漫画『レッド』の見どころを徹底解説!登場人物とストーリーの行方

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1970年代初頭、日本中を震撼させた「連合赤軍事件」。この歴史的事件を、冷徹なまでのリアリズムと圧倒的な描写力で描き切ったのが、山本直樹先生の漫画レッドです。

「なぜ、若者たちは仲間を殺し合わなければならなかったのか?」「あさま山荘で何が起きていたのか?」

そんな現代の私たちが抱く問いに対し、本作は単なる歴史の再現を超えた「生身の人間たちのドラマ」として迫ってきます。今回は、読めば心に深い爪痕を残す名作レッドの魅力を、登場人物の背景やストーリーの核心に触れながら徹底的に解説していきます。


凄惨な事件を「若者の日常」から描き出す衝撃作

漫画レッドの最大の魅力は、テロリストや過激派というレッテルを剥がし、彼らを「どこにでもいる若者」として描いている点にあります。

物語の舞台は、学生運動が激しさを増す1960年代末から70年代。当時の若者たちは、世界を変えたいという純粋な理想に燃えていました。彼らがなぜ山にこもり、武装し、最終的に凄惨な「総括」という名のリンチに至ったのか。山本直樹先生は、その過程を極めて淡々と、そして緻密に描写していきます。

本作を読み進めると、彼らが特別な異常者だったわけではないことが分かります。恋をしたり、将来に悩んだり、美味しいものを食べたいと願ったりする。そんな当たり前の日常の延長線上に、狂気が忍び寄ってくる恐怖。この「グラデーション」こそが、読者を物語の奥深くへと引き込む要因となっています。


全3部構成で辿る、連合赤軍の結成から終焉まで

本作は、事件の全貌を網羅するために3つのシリーズに分かれています。時系列順に整理することで、彼らがどのような道を辿ったのかがより鮮明になります。

  • 第1部:『レッド』1969年から1971年までを描きます。別々の組織だった若者たちが合流し、「赤軍」として団結していく過程です。まだ希望や熱気が残っている時期であり、彼らがどのようにして非日常の世界へと足を踏み入れたのかが詳細に描かれます。
  • 第2部:『レッド 最後の60日 そしてあさま山荘へ』物語は一気に暗転します。警察の追跡を逃れて雪山に潜伏した一行。極限状態の中で「総括」が始まり、昨日まで笑い合っていた仲間たちが一人、また一人と命を落としていく。本作で最も精神的にくる、しかし目を離せないパートです。
  • 第3部:『レッド 最終章 あさま山荘の10日間』文字通り、日本中が注目した「あさま山荘事件」の10日間をクローズアップ。山荘内部で彼らが何を思い、どのように最期を迎えたのか。圧倒的な緊迫感で物語は幕を閉じます。

絶望感を煽る「死のカウントダウン」という演出

レッドを語る上で外せないのが、あまりにも残酷な演出手法です。新しいキャラクターが登場する際、その名前の横には必ずと言っていいほど「死まであと〇〇日」という注釈が添えられています。

読者は、そのキャラクターがいずれ死ぬことをあらかじめ知らされた状態で読み進めることになります。彼らがどれだけ熱く夢を語っても、誰かに恋をしても、その先には死しかない。この「避けられない運命」が、ページをめくる指を重くさせ、物語に逃げ場のない絶望感を与えています。

特に、何の罪もないような純粋な若者が、些細なきっかけで組織から切り捨てられていく様子は、現代社会における集団心理や組織の暴走を予見しているかのようです。


実在のモデルから見る登場人物たちの光と影

本作のキャラクターには、すべて実在の連合赤軍メンバーというモデルが存在します。彼らの造形を知ることで、ストーリーの行方がより深く理解できます。

  • 岩木(モデル:植垣康博)物語の狂言回し的な役割を担います。過激な思想の中にいながら、どこか客観的な視点を捨てきれない青年。彼が極限状態で何を見、何を感じたのかは、読者が最も感情移入しやすいポイントです。
  • 赤木(モデル:永田洋子)組織の女性指導者。自身の容姿へのコンプレックスや、他者への激しい嫉妬を「革命理論」という言葉で正当化し、凄惨な総括を主導していきます。彼女のヒステリックなまでの攻撃性は、本作における「負のエネルギー」の中心です。
  • 北(モデル:森恒夫)軍事的なリーダーシップを取る男性。強い言葉で仲間を鼓舞しますが、その内面は自己矛盾に満ちており、脆い。彼と赤木が共鳴し合うことで、組織は修復不可能な狂気へと突き進んでいくことになります。
  • 天城(モデル:遠山美枝子)前半のヒロイン的な存在。非常に美しく、周囲からも慕われていた彼女が、なぜ標的にされたのか。彼女が「総括」され、変わり果てた姿になっていく描写は、多くの読者にトラウマを植え付けるほどの衝撃を与えました。

これらの人物たちが織り成す愛憎劇は、単なる歴史の記録ではなく、人間の業(ごう)を描いた普遍的なドラマとして成立しています。


なぜ彼らは仲間を殺したのか?「総括」の正体

本作のメインテーマとも言えるのが、集団リンチである「総括」です。なぜ、敵ではなく味方を攻撃し始めたのか。そこには、閉鎖空間における独特の心理メカニズムが働いていました。

最初は「革命戦士としてふさわしくない振る舞いを反省させる」という教育的な意味合いでした。しかし、それは次第にエスカレートしていきます。「鏡を見てオシャレをした」「妊娠した」「リーダーに反論した」。そんな些細なことが「死に値する罪」へと飛躍していくのです。

仲間を殴り、衰弱させ、死に至らしめる。それを「これは本人のためである」「革命のための試練である」と言い聞かせる恐怖。この、善意が狂気に反転するプロセスを、レッドは見事に描き出しています。


山本直樹流の「ドライな表現」が際立たせるリアリティ

本作の絵柄は、非常にシンプルで淡々としています。劇的な効果線や過剰な泣き顔といった演出はほとんどありません。しかし、その「ドライさ」こそが、当時の冷え切った空気感を伝えるのに最適な手法となっています。

血が流れるシーンも、人が死ぬシーンも、まるで日常の風景の一部であるかのように描かれます。この突き放したような視点が、読者に「これは現実に起きたことなのだ」という事実を突きつけてくるのです。

また、極限状態における性描写についても、山本直樹先生らしい赤裸々さがあります。思想や理想を語りながらも、肉体的な欲求に抗えない人間の滑稽さや悲哀。精神と肉体の乖離が、物語にさらなる奥行きを与えています。


現代社会にも通じる、集団心理の危うさ

レッドが描いているのは、半世紀前の出来事です。しかし、そこで起きていることは決して古臭いものではありません。

特定の思想に染まった集団が、内部で「純化」を求め、異分子を排除していく。これは現代のSNSにおける「炎上」や「バッシング」、あるいはブラック企業やカルト的なコミュニティで起きていることと驚くほど似ています。

「自分たちは正しいことをしている」と信じ込んでいる時、人間はどこまで残酷になれるのか。本作は、歴史漫画という枠を超えて、組織に属するすべての人間に対する警鐘となっています。


ストーリーの終焉と「あさま山荘」への道のり

第2部で多くの仲間を失い、ボロボロになった生き残りたちは、ついに軽井沢の「あさま山荘」へと逃げ込みます。ここで物語はクライマックスを迎えます。

山荘を包囲する膨大な数の警察官と、テレビ中継を見守る日本国民。その中心で、鉄球が壁を打ち破る音を聞きながら、彼らは何を考えていたのか。

最終章では、これまで積み重ねてきた一人ひとりの「死までのカウントダウン」がゼロになる瞬間が描かれます。熱狂の終わり、理想の崩壊、そして残された虚無感。読み終えた後、しばらく動けなくなるほどの重厚なラストが待っています。


まとめ:漫画『レッド』の見どころを徹底解説!登場人物とストーリーの行方

ここまで、山本直樹先生が圧倒的な筆致で描き出した漫画レッドの魅力をお伝えしてきました。

本作は、単に凄惨な事件を追ったドキュメンタリーではありません。そこにあるのは、理想に燃えた若者たちが自滅していくまでの「心の軌跡」です。緻密な取材に基づくリアリティと、山本先生特有の冷徹な演出が合わさり、他の追随を許さない唯一無二の作品となっています。

最後に、この記事の内容を振り返りましょう。

  • 日常から狂気へ: どこにでもいる若者が、少しずつ一線を越えていく過程のリアリティ。
  • 全3部の壮大なスケール: 結成からあさま山荘の終焉までを網羅した完璧な構成。
  • 死のカウントダウン: 読者の逃げ場を奪う、無慈悲で画期的な演出。
  • 現代的なテーマ: 現代の組織論や集団心理にも通じる、普遍的な人間の業。

歴史に興味がある方はもちろん、人間心理の深淵を覗いてみたい方、そして「正義」という言葉の危うさを知りたい方にとって、レッドは必ず読むべき一冊と言えます。

一度手に取れば、彼らの叫びと雪山の冷たさが、あなたの心に消えない痕跡を残すはずです。漫画『レッド』の見どころを徹底解説!登場人物とストーリーの行方を追ったこの旅を、ぜひあなた自身の目で、最後まで見届けてみてください。

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