「ジョジョの奇妙な冒険 第3部 スターダストクルセイダース」を語るうえで、絶対に外せないのがエンディング(ED)の存在ですよね。
アニメを見終わったあとに流れるあのイントロ、そして旅の終着点を感じさせる映像。ファンなら誰しも、画面の前で動けなくなった経験があるはずです。単なる「アニメの終わりの曲」という枠を超え、物語の一部として完璧に組み込まれた第3部のEDには、原作者・荒木飛呂彦先生のこだわりと、制作陣の凄まじい「ジョジョ愛」が詰まっています。
今回は、第3部を彩った2つの名曲を中心に、映像に隠された伏線や、なぜこれほどまでにファンの心を揺さぶるのか、その理由をディープに掘り下げていきます。
旅の始まりを彩った『Walk Like an Egyptian』の軽快なリズム
第1話から第24話まで、承太郎たちが日本からエジプトへと向かう旅の道中で流れていたのが、バングルスの『Walk Like an Egyptian』です。1986年にリリースされ、全米チャート1位を記録したこの伝説的なヒット曲が選ばれたのには、明確な理由があります。
タイトルが示す「目的地」への歩み
この曲のタイトルを直訳すると「エジプト人のように歩こう」。まさにエジプトを目指す一行の目的そのものを表しています。当時の洋楽シーンを知る世代には懐かしく、若い世代には新鮮に響くこの選曲は、ジョジョという作品が持つスタイリッシュな空気感にぴったりでした。
映像演出も非常に凝っています。キャラクターたちが古代エジプトの壁画を彷彿とさせる独特のポーズで登場し、スロットマシーンのように背景が入れ替わる演出は、これから始まる「奇妙な冒険」への期待感を高めてくれました。
承太郎一行の「日常」と「非日常」の交差
前半のED映像では、まだ旅にどこか「賑やかさ」がありました。ジョセフ、承太郎、花京院、ポルナレフ、そしてアヴドゥル。個性の強い5人が、砂漠や街並みを背景にポーズを決める姿には、過酷な戦いの中にある種の「連帯感」や「旅の楽しさ」さえ感じられます。
バングルスのキャッチーなメロディと、タンバリンや口笛の音。それが、スタンドバトルという非日常の中に、彼らが生きた1980年代後半のリアルな空気感を吹き込んでいたのです。
エジプト編『Last Train Home』がもたらした衝撃と哀愁
第25話から始まった「エジプト編」。物語がクライマックスに向けて加速する中、エンディングは一転して静かなインストゥルメンタル曲へと変わりました。パット・メセニー・グループの『Last Train Home』です。
多くのファンが「この曲に変わってから、物語の重みが変わった」と感じたのではないでしょうか。
荒木飛呂彦先生が執筆中に聴いていた「本物の音」
この曲の起用は、原作者である荒木先生の強い意向があったと言われています。先生が実際に第3部の執筆中に聴き込んでいた楽曲であり、いわば「ジョジョ3部の魂のルーツ」とも言える音楽なのです。
歌詞のないインストゥルメンタルだからこそ、聴く者の想像力を掻き立てます。列車の走行音を模したリズムは、刻一刻と近づくDIOとの決戦、そして「旅の終わり」を否応なしに意識させました。
映像に隠された「帰らぬ人」へのメッセージ
エジプト編のED映像は、それまでのポップな雰囲気とは打って変わり、セピア色に近い夕暮れの風景が中心となります。
砂漠を走る列車、そして最後に映し出される「1枚の集合写真」。この写真の演出こそが、第3部最大の泣き所と言っても過言ではありません。物語が進み、一人、また一人と仲間が倒れていくたびに、この写真に写る全員で帰ることが叶わないという現実が突きつけられます。
タイトルの「Last Train Home(家へ帰る最終列車)」には、生き残った者が故郷へ帰るという意味だけでなく、命を落とした魂が安らぎの場所へ帰るという意味も込められているように感じられてなりません。
最終回限定の「神演出」と特殊EDの鳥肌ポイント
ジョジョのアニメシリーズといえば、物語の展開に合わせてSE(効果音)が入ったり、映像に変化が加わったりする「特殊演出」が有名です。第3部でも、そのこだわりは徹底されていました。
イントロの重なり方が生むカタルシス
特に最終決戦の数話では、本編のラストシーンに被せるようにして『Last Train Home』のイントロが流れ始めます。承太郎とDIOの死闘、そして静かに訪れる決着。その余韻を一切壊さず、むしろ感情を増幅させるタイミングでの楽曲投入は、まさに神業でした。
旅の終わりを見届ける視聴者の心理
最終回、すべての戦いが終わり、空港で別れる承太郎、ジョセフ、ポルナレフ。そこで流れる音楽は、もはや単なるBGMではありませんでした。視聴者もまた、50日間におよぶエジプトへの旅を共にした「同行者」であり、その旅の終結をこの曲と共に受け入れる儀式のような役割を果たしていたのです。
第3部の舞台設定と1980年代洋楽のリンク
ジョジョ第3部の舞台は1987年から1988年にかけての設定です。この時代背景を完璧に再現するために、楽曲のリリース時期まで計算されているのがニクい演出です。
当時の空気感を閉じ込めた選曲
- バングルスの『Walk Like an Egyptian』(1986年)
- パット・メセニー・グループの『Last Train Home』(1987年)
どちらも物語の舞台設定とリアルタイムでリンクしています。当時の読者がジャンプを読んでいた時に街で流れていたかもしれない音楽を、あえてアニメのエンディングに持ってくる。この徹底したリアリティへのこだわりが、ジョジョの世界観をより強固なものにしています。
アニメを視聴しながら、当時の音楽シーンを思い浮かべるのも一興です。もし当時の雰囲気をより深く味わいたいなら、ジョジョの奇妙な冒険 第3部のBlu-rayや原作漫画を読み返しながら、これらの楽曲をフルで聴いてみることをおすすめします。
まとめ:ジョジョ3部エンディングの魅力とは?歴代曲の隠された意味や特殊演出を徹底考察!
ジョジョ第3部のエンディングは、単にアニメを締めくくるための道具ではありませんでした。
前半の『Walk Like an Egyptian』が提示した「未知の旅への高揚感」と、後半の『Last Train Home』が描いた「避けられない別れと安らぎ」。この2曲のコントラストこそが、スターダストクルセイダースという物語の光と影を象徴しています。
映像の中に散りばめられた伏線、キャラクターたちの立ち位置、そして最終回で見せた特殊な演出。それらすべてが組み合わさることで、私たちは30年以上愛され続けるこの物語を、一生忘れられない体験として刻み込むことができたのです。
改めてED曲を聴き返すと、砂漠の風の匂いや、旅路で交わされた何気ない会話まで思い出される気がしませんか?それこそが、音楽と物語が完璧に融合した「ジョジョ3部エンディング」の真の魅力なのです。
次はあなたが、あの1枚の写真に込められた想いを再確認するために、再びエジプトへの旅(再視聴)に出る番かもしれませんね。

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