「しんのすけ、父ちゃんがお前のスタンドになってやるゾ!」なんてセリフが聞こえてきそうなほど、ネット界隈で熱く語られる組み合わせがあります。それが、春日部が誇る理想の父親「野原ひろし」と、世代を超えて愛される冒険譚「ジョジョの奇妙な冒険」です。
一見すると、ビールと靴下の臭いを愛する平凡なサラリーマンと、ポージング一つで空気を変えるスタイリッシュな能力者たち。接点なんてなさそうに見えますよね?でも、実はこの二人(と一作品)の間には、ファンを熱狂させる「奇妙な縁」がいくつも隠されているんです。
今回は、なぜ野原ひろしがジョジョの世界観としっくり馴染んでしまうのか、その秘密を声優さんのエピソードや劇中のパロディ、そして魂の共通点から紐解いていきます。
魂を継承する声:藤原啓治さんと森川智之さんの系譜
野原ひろしとジョジョを繋ぐ最強の鎖、それはキャラクターに命を吹き込む「声」の存在です。歴代のひろし役を務めるお二人は、ジョジョの世界でも伝説級のキャラクターを演じています。
初代・藤原啓治さんが見せた「柱の男」の衝撃
まずは初代・野原ひろしを四半世紀にわたって演じ続けた、故・藤原啓治さん。彼がジョジョ第2部『戦闘潮流』で演じたのは、なんと人類の天敵である「柱の男」の一人、エシディシでした。
エシディシといえば、熱された血液を武器に戦う冷酷な怪人。しかし、戦いの中で激昂し、「あァァァんまりだァァアァ」と子供のように号泣して精神のバランスを保つという、シリーズ屈指の迷シーン(名シーン)を持っています。
この「喜怒哀楽の激しさ」と「どこか憎めない人間臭さ」は、ひろしが家族の前で見せるコミカルな一面と、どこか重なる部分があるのかもしれません。ネット上では「ひろしが本気を出すとエシディシになる」という愛あるネタが定着し、ひろしが怒るシーンにジョジョのBGMを合わせるファンも続出しました。
二代目・森川智之さんが演じる「静かに暮らしたい」男
藤原さんの後を継ぎ、現在のひろし役を務める森川智之さんもまた、ジョジョ界では避けて通れない重要人物を演じています。第4部『ダイヤモンドは砕けない』の宿敵、吉良吉影です。
吉良吉影の信条は「植物の心のように平穏に生きること」。表の顔は真面目なサラリーマン、裏の顔は……というキャラクターですが、この「サラリーマン」という属性が野原ひろしと完璧にリンクしてしまったのです。
森川さんがひろし役に決まった際、ファンからは「吉良吉影が、ついに春日部で理想の平穏を手に入れたのか」という祝福(?)の声が上がりました。どちらも「仕事帰りにネクタイを緩める姿」が似合う男性。声優さんの配役によって、野原ひろしというキャラクターに「最強のサラリーマン」というジョジョ的なオーラが加わったのは間違いありません。
『クレヨンしんちゃん』の中に隠れたジョジョの影
実は、アニメ『クレヨンしんちゃん』の制作スタッフにもジョジョ好きがいるのではないか、と噂されるほど、劇中にはジョジョを彷彿とさせる演出が散りばめられています。
伝説の「ジョジョ立ち」と描き文字
しんのすけやひろしが、ここぞという場面で不自然なほど腰をくねらせ、指先まで神経の通ったポーズを決めることがあります。いわゆる「ジョジョ立ち」のオマージュです。
特に映画版(劇場版クレヨンしんちゃん)では、アクションシーンの気合の入り方が凄まじく、画面の端々に「ゴゴゴゴ……」という重厚な擬音が見えるような演出もしばしば。ひろしが家族を守るために立ち上がる姿は、もはやスタンド使いのそれと言っても過言ではありません。
スタンド能力を彷彿とさせる「足の臭い」
ジョジョの世界では、一見弱点に見えるような特性が強力な能力(スタンド)に昇華されることがあります。ひろしの最大の武器といえば、言わずとしれた「足の臭い」ですよね。
映画『嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』において、自分の臭いで洗脳から目覚めるシーンは、まさに「自分自身の本質(精神力)で運命を切り拓く」というジョジョ的な展開そのもの。一部のファンの間では、ひろしの靴下は消臭スプレーすら寄せ付けない「近距離パワー型スタンド」として語り継がれています。
黄金の精神を持つ男:野原ひろしの哲学
ジョジョの物語を貫くメインテーマは「黄金の精神」です。正義を信じ、恐怖を克服し、守るべきもののために命を懸ける。この精神、実は野原ひろしの中に脈々と流れているんです。
恐怖を克服する勇気
ひろしは超人ではありません。32年ローンの自宅を抱え、上司に頭を下げ、お小遣い制に不満を漏らす、私たちと同じ「普通の人」です。しかし、家族に危機が迫ったとき、彼は恐怖を押し殺して最前線に立ちます。
「家族がいる幸せを、お前たちに分けてやりたいぜ!」
「自分の一生を、さほど面白くない人生だなんて思うな!」
こうしたひろしの名言には、ジョジョの歴代主人公たちが持つ「運命に抗う覚悟」が宿っています。彼にとってのスタンドとは、特殊能力ではなく「守るべき家族」という名の精神力なのかもしれません。
日常という名の戦場
ジョジョ第4部の舞台・杜王町のように、一見平和な町に潜む非日常。春日部もまた、宇宙人が来たり、過去に飛ばされたり、未来からロボットが来たりと、とんでもない非日常が日常に侵食してくる場所です。
そんな世界で、毎日ネクタイを締めて会社へ行き、夜はビールを飲んで笑う。この「日常を維持する力」こそが、野原ひろしが持つ最大の強さであり、ジョジョファンが彼を「最強の男」の一人としてリスペクトする理由なのです。
ネットで広がる「もしも野原ひろしがスタンド使いだったら」
インターネットのコミュニティでは、この二つの世界観をミックスさせた二次創作が今もなお盛んです。もしも、ひろしにスタンド能力が目覚めたら……という妄想は、止まることを知りません。
- スタンド名:32年ローン(サーティー・ツー・イヤーズ・デット)
- 能力:相手に「重圧(プレッシャー)」を与え、動きを鈍くする。
あるいは、彼の愛車をベースにした移動型スタンドなど、大喜利のような盛り上がりを見せています。こうしたネタが長年愛されるのは、野原ひろしというキャラクターの造形が、ジョジョという濃い世界観に負けないほど「個性的で、かつ普遍的」だからでしょう。
また、ジョジョの奇妙な冒険 文庫版を読み返した後に、ふとひろしの格言集を手に取ると、驚くほどメッセージ性がリンクしていることに気づかされます。どちらも「人間への讃歌」を歌っているのです。
野原ひろしとジョジョの奇妙な共通点とは?声優や名言、パロディを徹底解説!:まとめ
こうして振り返ってみると、野原ひろしとジョジョの繋がりは、単なる偶然や声優さんの重なりだけではないことが分かります。
そこには、
- 藤原啓治さん・森川智之さんというレジェンド声優が吹き込んだ魂の連続性
- 作品の垣根を超えて遊び心を忘れないクリエイターたちのリスペクト
- そして何より、泥臭くも家族を愛し、正義を貫く「黄金の精神」の共鳴
が存在しています。
ひろしがジョジョ立ちを決め、エシディシのように泣き、吉良吉影のように静かな幸せを願う。そんな風に多重構造でキャラクターを楽しめるのは、日本が誇るアニメ文化の醍醐味ですよね。
次に『クレヨンしんちゃん』を見る時は、ぜひひろしの立ち振る舞いに注目してみてください。もしかしたら、彼の背後に誇り高きスタンドの幻影が見えるかもしれませんよ。
もしあなたが、さらに深くこの「奇妙な縁」を体感したいなら、クレヨンしんちゃん 映画 DVDでひろしの活躍をチェックしてから、ジョジョの原作を読み返してみるのがおすすめです。きっと、春日部のサラリーマンがもっともっと格好良く見えるはずです。

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