『ジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けない』。杜王町という閉鎖的な町を舞台にしたこの物語には、数多くの個性的なキャラクターが登場します。その中でも、読者の間でいまだに「結局、あいつは何者だったんだ?」と議論が絶えないのが、自称・宇宙人の支倉未起隆(はぜくら みきたか)です。
「ヌ・ミキタカゾ・ンシ」という奇妙な本名を名乗り、ミステリーサークルの中で全裸で寝ていた彼。今回は、ジョジョファンの間で愛され続ける「みき たか」の魅力と、その正体に迫る謎、そして作中での活躍を深掘りしていきましょう。
自称216歳の宇宙人?支倉未起隆のあまりにも浮世離れしたプロフィール
物語の中盤、仗助と億泰が道端のミステリーサークルで遭遇したのが、この支倉未起隆です。パッと見は端正な顔立ちの美青年。しかし、その言動は「奇妙」の一言に尽きます。
まず、彼は自分のことをマゼラン星雲からやってきた宇宙人だと主張します。年齢は216歳、職業は宇宙船のパイロット。地球には「観光」に来たと言い放ちます。この時点で、普通の漫画なら「こいつはヤバい奴だ」で終わるのですが、ジョジョの世界ではそう簡単にはいきません。
彼は「支倉未起隆」という名前でぶどうヶ丘高校に転校してきますが、これもあくまで地球に馴染むための仮の姿。母親を名乗る女性まで登場しますが、未起隆本人は「彼女は僕が洗脳して母親だと思い込ませている地球人だ」と主張しています。この設定の作り込み(?)が、彼のキャラクターをより一層ミステリアスにしているのです。
未起隆は「宇宙人」か「スタンド使い」か?ファンの間で割れる意見
未起隆に関する最大の論争といえば、彼が「マジの宇宙人」なのか、それとも「特殊な能力を持ったスタンド使い(人間)」なのかという点です。作中では、どちらとも取れる証拠がいくつも提示されています。
まず、宇宙人説を強力に後押しするのが、虹村形兆が持っていた「弓と矢」の反応です。通常、スタンド能力を引き出す矢で射抜かれた場合、素質があればスタンドが発現し、なければ死に至ります。しかし、未起隆はこの矢を「皮膚で弾き返した」のです。これには、あの吉良吉影の父(写真のおやじ)も驚愕していました。地球の生物の理屈が通用しない存在、それが宇宙人説の大きな根拠です。
一方で、スタンド使い説も捨てがたいものがあります。彼の変身能力には「アース・ウィンド・アンド・ファイヤー」という名前が付いています。これは第4部以降の通例である、洋楽アーティスト名に由来するスタンド名の法則に合致しています。また、彼の母親とされる女性が「うちの子は自分が宇宙人だと思い込んでいる困った子」と語るシーンもあり、極度の中二病を患った人間である可能性も捨てきれません。
荒木飛呂彦先生は、あえてこの答えを明確にしていません。読者が「どっちなんだろう?」とワクワクする余白を残すことこそが、ジョジョという作品の醍醐味なのです。
あらゆる物体に変身する能力「アース・ウィンド・アンド・ファイヤー」の凄さ
未起隆が持つ能力は、自分の肉体をあらゆる物体に変化させるというものです。一見シンプルですが、これが非常に強力かつユニークです。
作中では、仗助に頼まれて「サイコロ」に変身したり、噴上裕也との戦いでは「ボルト」や「双眼鏡」、「スニーカー」などに姿を変えています。特にスニーカーのような複雑な形状のものに化ける際は、その機能性まで再現しているかのような描写があります。
ただし、この能力にはいくつかの制限があります。
・自分より大きなエネルギーを持つものにはなれない。
・複雑な機械(パソコンや時計など)の内部構造までは再現できない。
・人間の顔に変身するのは苦手。
特筆すべきは、彼が「スタンド」という概念を理解していない(あるいは見えていない)ような描写があることです。仗助のクレイジー・ダイヤモンドの動きに反応できていない場面があり、これが「スタンド使いではない=宇宙人」という説をさらに補強しています。
爆笑必至!仗助とのチンチロリン勝負とサイレンアレルギー
未起隆の登場回で最も印象的なエピソードといえば、仗助との「イカサマチンクリング(チンチロリン)」でしょう。お金に困った仗助が、サイコロに変身できる未起隆を利用して、露伴から金を巻き上げようとする話です。
ここで未起隆の最大の弱点が判明します。それは「消防車や救急車のサイレン」です。サイレンの音を聞くと、彼は激しいアレルギー反応を起こし、体中に蕁麻疹が出てしまいます。しかも、変身している最中にこれを聞くと、形を維持できなくなり、のたうち回ってしまいます。
露伴との緊張感あふれる心理戦の最中、遠くから聞こえてくるサイレン。バレるかバレないかの瀬戸際で、未起隆がサイコロの姿のままゲロを吐きそうになったり、変な模様が浮き出たりするシーンは、ジョジョ屈指のギャグシーンとして語り継がれています。この時の未起隆の「一生懸命なんだけど、どこかズレている」様子は、多くの読者の心を掴みました。
黄金の精神の片鱗!エニグマの少年戦での勇姿
最初は「変な宇宙人」としてギャグ寄りの立ち位置だった未起隆ですが、物語の終盤では立派な仲間として、杜王町の危機に立ち向かいます。特に「エニグマの少年」こと宮本輝之輔との戦いでは、その高い精神性を見せつけました。
恐怖を紙に閉じ込めるスタンド「エニグマ」に苦戦する仗助。未起隆は自らシュレッダーに飛び込むような危険を顧みず、仗助を助けるために行動します。たとえ自分が宇宙人であろうと人間であろうと、目の前で危機に瀕している友人を助ける。その姿には、ジョジョシリーズ通底のテーマである「黄金の精神」が確実に宿っていました。
また、噴上裕也とのコンビネーションも見事でした。最初は敵同士だった者たちが、共通の敵を前にして共闘する。未起隆の純粋さが、周囲の人間を動かしていく様子は見ていて非常に清々しいものがあります。
日常に溶け込む非日常を象徴する「みき たか」という存在
第4部のテーマは「日常の中に潜む非日常」です。殺人鬼が町に潜んでいるという恐怖の一方で、未起隆のような「正体不明だけど無害で面白い存在」もまた、日常の中に溶け込んでいます。
彼は最後、杜王町の一員として普通に(?)生活を続けます。宇宙船が迎えに来るのを待っているのか、それとも単に学校生活を楽しんでいるのか。彼が実在の宇宙人であれば、ジョジョの世界観は宇宙規模に広がりますし、ただの変人であれば、それはそれで杜王町の多様性を象徴しています。
読者として彼を見守る時、大切なのは正体を暴くことではなく、彼が放つ独特の空気感を楽しむことなのかもしれません。
まとめ:ジョジョの「みき たか」こと支倉未起隆の魅力は永遠に謎のまま
ここまで支倉未起隆について振り返ってきましたが、いかがでしたでしょうか。
彼が登場するエピソードは、ジョジョ第4部の中でも特にコメディとシリアスのバランスが絶妙で、読むたびに新しい発見があります。サイコロになって仗助を困らせるお茶目な一面と、仲間を守るために体を張るヒーローとしての一面。その両方を持ち合わせているからこそ、彼はシリーズを代表する人気キャラクターの一人なのです。
もしあなたがまだ彼の活躍をアニメや漫画で詳しく見ていないなら、ぜひチェックしてみてください。特にジョジョの奇妙な冒険 第4部 ダイヤモンドは砕けないを読み返すと、初登場時の衝撃と、その後の成長(?)に改めて感動するはずです。
「ジョジョ みき たか」という検索ワードでこの記事に辿り着いたあなたにとって、彼の正体が宇宙人なのか人間なのか、その答えは見つかったでしょうか。おそらく、答えが出ないことこそが、彼が私たちに与えてくれた最大のギフトなのです。
杜王町の空のどこかに、今日も未起隆の宇宙船が浮かんでいる……そんな想像をしながら、再びジョジョのページをめくってみるのも悪くないかもしれませんね。

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