『ジョジョの奇妙な冒険』を読み進めていると、ふとした瞬間に心に突き刺さるキャラクターが登場しますよね。それは主人公や宿敵だけでなく、名前すら明かされない「モブ」のはずのキャラクターだったりします。
特に第5部「黄金の風」に登場する「アバッキオの同僚の警官」は、ジョジョ全史を通じても屈指の名言を残した人物として、ファンの間で聖者のように崇められています。
今回は、ジョジョの世界における「警官」という存在にスポットを当て、彼らが体現した正義や、物語に与えた影響をじっくりと深掘りしていきます。
レオーネ・アバッキオを縛り続けた「警官」という過去
第5部の主要メンバーであるレオーネ・アバッキオを語る上で、彼がかつて「警官」であったという事実は避けて通れません。彼はもともと、純粋な正義感を持って警察官になりました。しかし、現実は彼の理想を無残に打ち砕きます。
命を懸けて守った市民から「あんたも少しは融通を利かせろよ」と賄賂を差し出される。悪党が金やコネを使って裁きを逃れる。そんな光景を日常的に目にするうちに、アバッキオの心は摩耗していきました。
「どうせ世の中なんてこんなものだ」
そう自分に言い聞かせ、一度だけ賄賂を受け取ってしまったことが、彼の人生を決定的な悲劇へと誘います。彼が賄賂を受け取った強盗犯が現場で鉢合わせになり、アバッキオを庇った相棒の警官が撃ち殺されてしまったのです。
この「警官時代の罪」こそが、アバッキオという男の根源にある闇であり、彼がブチャラティという「信じられるリーダー」に絶対的な忠誠を誓う理由にもなりました。
死の淵で再会した「名もなき同僚」が放った真実の言葉
アバッキオの物語が完結する時、私たちはジョジョ史上最高とも言える哲学に触れることになります。敵のスタンド攻撃を受け、命を落とそうとしているアバッキオの意識は、懐かしい「警官時代」の風景へと飛びます。
そこで彼は、かつての相棒――自分が死なせてしまった同僚の警官と再会します。アバッキオは自分が誰かも気づかぬふりをして、必死に捜査を続ける同僚に問いかけます。「そんなことをしても無駄ではないか」「犯人はもう逃げたかもしれない」と。
そこで同僚の警官が返した言葉は、読む者の魂を揺さぶるものでした。
「わたしは『結果』だけを求めてはいない。結果だけを求めていると、人は近道をしたがるものだ。近道した時、真実を見失うかもしれない。やる気も次第に失せていく」
この言葉は、第5部のラスボスであるディアボロの思想「結果だけが残る」に対する、真っ向からの否定でした。
「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている。向かおうとする意志さえあれば、たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう? 向かっているわけだからな」
この警官の言葉は、アバッキオが歩んできた苦難の道が決して無駄ではなかったことを証明しました。そして、アバッキオは安らかな表情で、黄金の精神を仲間たちに託して旅立っていったのです。
第4部「ダイヤモンドは砕けない」における町の守護者たち
ジョジョの警官といえば、第4部「杜王町」のエピソードも欠かせません。この部では、警察官が「日常の象徴」として描かれています。
主人公・東方仗助の祖父である東方良平もまた、町の平和を守り続けたベテラン警官でした。彼はスタンド使いではありませんでしたが、警察官としての誇りを持ち、町の人々に愛されていました。
しかし、凶悪犯アンジェロの手によって、良平は命を落としてしまいます。この事件は仗助にとって「自分がこの町を守らなければならない」という強い自覚を持たせるきっかけとなりました。
ジョジョにおける警官は、しばしば「スタンドという超常的な力」の前では無力な存在として描かれます。しかし、彼らが持っていた「町を守る」という意志そのものは、仗助や承太郎といったスタンド使いたちの中に確実に受け継がれていきました。
ジョジョ立ちする警察官?現実世界に広がるジョジョ愛
少し余談になりますが、ジョジョにおける警官のインパクトは、漫画の世界だけにとどまりません。
現実の日本でも、警察の広報活動において「ジョジョ」を意識したような動きが見られることがあります。SNSなどで、警察官がビシッとかっこいいポーズを決めている写真が投稿されると、ファンからは「これは実写版アバッキオか?」「ジョジョ立ちで交通安全を啓発している!」と大きな反響を呼ぶことがあります。
これは、ジョジョという作品が持つ「正義」や「規律」、そして「人間讃歌」というテーマが、警察官という職業が本来持つイメージと非常に相性が良いからかもしれません。アバッキオの同僚が語った「真実に向かおうとする意志」は、現実の法執行官にとっても究極の理想と言えるでしょう。
ジョジョファンなら、ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風 文庫版を読み返して、あの名シーンのディテールを改めて確認してみるのもおすすめです。
権力と腐敗、そして誇りの対比
荒木飛呂彦先生は、ジョジョの中で「警察」を単なる正義の味方としては描きません。
第6部「ストーンオーシャン」では、刑務所の看守たちが権力を笠に着て囚人を虐げる様子が描かれます。第1部でも、切り裂きジャックの事件に対して無力な警察の姿が描写されていました。
荒木先生が描きたいのは「組織としての正義」ではなく、あくまで「個人の魂の気高さ」なのだと感じます。
組織の中にいても、あるいは組織からドロップアウトしてギャングになっても、その胸に「黄金の精神」があるかどうかが問われる。アバッキオを救ったあの同僚の警官は、まさに組織の看板ではなく、自分自身の信念に従って生きた人物でした。
彼の言葉は、現代社会で「結果」ばかりを求められて疲弊している私たちの心にも、深く、優しく響きます。
「結果」が出ない時、自分の努力が無意味に思える時。そんな時は、アバッキオと警官が語り合ったあの並木道の風景を思い出してみてください。向かおうとする意志さえあれば、道は必ず繋がっているはずです。
まとめ:ジョジョに登場する警官の名言と名シーン集!アバッキオの同僚や心に響く黄金の精神
さて、ここまでジョジョにおける警官たちの活躍と、その背後にある深いメッセージについて見てきました。
アバッキオの過去を彩った悲劇、そして最期の瞬間に訪れた救い。東方良平が守ろうとした杜王町の平和。それらすべてに共通しているのは、「結果」よりも「過程」を、そして何より「意志」を尊重するジョジョ独自の美学です。
警官という、ともすれば記号的になりがちな存在にこれほどの重みを持たせるのは、やはり荒木先生の圧倒的な筆力と人間観があってこそでしょう。
もし、日々の生活で「自分は何のために頑張っているんだろう」と迷うことがあったら、ぜひ第5部のあの一節を読み返してみてください。そこには、時代を超えて語り継がれるべき「正しい人間の在り方」が記されています。
ジョジョの物語は、常に私たちの心の中にある「黄金の精神」を呼び覚ましてくれます。アバッキオの同僚が示したあの誇り高い後ろ姿を、私たちもそれぞれの人生の現場で追い続けていきたいものですね。
最後になりますが、アバッキオの物語をより深く体験したい方は、アニメ版の演出も必見です。音楽と声優さんの熱演が加わることで、あの名言の破壊力はさらに増しています。ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風 Blu-ray BOXなどで、その感動を何度でも味わってみてください。
ジョジョに登場する警官の名言と名シーン集!アバッキオの同僚や心に響く黄金の精神を胸に、今日も「真実に向かう意志」を持って歩んでいきましょう。

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