『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいると、ふと「この名前、どこかで聞いたことがあるな?」と思う瞬間はありませんか?
実は、ジョジョに登場するキャラクターや能力「スタンド」の名称のほとんどには、実在する洋楽のアーティストや楽曲のモデルが存在します。作者の荒木飛呂彦先生は大のロック・ポップス好きとして知られており、作中には先生の音楽愛がこれでもかというほど詰め込まれているんです。
今回は、第1部から最新エピソードに至るまで、物語を彩る魅力的な名前の由来となった「元ネタ曲」を徹底的に解説していきます。音楽を知れば、ジョジョの世界がもっと深く、鮮やかに見えてくるはずですよ!
荒木飛呂彦先生が洋楽を「元ネタ」に選ぶ理由
なぜ、ジョジョの世界にはこれほどまでに洋楽の要素が溢れているのでしょうか。その理由は、荒木先生の執筆スタイルと深い関係があります。
荒木先生は、漫画を描いている間、常に洋楽をBGMとして流しているそうです。かつてのインタビューでは「日本語の歌詞だと、登場人物のセリフや感情と混ざってしまうから、あえて意味が直接入ってこない洋楽を聴いている」といった趣旨のお話をされていました。
しかし、ただ聴き流しているわけではありません。アーティストが放つエネルギー、ファッション、そしてアルバムのジャケットデザイン。それらすべてがキャラクターデザインや能力のヒントになっているのです。
例えば、Prince(プリンス)への心酔ぶりは有名です。彼の「前向きに生きるエネルギー」や「既存の枠に囚われない姿勢」は、ジョジョのメインテーマである「人間讃歌」と強く共鳴しています。名前を借りることは、荒木先生にとって尊敬するアーティストへのオマージュであり、作品に魂を吹き込む儀式のようなものなのかもしれません。
第1部・第2部:伝説の始まりはバンド名から
物語の黎明期である第1部と第2部では、キャラクターそのものの名前に大物アーティストの名前がストレートに採用されています。
第1部「ファントムブラッド」の由来
記念すべき最初の敵、ディオ・ブランドー。彼の名前の由来は、ヘヴィメタルの教祖とも呼ばれるロニー・ジェイムス・ディオが率いるバンドDIOです。圧倒的なカリスマ性と邪悪な魅力を持つディオにぴったりのネーミングですよね。
また、ジョナサンの心強い相棒であるスピードワゴンの由来は、アメリカのロックバンド「REOスピードワゴン」。そして、波紋の師匠であるウィル・A・ツェペリは、言わずと知れた伝説のバンド「レッド・ツェッペリン」から取られています。荒木先生は後に「ツェッペリンのような大御所を最初に出してしまったのは、少し贅沢すぎたかな」と冗談めかして語るほど、初期からフルスロットルで音楽ネタを投入していました。
第2部「戦闘潮流」と柱の男たち
第2部でジョセフ・ジョースターの前に立ちはだかる「柱の男たち」は、80年代を象徴するバンド名が並びます。
- サンタナ:ラテン・ロックの神様Santana。
- ワムウ:ジョージ・マイケルを擁した「ワム!(Wham!)」。
- エシディシ:オーストラリアのモンスターバンド「AC/DC」。
- カーズ:ニュー・ウェイヴの代表格「ザ・カーズ」。
彼らの神々しくも筋肉質な造形は、当時の洋楽シーンのゴージャスな雰囲気ともどこか重なるところがあります。
第3部:スタンド能力と音楽の融合
第3部「スターダストクルセイダース」からは、ジョジョの代名詞である「スタンド」が登場します。序盤はタロットカードやエジプトの神々がモチーフでしたが、物語の終盤から再び洋楽ネタが勢いを増していきます。
その筆頭が、DIOの館で待ち構える強敵ヴァニラ・アイスです。彼の名前はラッパーの「ヴァニラ・アイス」から。そして彼のスタンド「クリーム」は、エリック・クラプトンが在籍した伝説のトリオ「クリーム」が由来です。
このあたりから、「本体の名前」と「スタンドの名前」がセットで音楽的な繋がりを持つようになり、読者の想像力をより刺激する構成になっていきました。
第4部:黄金の精神を象徴する名曲たち
第4部「ダイヤモンドは砕けない」からは、スタンド名そのものが楽曲名やアルバム名として定着します。
主人公・東方仗助のスタンド「クレイジー・ダイヤモンド」の由来は、Pink Floyd(ピンク・フロイド)の名曲「Shine On You Crazy Diamond」です。バラバラになったものを直すという彼の能力は、この曲のどこか哀愁漂う、しかし温かいメロディと不思議にリンクしています。
そして、宿敵・吉良吉影の「キラークイーン」は、Queen(クイーン)の同名曲が元ネタ。吉良の爆弾能力は、歌詞にある「Dynamite with a laser beam(レーザー光線付きのダイナマイト)」や「Gunpowder, gelatine(火薬、ゼラチン)」といったフレーズを彷彿とさせます。さらに、彼の第2の爆弾「シアーハートアタック」や第3の爆弾「バイツァ・ダスト(地獄への道づれ)」もすべてクイーンの曲名です。
荒木先生がいかに歌詞や曲のイメージを能力に落とし込んでいるかがよくわかる、完璧なオマージュといえるでしょう。
第5部:イタリアの風と洋楽の哲学
第5部「黄金の風」はイタリアが舞台ですが、ここでも洋楽ネタは止まりません。
ブチャラティの「スティキィ・フィングィズ」は、The Rolling Stones(ザ・ローリング・ストーンズ)のアルバム名。このアルバムの有名な「本物のジッパーが付いたジャケット」が、ジッパーを生成する能力の直接的なヒントになったことはファンの間では有名なエピソードです。
また、ジョルノの「ゴールド・エクスペリエンス」は、荒木先生が敬愛するプリンスのアルバム名。命を生み出すという神秘的な能力は、プリンスの多才で生命力に溢れた音楽性と見事に合致しています。
敵ボスのディアボロが操る「キング・クリムゾン」も、プログレッシブ・ロックの同名バンドが由来。その複雑で難解な音楽性は、時間を消し飛ばすという「無敵かつ理解不能」な恐怖を演出するのに、これ以上ないほど適した選曲でした。
第6部から第9部へ:広がり続ける音楽のアンテナ
物語が進むにつれて、荒木先生の音楽の好みはさらに広がりを見せます。
第6部「ストーンオーシャン」
空条徐倫の「ストーン・フリー」はジミ・ヘンドリックス。自由を求める彼女の戦いにふさわしい選曲です。また、エルメェスの「キッス」やFFの「フー・ファイターズ」など、90年代以降のロックシーンを象徴する名前も目立つようになります。
第7部「スティール・ボール・ラン」
この部では、もはや一曲一曲がストーリーの重要なメタファーになっています。
ジャイロの持つ鉄球の技術「スキャン」はThe Carsの曲。さらに、大統領のスタンド「D4C(いともたやすく行われるえげつない行為)」は、AC/DCの「Dirty Deeds Done Dirt Cheap」の略称です。
第8部「ジョジョリオン」
定助の「ソフト&ウェット」は、プリンスのデビューアルバムに収録されている楽曲。荒木先生のプリンス愛は、時代を超えて作品の核心に居座り続けています。
元ネタを知ることで深まる「ジョジョ」の楽しみ方
ここまで代表的な例を挙げてきましたが、ジョジョの元ネタ曲を調べる楽しみは、単なる「答え合わせ」ではありません。
例えば、新しいスタンドが出てきたら、その元ネタとなった曲を聴きながら読み返してみてください。すると、不思議なことが起こります。「あ、この歌詞のこの部分が、あのセリフの裏側に隠されていたのかも」とか、「この曲の不気味なリズムが、敵の不気味な動きを表現していたんだな」といった、新しい発見が次々と生まれるのです。
最近では、Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスで、有志のファンが作成した「ジョジョ元ネタプレイリスト」も数多く公開されています。こうしたツールを活用して、五感でジョジョの世界に浸るのも、現代ならではの粋な楽しみ方ではないでしょうか。
また、荒木先生は最近のインタビューで、King GnuやOfficial髭男dismといった日本の現代アーティストについても、そのリズムの複雑さを高く評価されています。もしかしたら、これからのジョジョには、私たちが今リアルタイムで聴いている邦楽が隠し味として含まれていくかもしれませんね。
まとめ:ジョジョの奇妙な冒険の元ネタ曲一覧!スタンド名やキャラ名の由来を徹底解説!
いかがでしたでしょうか。
『ジョジョの奇妙な冒険』における名前の由来は、単なる記号ではありません。それは、荒木飛呂彦先生がこれまでの人生で受け取ってきた「感動」や「衝撃」を、キャラクターという形に変えて読者に届けているラブレターのようなものです。
洋楽のアーティストたちが音楽を通じて伝えたかったメッセージ。それがジョジョという物語を通して、私たちの心に「黄金の精神」として受け継がれていく。そう考えると、一見奇妙なスタンド名も、どこか誇らしげで愛おしいものに感じられませんか?
もし気になる名前を見つけたら、ぜひその元ネタとなった曲をAudio playerで流してみてください。きっと、あなたのジョジョ体験がよりエキサイティングで、忘れられないものになることをお約束します。
ジョジョの奇妙な冒険の元ネタ曲一覧!スタンド名やキャラ名の由来を徹底解説!というテーマでお届けしました。この記事をきっかけに、あなたが素敵な音楽、そしてより深いジョジョの世界に出会えることを願っています。

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