「落ち着くんだ……『素数』を数えて落ち着くんだ……」
ジョジョの奇妙な冒険 第6部「ストーンオーシャン」を読んだことがある人なら、このあまりにも有名なフレーズが耳に残っているはずです。宿敵であるエンリコ・プッチ神父が、絶体絶命のピンチに陥った際、自分に言い聞かせるように数字を呟くあのシーン。
一見すると奇妙な行動に見えますが、実はこれ、キャラクターの精神性を表す深い演出であると同時に、現代のメンタルケアにも通じる非常に理にかなった行動なのです。
今回は、なぜプッチ神父が素数を数えるのか、その深い理由や物語的な意味、そして私たちが日常生活でイライラや不安を感じた時に応用できる「素数活用法」について徹底的に解説していきます。
プッチ神父と素数:なぜ「1と自分自身」でしか割れない数字なのか
物語の終盤、主人公・空条徐倫たちの猛攻を受け、計算が狂い始めたプッチ神父。冷徹で完璧主義な彼が、鼻歌を歌う余裕すら失った時に縋ったのが「素数」でした。
素数とは、1とその数自身でしか割り切れない、1より大きい自然数のことです。具体的には2、3、5、7、11、13、17……と続いていきます。
プッチ神父は劇中でこう語っています。
「『素数』は1と自分の数でしか割ることのできない孤独な数字……わたしに勇気を与えてくれる」
この言葉には、彼の歪んだ、しかし強固な信念が凝縮されています。彼は神に仕える身でありながら、親友であるDIOとの出会いを経て「天国へ行く方法」を模索し、人類を強制的に幸福(覚悟)へと導こうとします。その道は険しく、誰にも理解されない孤独なものです。
他の数字(他人や世俗の理)に割り込まれることなく、ただ「1(神)」と「自分自身」だけで完結している素数の在り方は、まさにプッチ神父が理想とする「迷いのない魂」の象徴だったと言えるでしょう。
精神を安定させる「素数」の驚くべき心理的効果
物語的な演出だけでなく、実際に「素数を数える」という行為には、パニックを鎮める強力な心理的メカニズムが備わっています。
私たちが強いストレスや恐怖を感じている時、脳の中では「扁桃体」という部分が過剰に興奮しています。いわば感情が暴走し、理性がシャットダウンしている状態です。
ここで「1、2、3……」と普通の数字を数えても、あまり効果はありません。なぜなら、単純なカウントアップは脳が慣れすぎていて、無意識でもできてしまうからです。
しかし、素数は違います。
2、3、5、7まではスムーズにいけても、その先は「9は3で割れるからダメだ」「11はOK」「13もいける」「15は3と5で割れるから飛ばして17……」といった具合に、常に「これは割り切れるか?」という論理的な判定が必要になります。
この「論理的な計算」を行うためには、脳の「前頭葉」を働かせなければなりません。前頭葉が活発に動き出すと、逆に暴走していた扁桃体の興奮が抑えられるという性質があります。
プッチ神父は無意識のうちに、高度な知的負荷を自分にかけることで、強制的にパニック状態から脱し、冷静な判断力を取り戻していたのです。これは現代でいう「マインドフルネス」や「グラウンディング」に近い手法と言えます。
日常生活で役立つ「素数カウント」の活用シーン
ジョジョの世界だけでなく、私たちの現実世界でもこのテクニックは非常に有効です。具体的にどのような場面で使えるか、いくつか例を挙げてみましょう。
- 大切なプレゼンや面接の直前心臓がバクバクして逃げ出したくなった時、ゆっくりと「2、3、5、7、11……」と頭の中で唱えてみてください。計算に集中することで、周囲の視線やプレッシャーから意識を切り離すことができます。
- 怒りが爆発しそうになった時「アンガーマネジメント」では6秒待つことが推奨されますが、素数を数えればさらに確実です。相手に言い返す前に、心の中で31くらいまで数えてみましょう。数え終わる頃には、怒りのピークが去っているはずです。
- 眠れない夜の雑念払い明日への不安や過去の失敗がフラッシュバックして眠れない時、素数を数えるのは羊を数えるよりも効果的です。羊だとイメージが膨らんでしまいますが、素数は無機質で適度な集中を要するため、脳をほどよく疲れさせて入眠へと誘ってくれます。
もし、より集中力を高めたい場合は、お気に入りの ノイズキャンセリングイヤホン を装着して、外部の音を遮断した状態で素数の世界に没入するのもおすすめです。
素数を数える時の注意点とコツ
プッチ神父のように華麗に素数を数え上げるには、少しコツがあります。
まず、絶対に「1」から始めてはいけません。数学の定義上、1は素数ではないからです。神父も「2」から数え始めています。ここを間違えると、ジョジョファンとしては少し格好がつきません。
また、無理に大きな数字を目指す必要もありません。大切なのは「次の数字は割り切れるかどうか」を考えるプロセスそのものです。100までの素数を暗記するのも良いですが、その場で計算しながら導き出す方が、脳の切り替えスイッチとしては優秀です。
もし計算が面倒だと感じるなら、ジョジョの奇妙な冒険 第6部 のコミックスを読み返して、プッチ神父がどのタイミングで素数を数え、どのように自分を律していたのかを復習するのも良いでしょう。彼の徹底したプロ意識(?)を目の当たりにすれば、不思議と背筋が伸びるはずです。
「天国」を目指すプッチ神父の孤独と覚悟
プッチ神父が素数を数えるのは、単に落ち着くためだけではなく、彼自身の「覚悟」を再確認する儀式でもありました。
第6部のテーマは「引力」と「運命」です。人は運命に抗えるのか、それとも受け入れるべきなのか。プッチ神父は、全人類が自分の未来に起こる苦難をあらかじめ知る(覚悟する)ことこそが幸福だと信じていました。
彼が数える素数は、規則性のない数字の羅列です。それは一見すると不条理で予測不能な「運命」そのものに見えるかもしれません。しかし、一つ一つの素数は確実に存在し、自分自身を保っています。
プッチ神父にとって、素数を数えることは、混沌とした世界の中で「神が定めた真理」を一つずつ拾い集めていくような作業だったのかもしれません。
まとめ:ジョジョのプッチ神父が素数を数える理由は?意味や効果、日常生活で役立つ活用法も
エンリコ・プッチ神父という悪役が残した「素数を数えて落ち着く」という奇癖。それは、彼の孤独な魂を支える祈りであり、同時にパニックを鎮めるための極めて合理的なライフハックでもありました。
もしあなたが仕事でミスをして上司に叱られた時、あるいはSNSの通知が止まらず心がザワついた時は、プッチ神父の言葉を思い出してください。
「落ち着くんだ……素数を数えて落ち着くんだ……」
スマートフォンの Kindle でジョジョを読み返し、彼の強固な意志に触れるのもいいでしょう。あるいは、実際に指を折りながら素数を数え、自分の内面にある「孤独な静寂」を見つけ出してみてください。
1と自分自身でしか割り切れない素数の強さは、きっとあなたに、どんな逆境にも揺るがない「勇気」を与えてくれるはずです。さあ、2、3、5、7、11……。あなたの心に平安が訪れるまで、ゆっくりと数えていきましょう。
明日のあなたが、運命に対して「覚悟」を持って踏み出せるよう、この素数の知恵が役立つことを願っています。

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