「ドラゴンボール」という壮大な物語の中で、皆さんの心に最も深く刻まれているシーンはどこでしょうか?フリーザとの死闘、セルゲームの決着、あるいは魔人ブウとの最終決戦……。数え上げればキリがありませんが、初期の物語において、読者の涙を誘い、主人公・孫悟空の「原点」を再確認させた伝説のエピソードがあります。
それが、占いババの宮殿で登場した「キツネの面を被った謎の男」との再会です。
今回は、あのキツネの面の正体である孫悟飯じいちゃんにスポットを当て、なぜ彼がお面を被っていたのか、そしてあの再会シーンがなぜこれほどまでにファンの胸を打つのか、その魅力を徹底的に解説していきます。
突如現れた強敵!占いババの五人目の戦士
レッドリボン軍を壊滅させた後、悟空たちは最後のドラゴンボールの場所を知るため、占いの名手・占いババの元を訪れます。しかし、占ってもらうためには高額な料金を支払うか、彼女が用意した5人の戦士を倒さなければなりません。
ドラキュラマン、スケさん、ミイラくん、そしてアックマン。名だたる強敵を破った悟空の前に最後に立ちはだかったのが、どこか古風な道着に身を包み、不気味な「キツネの面」を被った謎の老人でした。
この男、ただ者ではありませんでした。それまでの怪物たちとは違い、洗練された武術の動きを見せ、あのかめはめ波まで使いこなすのです。読者の誰もが「このじいさんは一体何者なんだ?」と手に汗握った瞬間でした。
キツネの面の正体は「育ての親」孫悟飯
激闘の末、その正体が明かされます。キツネの面の下に隠されていたのは、悟空の育ての親であり、武術の師匠でもあった「孫悟飯じいちゃん」でした。
悟空が赤ん坊の頃、山の中で拾われてから死別するまで、二人は親子以上の絆で結ばれていました。しかし、悟飯じいちゃんは悟空が満月の夜に大猿化した際、不幸にも踏みつぶされて命を落としてしまいます。
悟空自身は自分がじいちゃんを殺してしまった自覚がなく、「じいちゃんは怪獣にやられた」と思い込んでいました。そんな大切な人が、あの世から一日だけ現世に呼び戻され、目の前に現れたのです。
なぜ「キツネの面」を被って戦ったのか?
では、なぜ孫悟飯はじいちゃんだと名乗らずに、わざわざキツネのお面で顔を隠して戦ったのでしょうか。そこには、師匠としての深い親心がありました。
- 悟空の実力を試すため自分が死んだ後、悟空がどれほど成長したのかを肌で感じたかった。
- 弱点を教えるため当時の悟空には「しっぽを掴まれると力が出なくなる」という致命的な弱点がありました。悟飯じいちゃんはあえてそこを攻めることで、実戦での脆さを教えようとしたのです。
- 驚かせたかったからこれは悟飯じいちゃんの少しお茶目な性格によるものですが、最高のタイミングで正体を明かして悟空を喜ばせたいという狙いもありました。
単なる再会ではなく「手合わせ」という形をとったのは、武道家としての彼なりの愛情表現だったと言えるでしょう。
全ファンが涙した「悟空の涙」と再会の抱擁
正体が判明した瞬間、物語は一気に感動の渦に包まれます。
それまで、どんなに強い敵を前にしても、あるいは命の危険にさらされても、カラッとした笑顔を見せていた悟空。そんな彼が、じいちゃんの顔を見た瞬間に顔をクシャクシャにして、「じいちゃーーーん!!」と泣き叫びながら駆け寄ったのです。
このシーンが特別なのは、無敵のヒーローになりつつあった悟空が、初めて「一人の幼い子供」に戻った瞬間だからです。しっぽを掴まれてボロボロになりながらも、じいちゃんが生きて(一時的にですが)目の前にいる喜び。その純粋な感情の爆発に、当時の読者は涙を禁じ得ませんでした。
あの世での再会と「孫悟飯」という名の継承
再会の時間は短く、悟飯じいちゃんは再びあの世へと帰っていきます。悟空はドラゴンボールで生き返らせることを提案しますが、じいちゃんは「あの世にはピチピチしたギャルもいるし、快適だ」と笑って断ります。このあたり、亀仙人の一番弟子らしい、どこか達観した明るさがありますよね。
そして、この「孫悟飯」という名前は、後に悟空の長男へと受け継がれます。チチが名前を決めかねていた際、たまたま「悟飯」という言葉に反応して笑った赤ん坊を見て、悟空が「じいちゃんと同じ名前だ!」と喜んで名付けたエピソードは有名です。
悟空にとって孫悟飯という存在は、それほどまでに大きく、温かいものだったのです。
ドラゴンボールの「キツネの面」の正体は?孫悟飯じいちゃん再会の名シーンを徹底解説・まとめ
初期「ドラゴンボール」の中でも屈指の神回として語り継がれる、キツネの面の男との再会エピソード。それは、最強を目指す少年の物語の中に、家族の絆という温かい血を通わせた重要な分岐点でした。
キツネのお面は、単なる変装の道具ではなく、師から弟子へ、そして祖父から孫へと注がれた深い愛情の象徴だったのかもしれません。悟空がその後、数々の苦難を乗り越えて地球を守る英雄になれたのも、この再会で「自分を見守ってくれている存在」を確信できたからではないでしょうか。
もし、久しぶりに初期の単行本を読み返す機会があれば、ぜひこの占いババ編をじっくり読んでみてください。あのキツネの面の下にある、優しさに満ちたじいちゃんの笑顔を、きっと今ならもっと深く感じ取れるはずです。
もしあなたが初期のドラゴンボールをもう一度映像で楽しみたいなら、ドラゴンボール DVDをチェックしてみるのも良いかもしれません。あの感動の再会シーンは、何度見ても色褪せることがありません。
ドラゴンボールという作品が、単なるバトル漫画を超えて愛され続ける理由。それは、こうした「心」の交流が丁寧に描かれているからに他なりません。

コメント