『ジョジョの奇妙な冒険』を読み進めていく中で、ふと「あ、またあのマークだ」と気づく瞬間がありますよね。そう、ジョースター家の面々の左の首筋に刻まれた、あの鮮やかな「星型のアザ」です。
第1部から最新の第9部まで、時代も舞台も、さらには世界線すら超えて受け継がれるこの小さな星には、実は物語の根幹を揺るがすほどの深い意味が込められています。今回は、この星型のアザが一体何を象徴しているのか、なぜDIOにもあるのか、そして新世界での扱いはどうなっているのか、その謎を徹底的に紐解いていきましょう。
ジョースター家を象徴する「星型のアザ」の基本と位置
まずはおさらいとして、このアザがどのようなものかを整理しておきましょう。
ジョジョの世界において、星型のアザは「ジョースターの血統」であることを示す絶対的な証明書のようなものです。その位置は、左の首筋から肩の付け根あたり。形は綺麗な五芒星(ペンタグラム)で、色は作品のカラー版やアニメでは紫やピンクに近い色で描写されることが多いですね。
実はこの設定、最初から明確にあったわけではありません。物語が大きく動き出す第3部「スターダストクルセイダース」で、空条承太郎やジョセフ・ジョースターの身体的特徴として定義されたのが始まりです。
後付けの設定ではありますが、これが加わったことで「一族の絆」というテーマが視覚的にぐっと強調されました。現在では、第1部のジョナサン・ジョースターや第2部の若きジョセフを描く際にも、このアザは欠かせないアイコンとなっています。まさに、時空を超えた家系の絆を象徴する印なのです。
なぜDIOに星のアザがあるのか?その驚愕の理由
「ジョースター家の証なら、宿敵であるDIOになぜアザがあるの?」という疑問は、ジョジョ初心者の方が必ず通る道ですよね。その答えは、第1部の衝撃的なラストシーンに隠されています。
第1部の最後、ディオ・ブランドーはジョナサンとの死闘の末に首だけの状態になります。しかし、彼は生き延びるためにジョナサンの肉体を乗っ取るという暴挙に出ました。つまり、第3部で承太郎たちの前に立ちはだかるDIOの首から下の体は、もともとジョナサンのものなのです。
そのため、DIOの左肩にはジョナサンの肉体が持っていた「星型のアザ」がそのまま残っています。悪のカリスマであるDIOが、正義の象徴であるはずのジョースターの肉体を纏っているという皮肉。このアンバランスさが、DIOというキャラクターの不気味さと神々しさをより一層引き立てていると言えるでしょう。
血の共鳴:アザが引き起こすスタンド能力の覚醒
星型のアザは単なる「見た目の印」ではありません。このアザを通じて、ジョースターの血族同士は目に見えない「運命の糸」で繋がっています。それを象徴するのが、第3部におけるスタンド能力の覚醒です。
DIOがジョナサンの肉体を使ってスタンドジョジョの奇妙な冒険 スタンドを発現させた際、その衝撃は「血の共鳴」として世界中に散らばるジョースターの末裔たちに伝わりました。
- 日本にいた空条承太郎
- 不動産王となっていたジョセフ・ジョースター
- 普通の主婦として暮らしていたホリィ
彼らが突如としてスタンド能力に目覚めたのは、この星型のアザを介してDIO(ジョナサンの肉体)が発する信号を受け取ったからです。また、このアザは血族が近くにいると疼いたり、存在を感じ取らせたりする探知機のような役割を果たすこともあります。まさに、逃れられない運命の呼び声と言えます。
黄金の精神を継ぐ者たち:仗助、ジョルノ、徐倫
この星のアザは、直系の血筋であればたとえ「隠し子」であっても「宿敵の息子」であっても容赦なく現れます。
第4部の主人公、東方仗助。彼はジョセフ・ジョースターの隠し子ですが、その肩にはしっかりと星のアザが刻まれています。このアザがあったからこそ、承太郎は彼が間違いなく自分の親類であることを確信したのです。
さらに興味深いのが第5部のジョルノ・ジョバァーナです。彼はDIOの息子ですが、肉体的な父親はジョナサン・ジョースターであるため、彼もまた星のアザを持っています。DIOの「冷徹なカリスマ性」とジョナサンの「黄金の精神」、その両方を受け継いだジョルノの複雑な立ち位置を、肩の星型が静かに物語っています。
そして第6部の空条徐倫。彼女もまた承太郎の娘として、過酷な監獄生活の中で自身の運命を象徴する星型のアザと共に成長していきます。彼女の場合、アザがある位置に蝶のタトゥーを重ねるような描写もあり、運命を受け入れつつ自分の道を切り拓く強さが表現されていました。
運命の伝播:プッチ神父と緑色の赤ん坊
星型のアザの謎を語る上で外せないのが、第6部の黒幕、エンリコ・プッチ神父です。彼はもともとジョースターの血縁ではありません。しかし、物語の終盤で彼は「緑色の赤ん坊」と合体します。
この緑色の赤ん坊は、DIOの骨から生まれ、ジョースターの血の記憶を強く持っていました。赤ん坊と融合したことで、プッチ神父の肩にも星型のアザが出現します。これは、血縁がなくても「魂や肉体の融合」によって運命が移り変わることを示した非常に珍しいケースです。
ジョースターの宿敵でありながらジョースターの印を持つ。この倒錯した関係性が、第6部のクライマックスをより絶望的で、かつドラマチックなものに昇華させていました。
新世界(SBR以降)における星型のアザの役割
第7部『スティール・ボール・ラン』から始まったいわゆる「新世界・パラレルワールド」でも、星型のアザは重要なキーアイテムとして再登場します。
第7部のジョニィ・ジョースター、第8部『ジョジョリオン』の東方定助。彼らの肩にも、変わらず星型のアザが刻まれています。特に『ジョジョリオン』では、複数の人間が「等価交換」によって融合して定助が生まれた際にもアザが残っていたことが、彼が「ジョースターの血を引く何者か」であることを示す唯一の、そして最大のヒントとなっていました。
現在連載中の第9部『The JOJOLands』の主人公、ジョディオ・ジョースターとその兄ドラゴナ・ジョースター。彼らもまた、現代のハワイという舞台でこのアザを背負って生きています。世界が変わっても、作者である荒木飛呂彦先生がこの「星」を描き続けるのは、それがジョジョという物語のアイデンティティそのものだからでしょう。
著者・荒木飛呂彦先生が「星」に込めた意図
なぜ「星」だったのでしょうか。これについては、メタ的な視点からも非常に面白い考察ができます。
荒木先生はインタビュー等で、「キャラクターが服を脱いでも、一目で主人公(ジョースターの一族)だとわかる記号が欲しかった」といった趣旨の発言をされています。漫画という表現において、一瞬で読者に情報を伝える「アイコン」の力は絶大です。
また、タロットカードにおける「星」は、希望や再生、明るい見通しを意味します。暗闇のような過酷な運命(ディオとの因縁や呪い)の中にいても、決して消えない希望の光。それがジョースター家の左肩に輝く星の正体なのかもしれません。
ファンとしては、新しい部の主人公が登場するたびに「どこにアザがあるのか」を確認するのが一つの儀式になっています。それほどまでに、このマークは読者の心に深く刻まれているのです。
ジョジョの星型のアザの意味とは?継承の秘密や位置、家系の絆を徹底考察&解説!のまとめ
さて、ここまで『ジョジョの奇妙な冒険』における「星型のアザ」について詳しく見てきました。
この小さな星は、単なる家系の印ではなく、以下のような重層的な意味を持っています。
- ジョースター家直系の血族であるという動かぬ証拠
- DIOとの数奇な因縁、そして肉体の乗っ取りを象徴する傷跡
- スタンド能力を呼び覚まし、血族を引き合わせる運命の受信機
- 世界が変わっても「黄金の精神」が受け継がれているという作品のアイデンティティ
左肩の星型のアザは、ジョジョたちが背負う「宿命」の重さと、それを跳ね除けて進む「希望」の両方を表しています。これから作品を読み返す際、あるいは新刊を手に取る際、キャラクターたちの肩に刻まれたその星に注目してみてください。そこには、100年以上にわたる人間讃歌の歴史が凝縮されているはずです。
もしあなたが、これからジョジョの世界にどっぷり浸かりたい、あるいはもう一度あの興奮を味わいたいと思っているなら、ジョジョの奇妙な冒険 文庫版を全巻揃えて、彼らの肩に刻まれた「運命」を追ってみるのも良いかもしれません。
ジョースターの血統が紡ぐ物語は、これからも私たちの心の中で星のように輝き続けることでしょう。


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