『ジョジョの奇妙な冒険』を読んでいて、ふと「初期と今で全然絵が違う!」と驚いたことはありませんか?特にキャラクターの「目」に注目してみると、そこには作者・荒木飛呂彦先生の凄まじい執念と芸術的な進化が詰まっています。
ジョジョの目は、単なる顔のパーツではありません。キャラクターの精神力、覚悟、そして時には人間を超越した「何か」を表現するための最も重要な窓口なんです。
今回は、1部から9部まで続くジョジョの歴史の中で、目がどのように変化してきたのか、そしてあの独特な「ジョジョ目」を再現するためのコツを、ディープに深掘りしていきましょう。
劇画の熱量を感じる初期の「力強い目」
連載が始まった1980年代、第1部『ファントムブラッド』や第2部『戦闘潮流』の頃の目は、当時の劇画ブームの影響を色濃く受けていました。
この時期の最大の特徴は、圧倒的な「線の太さと密度」です。ジョナサン・ジョースターやジョセフ・ジョースターの目は、上下のまぶたが非常に太い線で囲まれており、まつ毛も一本一本が筆で書いたような力強さを持っています。
白目の面積が広く取られ、黒目が小さめに描かれることで、常に何かに怒っているような、あるいは強い使命感に燃えているような「剥き出しの闘志」が表現されていました。眉毛と目の距離が極端に近く、彫りの深さを強調するために眉間には常に深い影が落とされているのも、この時期ならではの魅力です。
まさに「男の熱気」が視線から溢れ出しているのが、初期のジョジョの目の正体と言えるでしょう。
スタイリッシュの確立!第3部から第4部の変遷
空条承太郎が登場する第3部『スターダストクルセイダース』に入ると、劇画的な重厚さは残しつつも、線が整理され、より「鋭利なカッコよさ」へとシフトしていきます。
承太郎の目は、横に長く、目尻がキリッと跳ね上がったデザインが特徴です。ここで大きな変化が起きるのは、瞳の中に「ハイライト」や「知性」が宿り始める点です。ただ熱いだけでなく、冷静に敵を分析するスタンド使いとしての鋭さが、その眼光に込められるようになりました。
さらに第4部『ダイヤモンドは砕けない』の中盤以降、絵柄はよりモダンで写実的な方向へと舵を切ります。東方仗助の目は、初期に比べると縦幅が少し広がり、表情の豊かさが加わりました。線の太さで圧をかけるのではなく、計算された線の「配置」でキャラクターの個性を出すスタイルへと進化したのです。
ファッションと芸術が融合した第5部・第6部の「装飾美」
ジョジョの絵が「アート」としてさらに一段階上のステージに上がったのが、第5部『黄金の風』と第6部『ストーンオーシャン』です。
この時期から、荒木先生の関心がイタリアの彫刻やハイファッションの世界へと強く向かっていきます。それが最も顕著に現れたのが「まつ毛」の描き方です。
第5部のジョルノ・ジョバァーナやブチャラティたちを見ると、下まつ毛がまるでお洒落なアクセサリーのように、扇状に等間隔で描かれているのが分かります。これは現実の人間というよりは、アンティークのドールや大理石の彫刻のような、どこか浮世離れした「美」を意識しているためです。
また、瞳(虹彩)の中に、網目状の模様や同心円状のラインが書き込まれるようになったのもこの頃からです。この複雑な瞳のデザインによって、キャラクターがスタンド能力という超常的な力を持っていることの説得力が、視覚的に補強されています。
写実と狂気が同居する第7部以降の圧倒的表現力
『スティール・ボール・ラン』以降の青年誌への移籍を経て、ジョジョの目はもはや漫画の枠を超え、キャンバスに描かれる絵画のような深みに到達しました。
特筆すべきは、ジョニィ・ジョースターに代表される「漆黒の殺意」が宿る瞳の表現です。これまでの部では、目は「意志」の象徴でしたが、ここではキャラクターの抱える「闇」や「業」までもが、瞳の奥の深い陰影によって描き出されています。
最近の部では、目の形自体は非常に写実的になり、まぶたの重なりや涙袋の立体感などが解剖学的に正しく描かれるようになっています。しかし、その中にある瞳の色使いやハイライトの入れ方は非常に独創的で、現実にはありえない配色(ピンクやミントグリーンなど)を使いながらも、不思議とリアリティを感じさせる、魔法のようなバランスの上に成り立っています。
ジョジョの目を構成する3つの絶対ルール
自分でジョジョ風のイラストを描いてみたい、あるいはデザインを分析したいという方のために、外せないポイントを3つに整理しました。
1つ目は「まつ毛の処理」です。
上まつ毛は隙間なく黒く塗りつぶし、目尻を強調します。対して下まつ毛は、細い線をパラパラと均等に配置するのがジョジョ流です。これだけで一気に「らしさ」が出ます。
2つ目は「二重ラインとハッチング」です。
まぶたの二重の線を、単なる1本の線で終わらせず、その周囲に細かい斜線(ハッチング)を入れて陰影を作ります。この影があることで、キャラクターの顔に深い彫りと、ジョジョ特有の「覚悟の重み」が生まれます。
3つ目は「瞳の描き込み」です。
瞳の中を塗りつぶさず、中心に向かって細い放射線を引いたり、中に小さな円を重ねたりします。この緻密な書き込みが、キャラクターに人間離れしたオーラを纏わせる秘訣です。
練習する際は、ぜひジョジョの奇妙な冒険 画集などで、大きなサイズの原画をじっくり観察してみてください。細部の線の重なりに驚くはずです。
キャラクターの内面を映し出す「特殊な目」の存在
ジョジョの世界には、普通の人間とは明らかに違う「特殊な目」を持つキャラクターがいます。
例えば、第5部のボスであるディアボロ。彼の瞳は、大きな瞳の中にさらに小さな瞳があるような「二重瞳孔」のようなデザインになっています。これは彼の二重人格という特異な性質や、未来を予見する能力の不気味さを象徴しています。
また、第6部のフー・ファイターズは、プランクトンの集合体という設定を反映して、瞳の中に幾何学的な模様が描かれています。このように、「目は口ほどに物を言う」を地で行くのがジョジョのデザイン哲学なんです。
キャラクターの過去や能力を知った上で改めて目を見てみると、「だからこういう描き方なのか!」という発見があり、作品への理解がより一層深まります。
道具にもこだわりたい!ジョジョ風の線を描くために
もしあなたがアナログでジョジョ風の目を模写しようとするなら、道具選びも重要です。荒木先生はかつてGペンを愛用されていましたが、あのパキッとした強弱のある線を出したいなら、ミリペンよりもつけペンの方がニュアンスが出しやすいでしょう。
デジタルで描く場合でも、筆圧感知を強めに設定し、「入り」と「抜き」が鋭く出るブラシを選ぶのがおすすめです。特にまつ毛の1本1本を描くときは、一気にシュッと引く潔さが求められます。
細かいハッチングを練習するときは、コピー用紙でも良いですが、インクが滲みにくいケント紙などを使うと、ジョジョ特有のシャープな線を再現しやすくなります。
時代を超えて愛される「ジョジョ目」の魔力
なぜ私たちは、これほどまでにジョジョの目に惹きつけられるのでしょうか。
それは、荒木先生が常に「人間とは何か」を問い続け、その答えを瞳の中に凝縮させようとしているからかもしれません。恐怖に打ち勝つ勇気、愛する者を守る決意、そして時には狂気に満ちた野心。それらすべての感情が、たった数センチの「目」というキャンバスに刻まれています。
部を追うごとに変化していく絵柄は、作者の飽くなき探究心の現れです。初期の熱い眼差しも、近年の芸術的な瞳も、すべては「人間讃歌」というテーマに繋がっています。
これから新しくジョジョを読む方も、何度も読み返しているファンの方も、ぜひ一度ストーリーの手を止めて、キャラクターたちの「目」をじっくりと眺めてみてください。そこには、言葉以上のメッセージが隠されているはずです。
【ジョジョ】目の描き方で解る進化の軌跡!特徴・種類から書き方のコツまで徹底解説
さて、ここまでジョジョの「目」の魅力についてたっぷりと語ってきました。1部から最新の9部まで、その進化のスピードには改めて驚かされますね。
ジョジョの目は、ただの漫画のパーツを超えた、ひとつの芸術様式といっても過言ではありません。描き方のコツを掴むことは、荒木飛呂彦先生の美学に触れることでもあります。
- 初期の劇画的な力強さ
- 中期のスタイリッシュな洗練
- 後期の写実的で芸術的な深み
それぞれの時代に良さがあり、そのどれもが「ジョジョ」という唯一無二の個性を形作っています。
もしあなたがイラストを描くなら、今日ご紹介したまつ毛の描き方や瞳のデザインを取り入れて、自分なりの「ジョジョ目」に挑戦してみてください。きっと、キャラクターに新しい命が宿る感覚を味わえるはずです。
これからも進化し続けるジョジョの世界。次はどんな「目」が私たちを驚かせてくれるのか、期待に胸が膨らみますね!今回の内容が、あなたのジョジョライフをより豊かにするヒントになれば幸いです。

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