「真島ヒロ先生の作品といえば?」と聞かれたとき、今の若い世代なら『FAIRY TAIL』や『EDENS ZERO』を思い浮かべる方が多いかもしれません。でも、私たちの世代にとって、そして真島作品の原点を語る上で絶対に外せないのがRAVEです。
1999年から『週刊少年マガジン』で連載が始まったこの物語は、全35巻という少年漫画としてもっとも「美しく完結する」ボリュームの中に、冒険、友情、愛、そして驚愕の伏線がこれでもかと詰め込まれています。
今回は、今なお色褪せない名作RAVEの見どころを、物語を彩る魅力的なキャラクターたちと共にじっくりと深掘りしていきます。あの頃夢中で読んだ人も、これから手に取ろうとしている人も、ぜひこの王道ファンタジーの世界に浸ってみてください。
王道でありながら異色!『RAVE』という物語の骨格
RAVEの物語は、世界を闇に陥れる魔石「ダークブリング」と、それを打ち砕く聖石「レイヴ」を巡る戦いです。
主人公のハル・グローリーは、ひょんなことから二代目レイヴマスターとなり、世界を救う旅に出ます。これだけ聞くと「よくある勇者もの」に思えるかもしれません。しかし、本作が他の王道ファンタジーと一線を画すのは、その「重厚な歴史背景」と「緻密に張り巡らされた伏線」にあります。
旅の目的は、世界中に散らばった5つのレイヴを集めること。しかし、その過程で明かされるのは、50年前の「大破壊(オーバードライブ)」の真実や、ハルの父・ゲイルが背負った過酷な宿命、そしてヒロイン・エリーの記憶に隠された世界の成り立ちです。
ただ敵を倒すだけのバトル漫画ではなく、過去と現在がパズルのピースのようにはまっていく快感こそが、本作の最大の見どころといえるでしょう。
主人公ハルと変幻自在の剣「テン・コマンドメンツ」
物語を牽引するのは、銀髪で真っ直ぐな心を持つ少年、ハル・グローリーです。ハルの魅力は、圧倒的な「主人公感」にあります。仲間を信じ、折れない心を持つ彼は、読者が安心して背中を預けられる存在です。
そして、ハルの戦闘を支えるのが、巨大な剣テン・コマンドメンツ(十戒の剣)です。この剣はレイヴの力で10の形態に変化します。
- 爆発する剣「エクスプロージョン」
- 音速のスピードを生む「ミリオンサンズ」
- 魔法を切り裂く「ルーン・セイブ」
- 双剣となる「ブルー・クリムゾン」
次はどの剣で戦うのか?というワクワク感は、まるでRPGをプレイしているかのような高揚感を与えてくれます。特に、物語終盤で登場する10番目の剣が何を意味するのか。その名前が判明するシーンは、本作屈指の熱い展開としてファンに語り継がれています。
ヒロイン・エリーと「記憶」に隠された謎
本作のヒロイン、エリーは単なる「守られる存在」ではありません。ギャンブル好きで天真爛漫な彼女ですが、その正体こそが物語最大のミステリーとなっています。
彼女はなぜ記憶を失っているのか?なぜ彼女の体には、破壊の魔法「エーテリオン」が宿っているのか?
物語が進むにつれ、彼女と50年前に世界を救った聖女「リーシャ・バレンタイン」との関係が浮き彫りになっていきます。エリーが自分の過去と向き合い、愛する人たちを守るために覚悟を決める姿には、胸を打たれること間違いなしです。
読者の涙を絞り取った「ジークハルト」という男
RAVEを語る上で、絶対に避けて通れないキャラクターがいます。それが魔導士ジークハルトです。
初登場時は、エリーの命を狙う冷徹な敵役として現れた彼。しかし、彼は誰よりも「世界の均衡」を重んじる男でした。やがてハルたちの良き理解者となった彼が、物語中盤で下した「ある決断」は、漫画界に残る伝説的なエピソードとして知られています。
エリーと世界の未来を守るため、彼は過去の時間に取り残される道を選びます。そして、何百年、何千年という時間をたった一人で過ごし、ハルたちが現代でその場所に辿り着くまで「待ち続けた」のです。
物語の序盤、ハルたちが何気なく通り過ぎた「ある場所にあった骸骨」。その正体が判明した瞬間、読者は言葉を失いました。この伏線回収の美しさと、ジークハルトの献身的な愛は、今思い出しても涙が溢れるほどの名シーンです。
ムジカとプルー、旅を共にする仲間たちの絆
ハルの相棒、銀術師(シルバークレイマー)のハムリオ・ムジカも欠かせない存在です。不良のリーダーでありながら、一族の悲しい過去を背負い、武器職人としての誇りを持つ彼。ハルが「剣」ならムジカは「盾」として、あるいは親友として、ハルの成長を支え続けます。
そして忘れてはいけないのが、作品のアイコンであるプルーです。
「犬(?)」「飴玉みたいな鼻」というシュールな見た目ながら、実はレイヴの守護者という大役を担っています。後の『FAIRY TAIL』にも登場するスターシステム的なキャラクターですが、その原点であるRAVEでのプルーは、時に可愛く、時に勇ましく、物語の清涼剤となってくれます。
敵組織「デーモンカード」と家族の物語
RAVEの面白さは、敵役の背景にもあります。
闇の組織「デーモンカード」の首領、キング(ゲイル・レアグローブ)。彼は主人公ハルの父、ゲイル・グローリーとかつて親友同士でした。
同じ「ゲイル」という名を持つ二人の男が、なぜ対立し、家族を巻き込む悲劇を生んでしまったのか。この「父と子の因縁」も物語の太い柱となっています。
また、敵の幹部たちも個性的です。ただ悪に染まっているだけでなく、それぞれの信念や守りたいもののために戦っている。だからこそ、決着がついた後の彼らの散り際が、読者の心に深く刻まれるのです。
圧倒的な加速感!終盤の伏線回収が凄まじい
『RAVE』という作品の凄みは、30巻を超えたあたりからの怒涛の展開にあります。
それまでバラバラだった情報が、一つの線に繋がっていく。
- なぜプルーがハルの元に現れたのか。
- なぜハルの父は旅に出たのか。
- 50年前の戦いの「本当の結末」は何だったのか。
すべての答えが最終決戦に向かって収束していく様は、まさに圧巻です。連載当初からここまでの結末を構想していたのだとしたら、真島ヒロ先生の構成力には脱帽するしかありません。
特に最終回、すべての戦いが終わった後に描かれる「再会」のシーン。王道でありながら、これ以上ないほど爽やかで、読後の多幸感に包まれるラストは、まさに名作の証明と言えるでしょう。
今こそ読み返したい名作漫画
連載終了から長い月日が経ちましたが、RAVEが持つエネルギーは今も衰えていません。
最近の漫画は設定が複雑だったり、ダークな展開が多かったりしますが、本作は「正義は勝つ」「約束は守る」「仲間は裏切らない」というシンプルなメッセージが核にあります。そこに緻密な伏線が加わることで、大人でも十分に読み応えのあるエンターテインメントに仕上がっています。
全35巻というボリュームも、週末に一気に読み耽るのに最適です。電子書籍や文庫版も発売されているので、ぜひこの機会に、世界を救う旅に出かけてみてはいかがでしょうか。
漫画レイヴの見どころは?名作の魅力をキャラクターと共に振り返る:まとめ
ここまでRAVEの魅力を振り返ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
ハルの成長、エリーの謎、ジークハルトの献身、そして胸を熱くする伏線回収の数々。本作は、まさに少年漫画の「理想形」の一つと言っても過言ではありません。
「漫画レイヴの見どころは?」と聞かれたら、私は迷わずこう答えます。「すべてのキャラクターが自分の運命を全うし、未来を切り開く姿そのものだ」と。
真島ヒロ先生が描く、愛と勇気の冒険譚。未読の方はその圧倒的なカタルシスを、既読の方はあの日の感動を、ぜひもう一度RAVEのページをめくって確かめてみてください。きっと、また新しい発見があるはずです。

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