「あの圧倒的な熱量で描かれていた『はねバド!』が、なぜ終わってしまったの?」
「もしかして打ち切りだったんじゃないの?」
そんな疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。女子バドミントンの世界を、時に残酷なほどリアルに、時に息を呑むような迫力で描き出した名作『はねバド!』。物語が終盤に向かうにつれ、その熱量に圧倒される一方で、「急に終わってしまった」と感じた読者がいたのも事実です。
今回は、ネット上でまことしやかに囁かれる「はねバド!打ち切り説」の真相について、原作の展開や背景から深く掘り下げていきます。なぜ本作が今もなお、スポーツ漫画の金字塔として語り継がれているのか。その理由が、完結の形に隠されていました。
「はねバド!」が打ち切りと言われる3つの誤解
まずハッキリとお伝えしておきたいのは、『はねバド!』は決して打ち切りではありません。物語の結末までしっかりと描き切られた「円満完結」です。それなのに、なぜ「打ち切り」という不名誉なキーワードが浮上してしまったのでしょうか。
そこには、いくつかの大きな誤解と、作品特有の「変化」が関係しています。
1. 初期と後期で「別の漫画」レベルに作風が変わった
連載初期の『はねバド!』を覚えているでしょうか。最初は、少し内気な少女・羽咲綾乃が、仲間たちとバドミントンを楽しむ、どこか「ラブコメ」や「日常系」の雰囲気も漂う爽やかなスポーツ漫画でした。
しかし、物語が進むにつれて作者・濱田浩輔先生の画力と演出は凄まじい進化を遂げます。汗のしぶき、筋肉の躍動、そして勝負の世界に身を置く者の狂気。中盤以降は「これ、本当に同じ漫画?」と疑うほどシリアスで重厚な、超本格スポーツ漫画へと変貌を遂げたのです。
この劇的な路線変更に驚いた一部の読者が、「迷走しているのではないか」「人気が落ちて打ち切られるのでは」と危惧したことが、打ち切り説の種になったと考えられます。
2. アニメ化から完結までのタイミング
2018年にテレビアニメが放送され、その約1年後の2019年に原作が連載終了を迎えました。一般的に、アニメ化は原作のプロモーションを兼ねることが多いため、「アニメが終わってすぐに連載も終わる=人気がなくなった」と結びつけて考えてしまう読者が一定数存在したのです。
しかし、実際にはアニメ放映時にはすでに物語の着地点が見えており、最高の盛り上がりの中で幕を閉じるための準備が進められていました。
3. 最終回のテンポが非常に速かった
最終巻である16巻。インターハイ決勝という、物語最大のクライマックスを描き終えた後のエピローグは、非常にスマートにまとめられていました。
長年追いかけてきたファンからすれば「もっとその後の綾乃が見たかった」「卒業までじっくり描いてほしかった」というロス感があったはずです。その「もっと読みたかった」という飢餓感が、転じて「もっと描けたはずなのに終わったのは打ち切りだからだ」という推測に繋がってしまったのでしょう。
原作者・濱田浩輔先生が描き切った「答え」
打ち切りどころか、『はねバド!』の完結は、スポーツ漫画として一つの「到達点」に達したと言えます。
本作のテーマは一貫して「なぜ、バドミントンをするのか?」という問いでした。主人公の羽咲綾乃は、かつて自分を置いて去った母への愛憎、復讐心、そして強烈な孤独を抱えながらコートに立っていました。その姿はまさに「魔王」そのもの。
しかし、ライバルたちとの死闘を経て、最終的に彼女がたどり着いたのは、誰かのためでも憎しみのせいでもない「自分の意志」でした。
圧倒的な書き込み量と肉体美
濱田先生のこだわりは、最終巻の1ページ1ページから溢れ出しています。バドミントン特有の激しいフットワークや、シャトルを叩きつける瞬間のタメ。これらを表現するために、背景や筋肉の影にまで一切妥協のない描き込みがなされています。
もしこれが打ち切りであれば、これほどまでに密度が高く、読者の魂を揺さぶるような試合描写は不可能です。作者が納得いくまでペンを走らせ、キャラクターたちが自ら答えを見つけるまで描き抜いたからこそ、あの16巻があるのです。
バドミントンというスポーツの残酷さと美しさを、ここまでストイックに表現した作品は他にありません。もし今、スポーツ漫画に熱い刺激を求めているなら、ぜひはねバド! 全16巻を手にとってみてください。その熱量に、きっと驚くはずです。
アニメ2期への期待と現在の評価
アニメ1期を視聴したファンの中には、「2期はやらないの?」と待ち望んでいる方も多いでしょう。
アニメ版『はねバド!』は、LIDENFILMS(ライデンフィルム)による超絶クオリティの作画が話題となりました。実際の試合動画を参考にしているかのような、滑らかで力強いアニメーションは、今見ても全く色褪せていません。
現時点で2期の制作発表はありませんが、原作が完結している今だからこそ、「最後までアニメ化してほしい」という声は根強く残っています。特に、物語後半のコニー・クリステンセンとの決着は、映像化されたら間違いなく伝説になるレベルの迫力になるはずです。
読者の声:完結してなお愛される理由
SNSやレビューサイトを見ると、完結から数年経った今でも「定期的に読み返したくなる」という声が多いのが特徴です。
「綾乃がだんだん怖くなっていく過程がすごい」
「なぎさ先輩の努力が報われるシーンで泣いた」
「スポーツの厳しさを隠さず描いているところが好き」
こうした評価は、本作がただの打ち切り漫画ではなく、読者の心に深く突き刺さる「本物」であった証拠です。
作者・濱田浩輔先生の新たな挑戦
『はねバド!』を完結させた後、濱田先生はさらなる進化を求めて新しいフィールドへ進んでいます。現在連載中の『レ・セルバン』は、なんと本格的な「ダークファンタジー」です。
バドミントンからファンタジーへ。ジャンルこそ違えど、そこには『はねバド!』で培われた圧倒的な画力と、人間の内面を抉るような鋭い心理描写が息づいています。
一つの作品を完璧な形で終わらせたからこそ、次の作品でも妥協のない表現ができる。『はねバド!』の完結は、濱田先生にとっての「通過点」であり、同時に読者にとっても最高の贈り物だったと言えるでしょう。
ファンタジー好きの方は、濱田先生の真骨頂である緻密な世界観が楽しめるレ・セルバンもチェックしてみる価値があります。
はねバド!打ち切り理由の噂を否定する「完結の満足感」
さて、ここまで詳しく見てきた通り、「はねバド! 打ち切り理由」という噂に、客観的な根拠はありません。
本作が選んだ道は、人気がなくなるまでダラダラと続けることでも、中途半端に話を畳むことでもありませんでした。**「主人公・羽咲綾乃が、バドミントンを通して自分自身を肯定できるようになるまで」**を、全16巻という構成で美しく、そして激しく描き切ったのです。
最後に:まだ読んでいない方へ
もしあなたが、ネットの「打ち切り」という噂を聞いて読むのを躊躇していたなら、それは非常にもったいないことです。
- 挫折を味わいながらも這い上がる人間ドラマが見たい
- 圧倒的な画力で描かれるアクションシーンに痺れたい
- 可愛い女の子たちが、それ以上に格好良く戦う姿を応援したい
そんな方にとって、『はねバド!』は最高の読書体験を提供してくれるはずです。初期のコミカルな雰囲気から、徐々に熱を帯び、最終的には全読者が息を呑むような領域へと連れて行ってくれる。そんな稀有な体験を、ぜひ楽しんでください。
物語の真実は、常に作品の中にあります。噂に惑わされることなく、綾乃たちの全力のラリーを最後まで見届けてあげてください。
はねバド!を全巻読み終えた時、あなたの中の「打ち切り」という疑問は、きっと「この作品に出会えてよかった」という感動に変わっているはずです。

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