「ジョジョの奇妙な冒険」という作品を語る上で、絶対に切り離せない要素があります。それは、私たちの耳を支配し、魂を震わせる「音楽」の存在です。
荒木飛呂彦先生が描く唯一無二のヴィジュアルに、最高に「ハイ!」になれる楽曲が合わさったとき、化学反応が起きて伝説的なシーンが生まれます。アニメのオープニング(OP)やエンディング(ED)、そして手に汗握るバトルを盛り上げる劇伴(BGM)。さらには、スタンド名の由来となった伝説の洋楽まで。
今回は、ジョジョの世界を深く、熱く彩る音楽の魅力を、初心者から古参ファンまで納得のボリュームで徹底的に紐解いていきましょう!
宿命を歌い上げる!第1部・第2部のアニソン革命
ジョジョのアニメ化が発表されたとき、ファンが最も注目したのは「どんな曲が流れるのか」でした。そこで届けられたのは、現代のアニソンの常識を覆すような、王道かつ熱いサウンドだったのです。
第1部:その血の運命(さだめ)
富永TOMMY弘明さんが歌うこの曲は、まさに「ジョジョの原点」です。ブラスセクションが鳴り響く昭和歌謡のような熱さと、現代的な力強さが同居しています。歌詞には「ジョジョ」というフレーズが何度も登場し、これから始まる100年にわたる因縁を完璧に表現していました。
劇伴を担当したのは、日本アニメ界の重鎮・田中公平さん。ディオの禍々しさとジョナサンの気高さを見事に音で対比させています。この重厚なオーケストラサウンドが、ジョジョという大河ドラマの土台を作ったと言っても過言ではありません。
第2部:BLOODY STREAM
第2部に入ると、音楽性は一変します。Coda(小田和奏)さんが歌うこの曲は、おしゃれでジャジーなダンスナンバー。ジョセフ・ジョースターの軽薄さと、その裏にある計算高さを象徴するようなリズムが心地いいですよね。
劇伴は岩崎琢さんが担当。ここでダブステップやヒップホップ、ローファイな要素が取り入れられたのは衝撃的でした。古代の遺物である「柱の男」たちとの戦いに、最先端のクラブミュージックをぶつけるセンス。このミスマッチが生む「奇妙な」かっこよさが、ジョジョ音楽のアイデンティティを確立しました。
菅野祐悟氏が提示した「処刑用BGM」という発明
第3部『スターダストクルセイダース』から、音楽の世界に一人の天才が加わります。それが作曲家の菅野祐悟さんです。
承太郎のテーマという「勝利の確信」
第3部で最も有名な曲といえば、やはり「スターダストクルセイダース」でしょう。ネット上では「処刑用BGM」として親しまれていますが、あのジャズとロックが融合したようなメインテーマが流れ出すと、視聴者は「あ、もう承太郎が勝ったな」と確信してしまいます。
菅野さんは、キャラクターの精神性を音にする達人です。承太郎のテーマには、彼の寡黙な強さと、内に秘めた熱い正義感が込められています。この曲を聴くためにアニメを観ている、というファンも多いのではないでしょうか。
宿敵DIOの威圧感
対するDIOのテーマも圧巻です。静寂の中に忍び寄るような不気味さと、時を止める圧倒的な力を感じさせる重低音。第3部クライマックスでの、OP映像にDIOが介入してくる演出(通称:特殊OP)と相まって、音楽が物語の一部として機能していることを証明しました。
日常と異常が交差する第4部のポップ・サウンド
第4部『ダイヤモンドは砕けない』の舞台は、日本の地方都市・杜王町。これまでの壮大な旅とは打って変わって、日常の中に潜む恐怖を描く物語です。
変化するオープニング
第4部はOP曲が3曲もあり、物語の進行に合わせてトーンが変わっていきます。
- 『Crazy Noisy Bizarre Town』:90年代ディスコを彷彿とさせるポップな楽曲。
- 『chase』:一転して、殺人鬼を追い詰める焦燥感溢れるロック。
- 『Great Days』:町全体で立ち向かう希望を感じさせる、多幸感ある賛歌。
特に『Great Days』の後半、バイツァ・ダストによって映像が巻き戻る演出は、ジョジョ音楽の演出力の極致と言えるでしょう。
吉良吉影の静かな恐怖
第4部の劇伴で特筆すべきは、殺人鬼・吉良吉影のテーマです。彼は「平穏に暮らしたい」と願う異常者。そのため、彼のテーマ曲は派手な悪の音楽ではなく、どこか優雅で、それでいて生理的な嫌悪感を煽るような旋律になっています。この「日常に混じる違和感」を音で表現できるのが、菅野祐悟さんの凄みです。
世界を熱狂させた『il vento d’oro』と第5部の黄金
ジョジョの音楽人気を世界規模に押し上げたのは、間違いなく第5部『黄金の風』でしょう。
伝説のピアノ・リフ
ジョルノ・ジョバァーナのテーマ曲『il vento d’oro』は、現在YouTubeやSNSで世界中に拡散されています。中盤でピアノの旋律が入り、一気にサックスが吹き荒れるあの構成。あの瞬間、敵の敗北が確定します。
イタリアを舞台にしたマフィアの物語に合わせて、劇伴にはラテンの情熱と、プログレッシブな緊張感が漂っています。菅野さんはこの部のために、実際にイタリアを訪れてインスピレーションを得たそうです。
歌詞に込められた「覚悟」
第5部のOP『Fighting Gold』と『裏切り者のレクイエム』。どちらも「運命に抗う」という強い意志が歌詞に込められています。ハスラーとしての過酷な生き様と、それでも黄金の精神を失わないブチャラティチームの姿が、力強いボーカルによって補完されています。
自由への渇望と歴史の集大成・第6部
空条徐倫が主人公の第6部『ストーンオーシャン』。刑務所という閉鎖空間から、宇宙の終焉へと向かう壮大な物語を、音楽はどう支えたのでしょうか。
徐倫の強さと女性らしさ
主題歌『Stone Ocean』は、パワフルな女性ボーカルが印象的なパンクロック。父親である承太郎への反発と、一人の人間として成長していく徐倫の姿が反映されています。
最終回へのカウントダウン
第6部の後半OP『Heaven’s falling down』では、物語がクライマックスに向かうにつれ、演出がどんどん変化していきます。そして最終回。第1部からの歴史をすべて詰め込んだような特殊演出と、あの「伝説の楽曲」が流れたとき、涙したファンは多いはずです。アニメスタッフの「ジョジョ愛」が音楽を通して爆発した瞬間でした。
荒木飛呂彦のルーツ!スタンド名の元ネタになった洋楽たち
ジョジョの音楽を語る上で、避けて通れないのが「洋楽元ネタ」です。荒木先生は大の音楽好きとして知られており、キャラクターやスタンドの名前の多くが、有名なアーティストや楽曲から取られています。
ロックの殿堂から引用されたスタンド
例えば、第3部のDIOのスタンド「ザ・ワールド」は、伝説的なボーカリスト、ロニー・ジェイムス・ディオが率いたバンドDioが由来と言われています。
他にも以下のような元ネタが有名です。
- 空条承太郎(スタープラチナ): 諸説ありますが、タロットカードと同時に、マイク・オールドフィールドなどのプログレ的なニュアンスも感じられます。
- 東方仗助(クレイジー・ダイヤモンド): Pink Floydの名曲「Shine On You Crazy Diamond」が由来。
- ジョルノ・ジョバァーナ(ゴールド・エクスペリエンス): プリンスのアルバムThe Gold Experienceから。
エンディング曲という名の「選曲眼」
アニメのED曲は、荒木先生のプレイリストを覗き見しているような贅沢なラインナップです。
- 第1部・第2部:Yesの「Roundabout」。
- 第3部:The Banglesの「Walk Like an Egyptian」やPat Metheny Groupの「Last Train Home」。
- 第4部:Savage Gardenの「I Want You」。
- 第5部:Jodeciの「Freek’n You」やEnigma。
- 第6部:Duffyの「Distant Dreamer」。
これらの曲は、単に有名なだけではありません。その部のテーマや空気感に驚くほどマッチしています。EDのイントロが流れるタイミング(いわゆる「引き」の演出)が完璧すぎて、視聴者は毎回鳥肌を立てることになるのです。
ジョジョ音楽を楽しむためのオーディオ環境
これほどまでにこだわり抜かれたジョジョの音楽。せっかく聴くなら、その重低音や繊細なピアノの旋律を余すことなく味わいたいですよね。
最近ではハイレゾ音源での配信も増えており、細かな楽器の定位まで感じ取ることができます。移動中ならSony WF-1000XM5のようなノイズキャンセリング性能の高いイヤホンがあれば、どこでも杜王町やネアポリスにトリップできます。
また、自宅でじっくり劇伴の世界に浸りたいなら、Sennheiser HD600のような開放型のヘッドホンもおすすめです。菅野祐悟さんが構築した多層的な音の重なりを、クリアに聴き取ることができるでしょう。
まとめ:ジョジョの奇妙な冒険を彩る音楽の魅力とは?歴代主題歌から劇伴、洋楽元ネタまで徹底解説!
ジョジョの音楽は、単なる背景音ではありません。それはキャラクターの「魂の叫び」であり、運命に立ち向かう者たちへの「賛歌」でもあります。
歴代の主題歌が紡いできたジョースター家の血統の物語。菅野祐悟さんをはじめとする天才たちが生み出した、心震える劇伴。そして、荒木飛呂彦先生がリスペクトを捧げた伝説の洋楽たち。これらすべてが複雑に絡み合い、「ジョジョの奇妙な冒険」という唯一無二の宇宙を作り上げています。
もし、これまで音楽をなんとなく聞き流していたという方がいれば、ぜひ一度「音」に注目して作品を振り返ってみてください。きっと、今まで気づかなかった新しいジョジョの魅力に出会えるはずです。
あのイントロが流れた瞬間、あなたの日常もまた「奇妙な冒険」へと変わるかもしれません。さあ、ヘッドホンを装着して、黄金の精神を耳から感じてみませんか?

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