『ジョジョの奇妙な冒険』という作品は、独特のセリフ回しや濃密な世界観が魅力ですが、アニメ化においてその「魂」を吹き込んだのは間違いなく声優陣の熱演です。中でも、視聴者に強烈なインパクトを残し続けているのが諏訪部順一さん。
ジョジョファンなら誰もが知る第5部「黄金の風」のレオーネ・アバッキオ役はもちろん、実は第3部「スターダストクルセイダース」でも重要な敵役を演じていたことをご存知でしょうか?
今回は、諏訪部順一さんがジョジョの世界で見せた「静と動」の演技の魅力、そして彼が演じたキャラクターたちがなぜこれほどまでに愛されるのか、その理由を深く掘り下げていきます。
諏訪部順一が演じたジョジョのキャラクター:第3部と第5部の対比
諏訪部順一さんは、ジョジョのアニメシリーズにおいて、全く異なる性質を持つ二人のキャラクターを演じ分けています。この「演じ分け」こそが、彼がトップ声優たる所以です。
まず一人目は、第3部「スターダストクルセイダース」に登場したテレンス・T・ダービー。DIOの館の執事であり、魂を人形に封じ込める恐ろしいスタンド「アトゥム神」の使い手です。彼は非常に理知的で、ビデオゲームの勝敗で相手の魂を奪うという、現代的な恐怖を体現したキャラクターでした。
そして二人目が、第5部「黄金の風」のメインキャストであるレオーネ・アバッキオ。主人公ジョルノ・ジョバァーナが所属するブチャラティチームの一員であり、元警官という複雑な過去を持つ男です。
この二人の共通点は「執着心」ですが、その方向性は正反対です。テレンスは自分自身の勝利とコレクションへの執着、アバッキオは仲間への信頼と自らの正義への執着。諏訪部さんは、声のトーンや息遣い一つで、この「エゴイスト」と「孤高の戦士」を見事に描き出しました。
第3部の刺客テレンス・T・ダービーで見せた「狂気と小物感」の絶妙なバランス
第3部の終盤、承太郎たちを待ち受けていたテレンス・T・ダービー。諏訪部さんの演技は、登場時の「懃懃無礼で冷徹なエリート」から、敗北が見えた瞬間の「パニック状態」への転落が実に見事でした。
特に有名なのが、承太郎のイカサマ(?)に翻弄され、心の声で「もしかしてオラオラですかーッ!?」と絶叫するシーン。あのコミカルさと恐怖が入り混じった叫びは、諏訪部さんの高い表現力があってこそ成立した名シーンです。
テレンスの声は、どこか鼻にかかったような、相手を見下すような響きが含まれていました。それが、承太郎や花京院といった強者たちを相手に、精神的な優位に立とうとする「若き天才ゲーマー」のプライドを感じさせたのです。
もしこの対決を改めて高画質で楽しみたいなら、ジョジョの奇妙な冒険 第3部 Blu-rayなどで、彼の細かい感情の変化を聞き取ってみてください。ヘッドホンで聴くと、テレンスの精神的な動揺が声の震えとして伝わってきます。
第5部のレオーネ・アバッキオ:低音ボイスが響かせる「元警官の哀愁」
第5部で諏訪部さんが演じたアバッキオは、テレンスとは打って変わって、地を這うような重厚な低音ボイスが特徴です。
アバッキオは過去に汚職に手を染め、その結果として相棒を死なせてしまったという深い傷を負っています。「自分はもうどこにも行けない」と絶望していた彼が、ブチャラティという光を見出し、再び「正義」のために命を懸ける。その不器用で、しかし誰よりも義理堅い男の生き様が、諏訪部さんの声には宿っていました。
初登場時、新入りのジョルノに対して「アバ茶」を振る舞う際の意地の悪い低音から、スタンド「ムーディー・ブルース」を発動する際の鋭い掛け声。そして、命を賭してボスの正体を探る執念の演技。
アバッキオという男は、決して饒舌ではありません。言葉数が少ないからこそ、一言一言に乗せられた「重み」が重要になります。諏訪部さんは、その「沈黙の間の感情」を声の響きだけで説明してしまいました。
「ムーディー・ブルース」を際立たせる諏訪部順一の声の質感
アバッキオのスタンド、ムーディー・ブルースは「過去を再生する」という特殊な能力を持っています。戦闘向きではないものの、調査においてこれほど心強い能力はありません。
このスタンドが起動する際、諏訪部さんの「リプレイ」という声は、まるで機械的な冷徹さと、真実を暴こうとする情熱が同居しているかのように聞こえます。
アニメ版では、スタンドの電子音と諏訪部さんのバリトンボイスが絶妙にミックスされており、視聴者は視覚だけでなく聴覚からも「ジョジョの奇妙な世界」に引き込まれます。
アバッキオの最期のシーン、彼はかつての相棒(警官)と再会します。「大切なのは『真実に向かおうとする意志』だ」と告げられるあの名場面。諏訪部さんの、少し震えながらも浄化されたような穏やかな演技は、ジョジョファンだけでなく多くの視聴者の涙を誘いました。
あのシーンを最高の音響で聴き直すなら、Fire TV Stickなどを使って、大画面のテレビで一気に視聴するのもおすすめです。彼の最期のセリフは、まさに人生の深みを感じさせる名演でした。
諏訪部順一がジョジョで見せた「名言」の数々
ジョジョには多くの名言がありますが、諏訪部さんが命を吹き込んだセリフはどれも記憶にこびりつくものばかりです。
- 「飲めよ。……茶だ」(アバッキオ:ジョルノへの洗礼。あの緊張感とシュールさは諏訪部さんの声あってこそ)
- 「オレのスタンドは……『過去』を再生する……!」(アバッキオ:覚悟を決めた男の宣言)
- 「もしかしてオラオラですかーッ!?」(テレンス:ジョジョ史上最も有名な「心の叫び」の一つ)
- 「YES! YES! YES! “OH MY GOD”」(テレンス:ゲーム画面を通じた、アトゥム神の意思表示)
これらのセリフは、文字で読むだけでもインパクトがありますが、諏訪部さんの声で再生されると、そのキャラクターの性格やその場の空気感が一気に鮮明になります。
特に、テレンスの「YES」というセリフ。単なる肯定の言葉に、これほどまでの「勝ち誇った感」と、直後に訪れる「絶望の予兆」を込められる声優は、そう多くはありません。
なぜ諏訪部順一のアバッキオは「完璧」と言われるのか
多くのファンが、アバッキオのキャストが発表された際に「理想通りだ」と歓喜しました。その理由は、諏訪部さんが持つ「大人で、どこか影のあるセクシーな声質」にあります。
アバッキオは21歳という設定ですが、その経験してきた苦悩から、実年齢以上の貫禄と疲弊感を感じさせるキャラクターです。諏訪部さんは、単に声を低くするだけでなく、喉の奥から絞り出すような吐息を混ぜることで、アバッキオの「心の壁」を表現しました。
また、ジョルノに対する「ツンデレ」ならぬ、徹底した「ツン」の姿勢。しかし、ブチャラティが危機に陥ったときに見せる、なりふり構わない必死さ。この多面的な魅力を、一貫性を持たせながら演じきったことが、ファンからの絶大な信頼に繋がっています。
フィギュアなどのグッズ、例えば超像可動 ジョジョの奇妙な冒険 レオーネ・アバッキオを眺めながらアニメを観返すと、その造形の美しさと諏訪部さんの声が脳内でリンクし、より深く作品を堪能できるはずです。
現場でのエピソード:ジョジョ愛が生んだ名演
諏訪部順一さん自身、非常に熱心なアニメ・漫画ファンとして知られていますが、ジョジョという作品に対しても並々ならぬ敬意を持って挑んでいたことが伝えられています。
ジョジョのアフレコ現場は、独特の擬音やセリフ回しを再現するために、非常に高い熱量と集中力が求められます。諏訪部さんは、3部のゲスト出演の際からその現場の空気感を肌で感じ、5部でメインキャラクターを演じる際には、その伝統を継承しつつ、アバッキオとしての新しい風を吹き込みました。
音響監督の岩浪氏とのやり取りの中でも、キャラクターの解釈について深いディスカッションが行われたと言います。「ただ格好いいだけでなく、人間としての弱さや汚さ、それを乗り越えた先の強さ」を声に込める。そのプロ意識が、私たちを熱狂させるアバッキオを作り上げたのです。
ジョジョの物語における「声」の重要性
ジョジョの奇妙な冒険は、世代を超えた「受け継がれる意志」の物語です。それは制作現場でも同じで、3部で敵を演じた声優が、後の部で味方の主要キャラを演じるというキャスティングは、ファンにとって「運命の巡り合わせ」を感じさせる熱い展開です。
諏訪部順一さんが、DIOの部下(テレンス)からブチャラティの仲間(アバッキオ)へと、時を経て配役が変わったことは、ジョジョという大きな河の流れを象徴しているようにも思えます。
彼の声は、時に冷酷な支配者の代弁者となり、時に不器用な正義漢の叫びとなりました。これほどまでに振れ幅の大きい役を、どちらも「正解」だと思わせる力。それこそが、諏訪部順一という表現者の真髄です。
もし、これからジョジョを観ようと思っている人がいるなら、ぜひ「声」に注目してください。特に、諏訪部さんの出演回は、セリフの裏側に隠された感情の機微を読み取る楽しさがあります。
ジョジョの奇妙な冒険 第5部 黄金の風 全巻セットで一気に物語を追うと、アバッキオという男が歩んだ道のりが、声の変化と共に胸に迫ってくるはずです。
まとめ:ジョジョの諏訪部順一が残した、消えない黄金の精神
諏訪部順一さんが『ジョジョの奇妙な冒険』で演じたキャラクターたちは、単なるアニメの登場人物を超えて、私たちの心に深く刻まれています。
テレンス・T・ダービーで見せた、プライドの高い若者の滑稽さと恐怖。
レオーネ・アバッキオで見せた、過去と向き合い、未来を仲間に託した男の覚悟。
全く異なる二人でありながら、どちらも諏訪部さんでなければ到達できなかった境地の演技でした。特にアバッキオの「真実に向かおうとする意志」を体現した声は、私たちが困難に直面したとき、ふと思い出して勇気をもらえるような、不思議な力を持っています。
ジョジョという作品が続く限り、そして私たちがその物語を語り継ぐ限り、諏訪部順一さんが吹き込んだ魂は、黄金の精神として輝き続けるでしょう。
彼の名演技をもう一度、あるいは初めて体験するなら、ぜひ高音質の環境で、その細かな息遣いまで感じ取ってみてください。きっと、今まで気づかなかったキャラクターの新しい一面が見えてくるはずです。
「ジョジョ」と「諏訪部順一」。この二つのキーワードが交差した瞬間に生まれた奇跡を、私たちはこれからも大切に、リプレイし続けていくことでしょう。

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