「ジョジョの奇妙な冒険」を読んだことがない人でも、どこかで一度は「目から謎の光線を出して戦うシーン」を見たことがあるのではないでしょうか。ネットミームとしても有名なあの「目からビーム」。実は、単なるビームやレーザーではないことをご存知ですか?
あの技には、漢字五文字で構成された禍々しくも格好いい名前があり、吸血鬼という生物の限界を超えた恐ろしい仕組みが隠されています。今回は、ジョジョ第1部から受け継がれる伝説の技「空裂眼刺驚(スペースリッパー・スティンギーアイズ)」について、その正体や威力、そしてなぜ後のシリーズで使われなくなったのかという謎までを徹底的に深掘りしていきます。
「目からビーム」の正式名称は空裂眼刺驚(スペースリッパー・スティンギーアイズ)
まず最初にハッキリさせておきたいのが、あの技の正式名称です。漢字で書くと「空裂眼刺驚」。これに「スペースリッパー・スティンギーアイズ」というあまりにもクールなルビが振られています。
ジョジョファンなら誰もが知るこの名前ですが、実は第1部でディオが使った際には、まだ名前がついていませんでした。意外ですよね。この技にこの名前を授けたのは、第2部に登場する宿敵、ストレイツォです。
彼は吸血鬼化した後、先代のディオが編み出した技を研究し、自らの必殺技として昇華させました。空を裂き、眼で刺し、見る者を驚愕させる。その名の通り、一瞬で勝負を決める暗殺術のような恐ろしさを持っています。
仕組みはレーザーではなく「高圧の体液」
多くの人が「目から光線が出ている」と勘違いしがちですが、実はこれ、光ではありません。その正体は、吸血鬼の驚異的な筋力と圧力によって発射される「超高圧の体液(房水)」なんです。
吸血鬼は人間を遥かに凌駕する身体能力を持っています。その力を眼球に集中させ、内部の液体を極限まで加圧。そして瞳孔の隙間から、細い糸のような鋭さで一気に噴出させます。
イメージとしては、超強力な高圧洗浄機や、金属をも切断するウォーターカッターに近いかもしれません。光ではないからこそ、質量を持った攻撃として物体を物理的に貫通し、破壊する。この「生物学的な理屈」が通っているところが、いかにもジョジョらしい設定で痺れますよね。
破壊力バツグン!鉄骨をも切り裂く殺傷能力
この空裂眼刺驚、見た目以上にえげつない威力を持っています。作中では、厚い石壁を軽々と貫通し、巨大な鉄骨をも切断する描写があります。
第1部のクライマックスでは、主人公ジョナサン・ジョースターの喉を正確に撃ち抜きました。波紋使いとして鍛え上げられたジョナサンの肉体をもってしても、至近距離から放たれるこの高速の体液を防ぐ術はありませんでした。
射程距離自体はそれほど長くはありませんが、弾速が非常に速く、予備動作もほとんどないため、初見で回避するのはほぼ不可能です。まさに吸血鬼の「最後の手札」にふさわしい必殺技と言えるでしょう。
技を使いこなした歴代の使用者たち
この技を象徴するのは、やはりディオ・ブランドーとストレイツォの二人です。
ディオ(第1部)
ジョナサンとの死闘の末、首だけになったディオが放った執念の一撃。肉体を失ってもなお、眼球に残された僅かな水分と吸血鬼としての生命力だけでジョナサンを仕留めました。この時のディオは、まだ技の名前を叫んでいませんが、その破壊力は絶望的なものでした。
ストレイツォ(第2部)
ジョナサンの孫、ジョセフ・ジョースターの前に立ちはだかったストレイツォ。彼はディオを尊敬しつつも、その失敗を糧にこの技を磨き上げました。ジョセフの機転によって反射されてしまいますが、その隙のなさは第2部序盤の絶望感を演出するのに十分なものでした。
第3部のDIOはなぜ「目からビーム」を使わなかったのか?
ジョジョ最大の謎の一つとして語られるのが、「第3部のDIOがなぜ空裂眼刺驚を使わなかったのか?」という点です。承太郎との最終決戦において、もしこれを使っていれば勝てたのではないか、と考えるファンも少なくありません。
これにはいくつかの考察がありますが、最も有力なのは「ジョナサンの肉体との不適合」です。
第3部のDIOは、ジョナサンの首から下を奪った状態ですが、100年経っても首の接合部が完全に馴染んでいませんでした。空裂眼刺驚は全身の圧力を眼球に集中させる必要があるため、肉体が不安定な状態では自爆のリスクがあったのかもしれません。
また、DIOは最強のスタンド能力「ザ・ワールド」を手に入れました。時を止めて指先一つで相手を仕留められるようになった彼にとって、わざわざ自分の眼球を傷つけるような(体液を噴出させる)リスクのある技を使う必要がなくなった、というプライドの問題もあったのでしょう。
ゲームやフィギュアでも再現される人気演出
この技は、原作漫画だけでなく、アニメや格闘ゲームでも非常に映える演出として愛されています。
ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル Rなどのゲーム作品では、吸血鬼キャラクターの強力な飛び道具として実装されており、その弾速の速さが忠実に再現されています。画面端まで一瞬で届く攻撃は、対戦相手にとっても脅威です。
また、超像可動などのフィギュアシリーズでも、この技を再現するためのエフェクトパーツが付属することがあります。透明な樹脂で表現された「高圧の体液」をフィギュアに取り付けると、あの絶望的なシーンがデスクの上に蘇ります。
ジョジョの目からビームは吸血鬼の生存戦略だった
こうして振り返ってみると、空裂眼刺驚は単なる派手な攻撃手段ではなく、吸血鬼という異形の生物が生き残るために編み出した、極限の進化の形であることがわかります。
自分の体の一部を弾丸として放つ。その覚悟と破壊力が、ジョジョという物語の熱量を支えているのです。第1部から第2部へと受け継がれ、第3部で封印されたこの技。その背景を知ることで、改めて物語を読み返した時の深みが増すはずです。
もしあなたがこれからジョジョを読み返すなら、ぜひジョジョの奇妙な冒険 第1部 モノクロ版を手に取って、ディオが初めてその力を見せた瞬間の衝撃を体感してみてください。
ジョジョの目からビームの正体は?技名「空裂眼刺驚」の読み方や威力、使用者を解説してきましたが、この技こそがジョースター家とディオの数奇な運命を決定づけた「始まりの終わり」を象徴する一撃だったのです。

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