「ドラゴンボールZ」の物語が幕を閉じてから、ファンがずっと待ち望んでいた「その後」の物語。それが2008年に公開されたアニメーション作品『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』です。
魔人ブウとの死闘から2年。世界に平和が戻り、誰もが穏やかな日々を過ごしていた頃、突如として宇宙から一機のポッドが飛来します。そこから現れたのは、なんとベジータの生き別れの弟、ターブルでした。
本作は、ジャンプ・スーパー・アニメツアー08で上映された特別映像でありながら、その後の劇場版『ドラゴンボールZ 神と神』やTVシリーズ『ドラゴンボール超』へと繋がる非常に重要なミッシングリンクとなっています。今回は、この隠れた名作のあらすじや見どころ、そして今から視聴する方法までを余すことなくお届けします。
魔人ブウ戦から2年後の平和なひととき
物語の舞台は、魔人ブウを倒してから約2年が経過した地球です。世界を救ったヒーローとして(表向きは)君臨するミスター・サタンが、自らの名前を冠した巨大ホテルを完成させ、その落成記念パーティーに悟空やベジータ、そしてかつての戦士たちが招かれるところから始まります。
久しぶりに顔を合わせた仲間たちは、豪華な料理を囲んで賑やかな時間を過ごしていました。戦闘狂のサイヤ人たちも、この時ばかりは戦いのことを忘れ、平和を噛み締めているようでした。しかし、そんな穏やかな空気を切り裂くように、二つのサイヤ人ポッドが地球に降り立ちます。
現れたのは、小柄で礼儀正しい青年サイヤ人・ターブル。彼はベジータに対して「兄さん」と呼びかけ、助けを求めます。かつてフリーザ軍の残党であるアボとカドに故郷の星を追われ、地球まで逃げ延びてきたというのです。
ベジータの弟「ターブル」という衝撃の設定
本作最大の見どころは、何と言ってもベジータに実の弟がいたという事実でしょう。ベジータ王によって「戦闘に向かない不適合者」として辺境の惑星へ飛ばされていたターブルは、粗暴なサイヤ人のイメージとはかけ離れた、温厚で知的な性格をしています。
驚くべきは、彼が連れてきた妻のグレです。どう見ても人間やサイヤ人には見えない不思議な形状をした異星人なのですが、非常に礼儀正しく、ベジータに対しても深々と頭を下げます。これには、あのプライドの高いベジータも毒気を抜かれたようで、戸惑いながらも挨拶を返すという、普段では絶対に見られないコミカルなシーンが描かれています。
このターブルというキャラクターは、後の劇場版『ドラゴンボールZ 復活のF』や『ドラゴンボール超』の劇中でも、サイヤ人の人数が必要になった際にその存在が言及されており、公式設定として非常に重要なポジションを確立しています。
新たな強敵?アボとカドの襲来
ターブルを追って地球に現れたのは、フリーザ軍の残党であるアボとカド。彼らはかつてのフリーザ軍において、ギニュー特戦隊に匹敵する実力者だったとされています。しかし、悟空たちが魔人ブウを倒した後の時間軸においては、彼らの実力はもはや脅威ではありません。
そこで悟空は、子供たちに経験を積ませるために、悟天とトランクスに相手をさせることにします。誰が戦うかを決める際、大根を引き抜くという平和な競争で決めるところも、本作らしいユーモアに溢れています。
アボとカドは特殊な分身能力などで翻弄しますが、悟天とトランクスのコンビネーションの前には苦戦を強いられます。追い詰められた二人は、最終手段として合体し「アカ」という巨大な戦士へと姿を変えます。
悟天とトランクスの活躍とゴテンクスの登場
合体したアカの圧倒的なパワーに対し、悟天とトランクスも負けてはいられません。ここでファン待望の「フュージョン」が披露されます。久しぶりに登場したゴテンクスは、相変わらずの自信満々な態度と多彩な技でアカを圧倒します。
しかし、アカが放った広範囲の破壊光線が、サタンのホテルや周囲の建物を破壊し始めます。ここでようやく、出番を待っていた悟空とベジータが動き出します。悟空が一瞬の隙を突いてアカを撃破し、最後はベジータが「おいしいところ」を持っていくという、お決まりのやり取りも健在です。
バトルシーン自体は短めですが、2008年当時の最新技術で描かれたアニメーションは非常に美しく、キャラクターたちの動きもキレがあります。特に食事シーンや日常の描写には、鳥山明先生らしい独特の緩い空気感が漂っており、観ているだけで楽しい気分にさせてくれます。
鳥山明イズム全開の演出と豪華なキャスト
本作のストーリー原案とキャラクターデザインは、原作者である鳥山明先生本人が手掛けています。そのため、ギャグのタイミングや新キャラクターのデザインが非常に洗礼されており、どこか懐かしくも新しいドラゴンボールの世界観を構築しています。
また、声優陣も非常に豪華です。野沢雅子さんをはじめとするお馴染みのメンバーに加え、この作品でしか聴けない貴重な演技も多く含まれています。特に、サタンや牛魔王といったサブキャラクターたちにもしっかりとスポットが当たっており、シリーズを通して作品を愛してきたファンへのファンサービスが至る所に散りばめられています。
エンディングテーマには、かつての主題歌を彷彿とさせる熱い楽曲が採用されており、物語の締めくくりにふさわしい爽快感を与えてくれます。
作品の評価とファンの反応
公開当時、ファンの間では「ベジータの弟」という設定に賛否両論がありましたが、実際に作品を観た人々の多くは、そのアットホームな雰囲気を高く評価しました。
「殺伐とした戦いもいいけれど、こういう平和なドラゴンボールが見たかった」「ベジータが奥さんを紹介されて困っている顔が最高」といった声が多く寄せられています。強さのインフレが進みすぎたシリーズにおいて、あえて原点回帰のような小規模な騒動を描いたことが、逆に新鮮な魅力となったのです。
また、本作がきっかけとなり、数年後の『ドラゴンボールZ 神と神』の製作へと繋がっていったことを考えると、ドラゴンボールの歴史を繋ぎ止めた救世主的な作品とも言えるでしょう。
現在の視聴方法と関連書籍
さて、これほど魅力的な本作ですが、実は視聴する方法が非常に限られています。もともとイベント上映用の作品であったため、通常のTV放送や映画館での一般公開が行われませんでした。
主な視聴方法は以下の通りです。
- DVD/Blu-rayの特典: 劇場版『神と神』の特別限定版に、特典ディスクとして収録されている場合があります。
- 単独DVD: 期間限定で発売されたDVDを探す必要がありますが、現在は中古市場で見かけることが多くなっています。
- コミカライズ版: Vジャンプにて掲載されたオオイシナホ先生による漫画版でストーリーを追うことができます。
動画配信サービス(VOD)での取り扱いは非常に稀であるため、もし物理メディアを見つけたら非常にラッキーです。ぜひチェックしてみてください。
ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!が教えてくれるもの
物語の最後、崩壊したホテルをよそに、みんなで仲良く食事を再開するシーン。そこで悟空が放つ「オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!」という台詞は、まさにタイトルを回収すると同時に、ファンに向けた「ただいま」の挨拶のようにも聞こえます。
この作品は、単なる番外編ではありません。サイヤ人の絆、家族の形、そしてどんなに強くなっても変わらない悟空たちの「食いしん坊で明るい日常」を詰め込んだ、最高のギフトです。
もしあなたが、激しいバトルだけでなく、キャラクターたちの愛すべき日常も大好きなら、この作品は間違いなく心に刺さるはずです。ベジータの弟ターブルの活躍、そして再び集結した仲間たちの姿を、ぜひその目で確かめてみてください。
『ドラゴンボール オッス!帰ってきた孫悟空と仲間たち!!』を観れば、きっとあなたも、もっとドラゴンボールという作品が好きになるはずですよ。

コメント