「ウルトラジャンプ」で連載中の『The JOJOLands(ザ・ジョジョランズ)』。ジョジョの奇妙な冒険の第9部として、世界中のファンが熱狂していますよね。舞台はハワイ、主人公は15歳の少年ジョディオ・ジョースター。
この物語を読み進める中で、ある「音楽」の影を感じたことはありませんか?そう、ザ・ビーチ・ボーイズの名曲「スループ・ジョン・B(Sloop John B)」です。
荒木飛呂彦先生の作品といえば、洋楽のオマージュや引用が欠かせない要素。今回は、この楽曲がジョジョ9部の世界観とどうリンクしているのか、歌詞の意味や元ネタの背景から深掘りして考察していきます!
ザ・ビーチ・ボーイズの金字塔『ペット・サウンズ』とスループ・ジョン・B
まず、元ネタとなる楽曲についておさらいしておきましょう。「スループ・ジョン・B」は、1966年に発表されたアルバム『ペット・サウンズ』に収録されています。
このアルバム、実はロック史において「世界を変えた一枚」と言われるほどの超名盤。ビートルズの『サージェント・ペパーズ』にも影響を与えたことで知られています。
- アルバム名: 『ペット・サウンズ』 Pet Sounds
- アーティスト: ザ・ビーチ・ボーイズ
- 楽曲の立ち位置: アルバムの中では比較的キャッチーで、シングルカットされて全米3位の大ヒットを記録しました。
荒木先生はこの『ペット・サウンズ』を非常に高く評価しており、過去作でもこのアルバムに関連する名前が登場しています。例えば第8部『ジョジョリオン』に登場した「アイ・アム・ア・ロック」も、サイモン&ガーファンクルの曲名であると同時に、この時代の空気感を持つ楽曲ですよね。
9部が始まった瞬間、多くのファンが「ビーチ・ボーイズ的な空気」を感じたのは、単に舞台がハワイだからという理由だけではないはずです。
歌詞が示す「不条理」と「家に帰りたい」という切実な願い
「スループ・ジョン・B」を聴くと、非常に爽やかで多重コーラスが美しい、いかにも「海!」という明るい印象を受けます。しかし、歌詞をじっくり読んでみると、その内容は驚くほど悲惨でネガティブなんです。
歌詞のストーリーを簡単にまとめるとこんな感じです。
- 語り手は祖父と一緒に「スループ・ジョン・B号」という船に乗って航海に出る。
- ところが、祖父は酒に酔って暴れ出し、周囲に迷惑をかける。
- 他人が自分の食べ物を勝手に食べ、船内は混乱状態。
- 一晩中眠れず、精神的にボロボロになった語り手が「お願いだ、家に帰らせてくれ」と嘆く。
この「見た目はキラキラしているのに、中身は最悪な状況」というギャップ。これこそがジョジョ9部のテーマと重なって見えませんか?
ジョディオたちの住むハワイも、観光客にとっては楽園ですが、彼ら地元の少年たちにとっては、格差や麻薬、犯罪が蔓延する「厳しい現実」の場所です。ジョディオが口にする「仕組み(メカニズム)」という言葉も、自分の力ではどうにもならない大きな流れ(船の航海)に翻弄される個人の姿を暗示しているように思えてなりません。
9部の主人公ジョディオと「仕組み」の類似性
第9部の主人公、ジョディオ・ジョースター。彼はこれまでのジョジョ主人公の中でも、かなりドライで現実的な性格をしています。「大富豪になる」という目的も、非常に物質的で現代的ですよね。
ここで「スループ・ジョン・B」の歌詞に出てくる「不条理な状況」とジョディオを比較してみましょう。
- 逃げ場のない場所: 船の上(スループ船)と、島(ハワイ)。どちらも閉ざされた空間であり、嫌でもその場の「ルール」に従わなければなりません。
- 家族の問題: 歌詞では祖父がトラブルの元になります。9部でも、ジョディオは兄(姉)であるドラゴナを守りながら、複雑な家庭環境の中で生きています。
- 精神的な疲弊: 歌詞の主人公は「これ以上は耐えられない」と訴えます。ジョディオもまた、社会の底辺から這い上がるために、精神的なタフさを強要される環境にいます。
ジョディオがスタンド「ノーベンバー・レイン」で降らせる重みの雨は、この逃れられない「仕組み」の重圧そのものなのかもしれません。
バハマ民謡としてのルーツとハワイという舞台
実は「スループ・ジョン・B」はビーチ・ボーイズのオリジナル曲ではなく、バハマ諸島に伝わる民謡が元ネタです。1910年代にはすでに記録されていた古い歌なんですね。
バハマもハワイと同じく、美しい海に囲まれた島々です。荒木先生が9部の舞台にハワイを選んだ際、同じ島国に伝わる「海と受難の歌」を意識した可能性は非常に高いでしょう。
民謡としての「スループ・ジョン・B」は、労働歌としての側面もありました。過酷な労働の中で「早く帰りたい」と願う切実な声。それは、見えない力によって搾取される現代社会の構造を映し出すジョディオたちの物語と、時代を超えてリンクしているのです。
もしあなたが9部を読みながらこの曲を聴くなら、ぜひステレオヘッドホン headphone で、その緻密なコーラスの裏に隠された「嘆き」に耳を澄ませてみてください。
荒木飛呂彦先生が描く「ビーチ・ボーイズ的」な恐怖と希望
荒木先生は、ビーチ・ボーイズの音楽性について「明るさの裏側にある狂気」を感じ取っている節があります。リーダーのブライアン・ウィルソンが、あまりにも完璧な美しさを求めた結果、精神的に追い詰められていったエピソードは有名です。
ジョジョの物語も、一見すると派手な能力バトルですが、その根底にあるのは「人間賛歌」。どんなに絶望的な状況でも、一歩前へ進もうとする意志の力です。
「スループ・ジョン・B」の主人公は「家に帰りたい」と弱音を吐きますが、ジョディオは違います。彼はその不条理な「仕組み」を逆に利用し、頂点へ登り詰めようとします。
この「楽曲の主人公」と「マンガの主人公」の対比こそが、荒木流のオマージュの真髄ではないでしょうか。名曲をそのままなぞるのではなく、そのエッセンスを抽出し、真逆のエネルギーを持つキャラクターにぶつける。これこそが、私たちがジョジョに惹きつけられる理由の一つです。
スループ・ジョン・Bとジョジョ9部の関係は?歌詞の意味や元ネタの楽曲を徹底考察!のまとめ
ここまで、「スループ・ジョン・B」という楽曲がジョジョ第9部に与えているかもしれない影響について考察してきました。
- 楽曲の背景: ビーチ・ボーイズの傑作アルバムに収録された、バハマ民謡由来の曲。
- 歌詞の真意: 陽気なメロディとは裏腹に、不条理なトラブルから逃げ出したいという悲痛な願い。
- 9部とのリンク: ハワイという島舞台、逃れられない「仕組み」、そして過酷な環境を生き抜く少年たちの姿。
ジョディオ・ジョースターが最後に見る景色は、歌詞のように「安心できる我が家」なのか、それとも誰も到達したことのない「大富豪の頂」なのか。今後の連載から目が離せませんね。
まだ『The JOJOLands』を読んでいない方、あるいは最新刊を読み返したい方は、ぜひチェックしてみてください。
- 最新コミックス: The JOJOLands
音楽を知ることで、物語の解像度はぐっと上がります。次に「スループ・ジョン・B」が流れてきたとき、あなたの脳裏にはジョディオたちの熱い戦いが浮かんでくるはずです!
スループ・ジョン・Bとジョジョ9部の関係は、単なる元ネタ以上の、深い精神的な繋がりを感じさせるものでした。今回の考察が、あなたのジョジョライフをより豊かにするヒントになれば幸いです。

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