすじや、物語の鍵を握る謎、そして主人公ジョディオ・ジョースターが目指す「大富豪への道」の正体について、徹底的に解説していきます。
主人公ジョディオ・ジョースターの異色なキャラクター性
歴代のジョジョを思い返すと、正義感に溢れた熱血漢や、運命に抗う誇り高き精神の持ち主たちが並びます。しかし、第9部の主人公ジョディオ・ジョースターは、そのどれとも異なる、非常にドライで現実的な少年です。
15歳のジョディオは、ハワイで母と兄のドラゴナと暮らす一見普通の少年ですが、裏の顔は麻薬の運び屋。彼は自分のことを「社会の仕組み」の中で立ち回る駒であると自覚しており、ある種、反社会的な場所を自分の居場所として選んでいます。
特筆すべきは、彼の行動原理が「正義」ではなく「大富豪になること」という極めて物質的、かつ明確な野心に基づいている点です。これまでの部では「黄金の精神」が強調されてきましたが、今作では「金を稼ぎ、システムを攻略する」という現代社会のリアルな欲望がエンジンとなっています。
そんな彼の傍らにいるのが、兄のドラゴナ・ジョースター。ファッションを愛し、自身のアイデンティティを大切にするドラゴナは、ジョディオにとって唯一無二の理解者です。この兄弟を中心に、はみ出し者たちが集まって「チーム」を組み、大きな「仕組み」へと挑んでいく様子は、第5部『黄金の風』を彷彿とさせるワクワク感があります。
舞台はハワイ!物語を動かす「600万ドルのダイヤモンド」
物語の幕開けは、ジョディオたちが所属するチームに下された一つの指令から始まります。それは、ハワイに滞在している「ある日本人」から、600万ドル相当のブルーダイヤモンドを盗み出すという強奪計画でした。
この「日本人」の正体が、実はファンにはお馴染みのジョジョの奇妙な冒険 第4部に登場した漫画家、岸辺露伴であったことが判明し、連載当初は大きな衝撃を呼びました。しかし、物語の本質は単なるファンサービスに留まりません。
別荘に侵入したジョディオたちは、そこでダイヤモンド以上の「謎」に遭遇することになります。それは、特定の条件下で価値のあるものを引き寄せる「溶岩(火山岩)」の存在です。この小さな石ころが、今後の物語を大きく左右するキーアイテムとなっていくのです。
ダイヤモンドという分かりやすい富の象徴と、溶岩という超自然的な価値の象徴。この二つの対比が、ジョディオの目指す「大富豪」への道のりに深みを与えています。
スタンド能力の進化と「仕組み(メカニズム)」の概念
ジョジョといえば、精神エネルギーを具現化した「スタンド」が最大の見どころ。第9部でも、個性的かつトリッキーな能力が続々と登場しています。
ジョディオのスタンド「ノーベンバー・レイン(11月の雨)」は、自分の周囲に非常に重い「雨」を降らせる能力です。物理的な圧力で敵を押し潰すこの能力は、派手なパンチの連打ではなく、じわじわと相手を制圧する冷徹さを持っており、ジョディオの性格をよく表しています。
一方、ドラゴナの「スムース・オペレイターズ」は、物体の位置をスライドさせて移動させる能力。パコの「ザ・ハッスル」は自身の筋肉を自在に操る能力、ウサギの「THE MATTEKUDASAI」は誰かの願いを形にする能力と、どれも直接的な破壊力よりも「応用力」や「状況変化」に特化したものばかり。
そして、これらの能力を使ってジョディオが攻略しようとしているのが、彼が頻繁に口にする「仕組み(メカニズム)」という概念です。
ジョディオは言います。「この世の中は仕組みで動いている」と。例えば、物流のシステム、法律の穴、あるいは人の心の動き。それら不可視のルールを理解し、その波に乗ることができれば、持たざる者でも頂点に立てる。この「仕組み」を味方につける戦いこそが、第9部の真のバトルフィールドなのです。
溶岩の謎と第7部・8部からの繋がり
『ジョジョの奇妙な冒険』は、第7部『スティール・ボール・ラン』から世界観が一新されています。第8部『ジョジョリオン』を経て、この第9部は同じ世界の延長線上にあります。
注目すべきは、第8部で物語の中核を担った「等価交換」や「大地のエネルギー」というテーマが、今作の「溶岩」にも引き継がれている点です。露伴が所持していた溶岩には、近くにある「価値あるもの」を磁石のように引き寄せる不思議な性質がありました。
なぜ露伴がそれを持っていたのか? そして、その溶岩がどのようにして生まれたのか? これらは、第8部に登場した「ロカカカの実」や「壁の目」といった謎とリンクしている可能性があります。
ジョディオは、この溶岩こそが「大富豪」になるための最強のツールになると確信します。物理的な金ではなく、「富が集まってくる仕組みそのもの」を手に入れようとする彼の戦略は、これまでのシリーズにはない知的な興奮を読者に与えてくれます。
現代社会への鋭い批評と「人間讃歌」
荒木飛呂彦先生が描く「人間讃歌」は、時代とともにその形を変えてきました。第9部で描かれているのは、格差社会、情報の不透明さ、そして「持てる者」と「持たざる者」の境界線です。
ジョディオたちが置かれている環境は決して恵まれたものではありません。しかし、彼らは悲観することなく、むしろシステムをハックするように、自分たちの手で運命を掴み取ろうとします。
SNSが普及し、誰もが数値化される現代において、ジョディオの言う「仕組み」は、私たち読者にとっても他人事ではありません。どうすればこの複雑な世界で生き抜いていけるのか。その答えの一つを、ジョディオの「大富豪への道」の中に見出せるのかもしれません。
また、仲間たちとの連帯感も今作の魅力です。目的は金であっても、そこには確かに信頼関係が存在します。互いの欠点を補い合い、スタンド能力を組み合わせて強大な敵に立ち向かう姿は、まさにジョジョシリーズがずっと描き続けてきた「チームの絆」そのものです。
今後の展開:さらなる敵と家系図のミステリー
物語はまだ序盤を終えたばかりですが、すでに多くの伏線が散りばめられています。最大の関心事は、やはりジョースター家の家系図におけるジョディオの立ち位置です。
第8部のラスト付近で明かされたジョセフ・ジョースターの系譜。ジョディオはその末裔にあたりますが、彼がどのようにしてハワイに渡り、現在の生活を送るようになったのか。その背景には、まだ語られていない一族の宿命が隠されているはずです。
また、溶岩を狙う謎の勢力も姿を現し始めています。彼らもまた、世界の「仕組み」を利用しようとする者たち。知略と能力が交錯するコンゲームのような展開から、一瞬も目が離せません。
ジョディオが最後に手にするのは、札束の山なのか、それとも目に見えないもっと大きな「何か」なのか。彼の成長とともに、ハワイの島々を巡る冒険はさらに加速していくでしょう。
ジョジョ 9 部「ザ・ジョジョランズ」のあらすじ・謎を徹底解説!大富豪への道と仕組みの正体とは?まとめ
ここまで、第9部『The JOJOLands』の魅力を多角的に見てきました。ハワイという鮮やかな舞台装置、ジョディオという新しいタイプの主人公、そして「仕組み」という現代的なテーマ。これらが複雑に絡み合い、全く新しいジョジョの世界を作り上げています。
もしあなたがまだこの物語に触れていないのであれば、ぜひThe JOJOLandsを手に取ってみてください。そこには、第1部から続く「運命」の糸が、現代のデジタルで資本主義的な空気と混ざり合い、これまでにない輝きを放っている様子が描かれています。
ジョディオが「大富豪」になるまでの道のりは、きっと険しく、予測不能な事態の連続でしょう。しかし、彼ならきっと「仕組み」の正体を突き止め、その頂点に立ってくれるはずです。
私たちの生きるこの世界も、ある種の「仕組み」で動いています。ジョディオの冒険を追いかけることは、私たちがこの複雑な現代をどう生き抜くか、そのヒントを探す旅でもあるのかもしれません。これからの展開に期待しつつ、ジョースター家の新たな伝説を共に見守りましょう。

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