荒木飛呂彦先生の集大成とも言える『ジョジョの奇妙な冒険 第7部 スティール・ボール・ラン(SBR)』。
1890年のアメリカを舞台に、北米大陸横断レースという壮大なスケールで描かれる本作には、強烈なスタンド能力を持つキャラクターが数多く登場します。しかし、そんな超人たちの戦いの裏側で、物語の根幹を支え続けた「一人の老紳士」がいたことを覚えているでしょうか?
彼の名は、ローゼス。
今回は、スティーブン・スティールの忠実な執事であり、過酷なサバイバルレースの「良心」とも言えるローゼスの正体と、彼が果たした重要な役割について深く掘り下げていきます。
聖なる遺体争奪戦の裏側にいた「ローゼス」という男
ジョジョ7部において、ローゼスは非常に地味な立ち位置にいます。スタンド使いでもなければ、物語の勝敗を左右する必殺技を持っているわけでもありません。
しかし、物語を読み返してみると、彼がいなければ主人公のジョニィ・ジョースターやジャイロ・ツェペリ、そしてヒロインのルーシー・スティールの運命はもっと悲惨なものになっていた可能性が高いのです。
ローゼスのプロフィールと基本情報
ローゼスは、SBRレースの発起人であるスティーブン・スティールに仕える老執事です。
- 外見: 丁寧に整えられた白髪、落ち着いた物腰、そして誠実さを感じさせる老紳士。
- 立場: スティール家の使用人であり、スティーブンの秘書的な役割も兼任。
- 性格: 極めて冷静沈着。主人のピンチにも慌てず、常に「自分ができる最善のサポート」を考え行動するプロフェッショナルです。
彼が登場するのは主に、レースの運営本部や、スティーブンが滞在する宿泊施設、そして大統領官邸の周辺です。ジョジョの世界では、こうした「非戦闘員」は真っ先に命を落とす役割を与えられがちですが、ローゼスはその高い生存能力と知恵で、最後までその役割を全うしました。
ローゼスの正体:ただの執事か、それとも?
読者の間で時折囁かれるのが「ローゼスも実はスタンド使いだったのではないか?」という説です。
結論から言えば、ローゼスはスタンド使いではありません。 彼は純粋な「技術と精神力」だけであの地獄のようなレースの裏側を生き抜きました。
スティーブン・スティールとの深い信頼関係
ローゼスの正体を紐解く鍵は、主人であるスティーブン・スティールとの絆にあります。
スティーブンは、かつて詐欺師同然の生活から這い上がり、SBRレースという巨大な博打を打ちました。その過程で、彼は多くの敵を作りましたが、ローゼスだけは一貫して彼の味方であり続けました。
ローゼスにとってのスティーブンは、単なる雇い主ではありません。人生の荒波を共にしてきた同志のような存在だったのでしょう。だからこそ、スティーブンが重傷を負った際も、ローゼスは一切の迷いなく彼を介抱し、敵の目から隠し通したのです。
名前の由来と荒木先生の意図
ジョジョシリーズの登場人物の多くは、有名なミュージシャンやバンド名が由来となっています。ローゼスについても、ファンの間では伝説的なロックバンド「ガンズ・アンド・ローゼズ」から取られたのではないかと推測されています。
もしそうだとすれば、ボーカルのアクセル・ローズ(アクセル・RO)というキャラクターが別に存在することから、彼ら二人の対比も面白いポイントです。激しい暴力の象徴のようなキャラクターと、静かに主人を支えるバラ(ローゼス)のような老人。こうした対比こそが、ジョジョという作品の深みを作っています。
物語におけるローゼスの決定的な役割
ローゼスの最大の功績は、ルーシー・スティールのバックアップにあります。
14歳という若さで大統領の陰謀に立ち向かうことになったルーシーにとって、ローゼスは数少ない「現実世界での避難所」でした。
ルーシー・スティールの隠密行動を支える
物語中盤、ルーシーが大統領官邸へ潜入し、聖なる遺体を奪取しようとするシーン。ここでローゼスは、彼女との連絡係を務めました。
スタンド能力を持たない人間にとって、大統領(ファニー・ヴァレンタイン)の周囲を探ることは自殺行為に等しいものです。それでもローゼスは、冷静に状況を判断し、ルーシーが必要とする情報や物資を届ける手助けをしました。
もしローゼスがいなければ、ルーシーは孤立無援となり、物語はもっと早い段階でバッドエンドを迎えていたでしょう。
「普通の人」としての視点
SBRは、天才的な騎手や異能の暗殺者たちが跋扈する物語です。その中で、ローゼスのような「常識人」が登場することで、読者は物語の異常性と緊張感を再認識することができます。
彼が震えながらも銃を手に取り、主人を守ろうとする姿は、無限の回転や次元の壁を超える能力よりも、ある意味で「人間讃歌」を体現していると言えます。
ジョジョ7部における「執事」という存在の重要性
ジョジョシリーズにおいて、執事や使用人は重要な役割を担うことが多いです。第1部のダリオ・ブランドー(ある意味での対比)から始まり、第4部の虹村父など、主従関係や家族愛はテーマの一つでもあります。
ローゼスの場合、その役割は「伝承と保護」でした。
過酷なレースにおける「日常」の象徴
ジョジョの奇妙な冒険 第7部 スティール・ボール・ランを読むと、常に死と隣り合わせの緊張感が漂っています。その中で、ローゼスが淹れるコーヒーや、彼が整えるベッド、そして彼が交わす丁寧な挨拶は、戦士たちにとっての束の間の「日常」を感じさせます。
ジョニィやジャイロが目指すゴールの先に、こうした平穏な世界があることを示す象徴的なキャラクター。それがローゼスという存在の隠れた意味なのかもしれません。
ローゼスが生存できた理由を考察
なぜ、スタンド使いでもない老人が、大統領や刺客たちが荒れ狂う戦場を生き延びることができたのでしょうか。
- 徹底した黒子に徹する姿勢: 彼は決して自分から表舞台に出ようとしませんでした。敵の脅威にならない存在として振る舞いつつ、裏で確実に仕事をこなす。この「謙虚さ」が生存率を高めたと言えます。
- 観察眼の鋭さ: 執事として長年培った「人の動きを見る目」は、敵の接近や状況の変化を察知するのに役立ったはずです。
- 不屈の忠誠心: 「主人を守る」という明確な目的があったため、恐怖に屈することなく、合理的な判断を下し続けることができました。
多くの魅力的なキャラクターが命を落としていく中、ローゼスが生き残った事実は、彼がいかに有能な人物であったかを物語っています。
ジョジョ7部ローゼスの正体と役割は?SBRの執事キャラを徹底考察・解説!のまとめ
物語を彩る脇役の中でも、ローゼスほど「信頼」という言葉が似合う男はいません。
彼はスタンド能力こそ持っていませんが、その心には「黄金の精神(SBR風に言えば、漆黒の意志に対抗する光)」を宿していました。スティーブンとルーシーという、物語の鍵を握る夫婦を陰から支え抜いたローゼス。彼の存在なくして、スティール・ボール・ランの完結はあり得なかったと言っても過言ではありません。
ジョジョ7部を再読する際は、ぜひこの老執事の動きに注目してみてください。派手なバトルシーンの裏側で、彼がいかに精緻に、そして大胆に動いているかが分かるはずです。
もしあなたが、ローゼスのような「支える強さ」に惹かれたなら、改めてSBR 文庫版 全巻セットを手に取って、彼の献身的な活躍をその目で確かめてみてください。
荒木先生が描く「人間讃歌」は、超能力者たちだけの特権ではなく、ローゼスのような一人の誠実な人間の中にも、確かに息づいているのです。
次にお手伝いできること:
「ローゼス以外の魅力的な脇役キャラクターについても解説しましょうか?」

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