『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいると、ふと「この名前、どこかで聞いたことがあるな?」と思う瞬間がありませんか?それもそのはず。作者の荒木飛呂彦先生は大の洋楽好きとして知られ、登場するキャラクターや特殊能力「スタンド」の名称のほとんどが、実在するロックバンドや楽曲から引用されているからです。
ジョジョの世界において、音楽は単なる名前の貸し出しではありません。その曲の歌詞、アーティストの生き様、さらにはアルバムのジャケットに至るまで、物語の核となる「運命」や「能力」と密接にリンクしています。
今回は、ジョジョの深淵な魅力を「ロック」という切り口から徹底的に紐解いていきましょう。元ネタを知れば、あなたのジョジョ愛はさらに加速するはずです。
宿敵ディオとヘヴィメタルの神が交差する「悪の美学」
ジョジョの物語は、19世紀の英国で幕を開けます。第1部からの宿敵、ディオ・ブランドー。彼の名前の由来は、ヘヴィメタル界の伝説的シンガー、ロニー・ジェイムス・ディオです。
ロニーは「メロイック・サイン(デビル・ホーン)」を広めた人物としても有名ですが、その力強くもどこか荘厳な歌声は、ディオの持つ「圧倒的なカリスマ性」や「吸血鬼としての気高さ」に見事に重なります。
また、第3部でディオが操るスタンド「ザ・ワールド」も、彼の代表曲『Holy Diver』の歌詞や、タロットカードのイメージが融合して誕生したと言われています。悪役でありながら多くの読者を惹きつけてやまないディオの魅力は、ロックが持つ「既存の価値観を破壊するエネルギー」そのものなのです。
もし、初期の重厚な世界観に浸りたいなら、ジョジョの奇妙な冒険 第1部を読み返しながら、ディオの楽曲を聴き流してみるのも一興ですよ。
柱の男たちと伝説のバンドAC/DCが鳴らす破壊の鼓動
第2部『戦闘潮流』でジョセフ・ジョースターの前に立ちはだかる「柱の男たち」。サンタナ、エシディシ、ワムウ、カーズ……彼らの名前もまた、ロック界の重鎮たちがモデルです。
特に「エシディシ」の元ネタであるAC/DCは、シンプルかつ骨太なリフで世界を熱狂させたバンド。彼らの楽曲が持つ「高電圧」なイメージは、熱い血を操るエシディシの攻撃性とシンクロしています。
また、風を操るワムウはイギリスのポップデュオ「ワム!(Wham!)」、究極生命体を目指すカーズは米国のバンド「ザ・カーズ(The Cars)」から。太古の昔から君臨する超生物たちに、1980年代を彩ったバンド名を冠するセンスこそが、ジョジョを「奇妙」でスタイリッシュな作品に仕立て上げている要因なのです。
第4部の静かな日常を切り裂くクイーンの調べ
ジョジョにおける音楽引用が、物語のテーマと最も深く結びついた例の一つが、第4部『ダイヤモンドは砕けない』の殺人鬼、吉良吉影です。
彼のスタンド名は「キラークイーン」。言わずと知れたQueenの名曲から取られています。歌詞の中に登場する「爆弾のようにあなたの心を打ち抜く」といったニュアンスや、火薬・ニトログリセリンといった単語が、吉良の爆弾能力に直結しています。
さらに、吉良の第3の能力「バイツァ・ダスト」の元ネタは、同じくクイーンの『Another One Bites the Dust(地獄へ道づれ)』。執拗にターゲットを追い詰め、時間を巻き戻す絶望感は、曲の持つ重厚なベースラインが醸し出す緊張感そのもの。
「平穏に暮らしたい」と願いながら、その手は血に染まっている。吉良吉影という男の歪んだ二面性を表現するのに、華やかさと毒を併せ持つクイーンの楽曲は最高のスパイスとなっているのです。
黄金の風が運ぶプリンスの革新性と「生」のエネルギー
第5部『黄金の風』の主人公、ジョルノ・ジョバァーナ。彼のスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」の由来は、天才ミュージシャン・プリンスのアルバムThe Gold Experienceです。
プリンスは既存の音楽業界のシステムに反旗を翻し、自らの名前をシンボルマークに変えてまで自由を貫いたアーティスト。その反骨精神は、ギャング組織の頂点を目指し、腐敗した街を変えようとするジョルノの意志と共鳴します。
「無機物に生命を与える」というスタンド能力も、常に新しい音楽を生み出し続けたプリンスの創造性を象徴しているかのよう。物語の後半で進化を遂げる「レクイエム」という概念も、クラシック音楽の要素を取り入れたプログレッシブなロックの構成を感じさせますね。
第6部から第9部へ!時代と共に進化するスタンド名
物語が進むにつれ、荒木先生の音楽セレクションはさらに幅広くなっていきます。
第6部『ストーンオーシャン』では、ジミ・ヘンドリックスの『Stone Free』が主人公・徐倫のスタンド名に。檻からの自由を叫ぶ歌詞は、脱獄を目指す物語と完璧に一致しています。
第7部『スティール・ボール・ラン』では、ついにAC/DCの名曲『Dirty Deeds Done Dirt Cheap』が登場。大統領の能力「D4C」として、並行世界を股にかける壮大なスケールで描かれました。
そして、現在連載中の第9部『The JOJOLands』。ここではデュア・リパやエド・シーランといった、2020年代のヒットチャートを賑わすアーティストの名前も散見されます。ジョジョは常に、最新の音楽シーンの熱量を吸収し続けているのです。
音楽を「モノ」として楽しむジョジョファンの新しいスタイル
最近では、ジョジョの元ネタ音楽をただ聴くだけでなく、アナログレコードやオーディオ機器といった「モノ」として楽しむファンも増えています。
例えば、作中のスタンドをイメージしたレコードプレーヤーや、楽曲のジャケットアートを模したアパレルグッズなど。ジョジョをきっかけにレコードプレーヤーを購入し、かつての名盤を針で落として聴くという体験は、デジタル配信では味わえない深い没入感を与えてくれます。
荒木先生が愛した「ロックの熱量」を、物理的な振動として体感する。これこそが、大人のジョジョの楽しみ方と言えるかもしれません。
まとめ:ジョジョの元ネタ音楽を徹底解説!ロックの名曲から紐解くスタンド能力とキャラの魅力
ジョジョの奇妙な冒険は、音楽というフィルターを通すことで、その深みが何倍にも増す作品です。
スタンド名の由来を調べることは、単なる知識欲を満たすだけではありません。それは、作者が物語に込めた「人間讃歌」のメッセージを、アーティストの魂を通じて受け取る作業でもあります。
もしお気に入りのキャラクターがいるなら、ぜひその元ネタとなった楽曲をフルで聴いてみてください。歌詞の一節が、物語の伏線に感じられたり、キャラの意外な弱点を示唆していたりすることに気づくはずです。
ロックの鼓動が聞こえてくれば、あなたの日常もまた、ジョジョのように刺激的でドラマチックなものに変わるかもしれません。さあ、ヘッドホンを装着して、黄金のような音楽の体験へ出かけましょう!
あなたは、どのスタンドの元ネタ曲が一番好きですか?次にマンガを読むときは、ぜひその曲をBGMに選んでみてくださいね。

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