「走れ走れ、マキバオー!」のフレーズで知られる競馬漫画の金字塔『みどりのマキバオー』。あの独特なカバのようなビジュアルからは想像もつかないほど熱く、涙なしには読めない名作ですよね。
しかし、ファンの間では長年ささやかれているある「噂」があります。それが「マキバオーって、実は打ち切りだったんじゃないの?」という疑問です。
物語が最高潮の盛り上がりを見せる中で終わってしまった印象があるためか、不完全燃焼を感じている方も多いようです。そこで今回は、原作漫画とアニメ版、それぞれの最終回の真相と、なぜ打ち切り説が流れたのかという理由について、ディープに掘り下げて解説していきます!
原作漫画『みどりのマキバオー』は打ち切りではなかった!
まず、結論からはっきりお伝えしましょう。週刊少年ジャンプで連載されていた原作漫画の『みどりのマキバオー』は、決して打ち切りではありません。
当時のジャンプは、少しでも人気が落ちれば容赦なく終了させる「弱肉強食」の時代でした。しかし、マキバオーは1994年から1998年まで約3年半にわたり連載され、全16巻(文庫版10巻)という、物語として非常に密度の高いボリュームで完結しています。
なぜ打ち切りではないと言い切れるのか。それは、作者であるつの丸先生が、描くべきテーマをすべて描き切って筆を置いているからです。
- ライバル・カスケードとの決着物語の最大の軸であった漆黒の帝王・カスケードとの宿命の対決は、日本ダービーや有馬記念を経て、最高のアツさで描き切られました。
- 世界への挑戦と挫折、そして再起国内での戦いを終えたマキバオーは、世界最高峰の舞台「ドバイワールドカップ」へと駒を進めます。ここで大怪我を負いながらも、最後まで走り抜く姿は、まさに一つの物語のフィナーレにふさわしいものでした。
- 次世代への血統の継承最終回では、現役を引退したマキバオーの意志が次の世代の馬たちへ引き継がれていく様子が描かれました。競馬の本質である「ブラッド・スポーツ(血統の物語)」としての着地点を見事に提示したのです。
このように、ストーリーの整合性や伏線の回収を見ても、決して志半ばで強制終了させられたわけではないことがわかります。
なぜ「打ち切り」という噂が広まったのか?
それでは、なぜこれほどまでに打ち切り説が根強く残っているのでしょうか。そこにはいくつかの理由が複雑に絡み合っています。
理由1:アニメ版が原作の途中で終了したから
最大の理由はこれでしょう。テレビアニメ版は、原作でも屈指の名シーンである「有馬記念のカスケード戦」で幕を閉じました。原作を知らない視聴者からすれば、「世界に行くって言ってたのに、国内のレースで終わっちゃった?」と唐突に感じられたのかもしれません。
理由2:終盤の展開が非常にスピーディーだった
ドバイ編以降、物語のテンポが急激に加速しました。ジャンプの漫画は人気絶頂期に引き伸ばされることが多いため、逆に「テンポよく綺麗に終わる」ことが、当時の読者には「急いで終わらせた=打ち切り」と映ってしまった側面があります。
3:作者・つの丸先生の「潔さ」
つの丸先生は、ダラダラと物語を延命させることを好まないクリエイターです。最高潮の盛り上がりの中で、読者に強烈な印象を残したまま幕を引く。その美学が、一部のファンには「もっと読みたいのに終わってしまった」という飢餓感を与えたのでしょう。
もし、当時の興奮をもう一度味わいたいなら、みどりのマキバオー 文庫版 コミック 全10巻完結セットを手元に置いて、一気に読み返してみるのが一番の解決策かもしれません。
アニメ版マキバオーが抱えていた「事情」
さて、次はアニメ版について見ていきましょう。アニメ版に関しては、ある意味で「実質的な放送終了(中断)」だったと言わざるを得ない背景があります。
当時のアニメ制作の現場では、原作の連載にアニメが追いついてしまう「ストック切れ」という問題が常に付きまとっていました。マキバオーも例外ではなく、放送ペースが原作に迫っていたのです。
- 有馬記念という「最高の区切り」制作陣は、中途半端にオリジナルストーリーを挟んで引き伸ばすよりも、カスケードとの決着という最大の山場で感動的に終わらせる道を選びました。これは作品の質を保つための、ポジティブな決断だったと言えます。
- 放送枠とターゲット層の変化日曜19:30というゴールデンタイムに放送されていたアニメ版は、当初は子供向けのギャグ路線が強調されていました。しかし、物語が進むにつれて内容は本格的な競馬ドラマへと進化。大人の鑑賞に堪えうる深みが出た一方で、低年齢層の視聴率維持という面では難しい舵取りを迫られていた可能性もあります。
決して「不人気で打ち切られた」わけではなく、あくまでテレビ番組としての区切りと、原作リスペクトの結果としての完結だったのです。
知られざるその後の物語と『たいようのマキバオー』
マキバオーの物語が打ち切りではない最大の証拠は、後に描かれた続編の存在です。
週刊プレイボーイなどで連載された『たいようのマキバオー』および『たいようのマキバオーW』では、前作のファンが涙するような展開が待っています。
- 地方競馬の厳しさを描く前作が中央競馬の華やかな舞台だったのに対し、続編は高知競馬などの地方競馬が舞台。マキバオーの血を引く(あるいはその意志を継ぐ)馬たちが、泥臭く、必死に生きる姿が描かれます。
- 前作キャラのその後引退した後のミドリマキバオーや、かつてのライバルたちの「その後」が描かれており、物語がしっかりと地続きであることを証明しています。
もし、初代のラストに納得がいっていない方がいれば、ぜひこの続編まで追いかけてみてください。きっと「ああ、マキバオーの物語はちゃんと続いていたんだ」と救われるはずです。
競馬漫画としての『みどりのマキバオー』の凄さ
ここで少し視点を変えて、なぜこれほどまでに多くの人が「終わってほしくなかった」と打ち切りを惜しんだのか、その魅力についても触れておきましょう。
マキバオーの凄さは、ギャグ漫画の皮を被った「超本格的な競馬理論」にあります。
- 馬の心理描写「走るのが怖い」「負けたくない」という馬たちの葛藤。
- 過酷なトレーニングモンゴルでの野生の修行など、荒唐無稽に見えて「心身の限界を超える」というスポーツ漫画の王道を征く熱さ。
- 戦術と駆け引き単なる根性論ではなく、枠順や馬場状態、ジョッキーの駆け引きなど、実際の競馬に通じる奥深さ。
こうした要素が詰まっているからこそ、連載終了から25年以上経った今でも、マキバオー ぬいぐるみのようなグッズが愛され続け、新しいファンが増え続けているのです。
まとめ:マキバオーは打ち切りだった?漫画とアニメの最終回の真相と理由
最後に改めて整理しましょう。
『みどりのマキバオー』の原作漫画は、打ち切りではなく、作者の構想通りに完結した名作です。一方でアニメ版は、原作に追いついてしまうという制作上の事情から、カスケードとの決着という最高のポイントで「区切りの良い完結」を迎えました。
「打ち切り」という言葉が一人歩きしてしまったのは、それだけ多くのファンが「もっとこの世界に浸っていたい」と願った証拠でもあります。
もしあなたが今、あの白い小さな名馬の勇姿をもう一度見たいと思っているなら、動画配信サービスやコミックスで再確認してみてください。大人になってから見直すと、子供の頃には気づかなかった「勝負の世界の厳しさ」や「絆の尊さ」に、きっと当時以上の涙を流すことになるはずです。
マキバオーの物語は、ファンの心の中で、そして熱い血統のドラマの中で、今もなお走り続けています。
「マキバオーは打ち切りだった?」という疑問。その答えは、彼が駆け抜けた輝かしい戦績と、今も語り継がれる感動の中に、すべて記されているのです。

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