「ジョジョの奇妙な冒険」という作品は、唯一無二の世界観と強烈なビジュアルで、世代を超えて愛され続けている金字塔ですよね。そんなジョジョがアニメ化されると決まった時、世界中のファンが歓喜すると同時に、ある「不安」を抱きました。
「あの緻密すぎる絵を、アニメで再現できるのか?」
実際、アニメ放送が始まるとネット上では「作画崩壊」という言葉が飛び交うこともありました。しかし、その実態を深く掘り下げてみると、単なる「作画のミス」では片付けられない、制作陣の凄まじい執念と、ジョジョ特有の「絵の難しさ」が見えてくるんです。
今回は、ジョジョのアニメが「作画崩壊」と言われてしまう理由や、伝説となっているBlu-rayでの修正、そしてファンが語り継ぐ作画の裏側を徹底的に紐解いていきます。
そもそも「ジョジョ」の作画難易度は異次元すぎる
まず大前提として理解しておきたいのが、荒木飛呂彦先生の絵をアニメーションにするという行為がいかに無謀か、という点です。
原作の描き込み量とアニメの宿命
ジョジョの原作を手に取ってみれば分かりますが、キャラクターの一人ひとりに、まるでファッション誌のモデルのような複雑な服の装飾、解剖学に基づいた筋肉の陰影、そして画面を埋め尽くすような独特の「斜線」が描き込まれています。
これを1秒間に何枚も描かなければならないアニメの世界で完全に再現しようとすれば、現場は一瞬でパンクしてしまいます。そのため、アニメ化にあたっては「線の省略」が必須となります。この「省略」が、原作の濃密な画風に慣れたファンからすると「顔が薄くなった」「迫力が足りない」と感じられ、作画崩壊という言葉に繋がってしまうことがあるんですね。
独特すぎる「ジョジョ立ち」とパース
ジョジョといえば、人間離れしたポージング、通称「ジョジョ立ち」です。重心がどこにあるのか分からないような、ひねりの効いたポーズを動かすのは至難の業。さらに、感情の高ぶりに合わせて背景が歪んだり、キャラクターの等身が変化したりする「シュールレアリスム」的な演出もジョジョの魅力です。
これらをアニメで表現しようとして、あえてデッサンを崩したり、パースを極端に強調したりすることがあります。初見の人や、スタンダードなアニメの作法を期待している人にとっては、これが「作画が乱れている」ように見えてしまうこともある、というわけです。
なぜ「ひどい」という噂が流れたのか?その主な原因
ジョジョのアニメシリーズにおいて、特に作画が不安定だと言われた時期や原因を整理してみましょう。
長期放送による制作スケジュールの逼迫
ジョジョは第3部「スターダストクルセイダース」以降、1年間近い長期放送になることが多くなりました。アニメ制作はマラソンのようなもので、後半になればなるほどスタッフの疲労は蓄積し、スケジュールはタイトになります。
特に、重要度の低い「つなぎ」の回や、遠景のシーンでは、作画の密度を下げてリソースを節約することがあります。この時、キャラクターの顔が極端に簡略化された、いわゆる「豆鉄砲のような目」の状態になることがあり、それがSNSでキャプチャされて拡散されてしまったのが「ひどい」と言われる要因の一つです。
外注スタジオによる絵柄のバラつき
アニメ制作では、特定の話数をまるごと外部のスタジオに委託することが一般的です。メインの作画監督が厳しくチェックしていても、スタジオごとの「癖」はどうしても出てしまいます。
「先週まではシュッとしたイケメンだったのに、今週は急に顔が丸くなった」といった現象は、この制作体制の影響が大きいです。特に第4部「ダイヤモンドは砕けない」の序盤から中盤にかけては、ポップな絵柄への変更も相まって、ファンの間で賛否が分かれるポイントとなりました。
各部で指摘された具体的な「作画崩壊」エピソード
それぞれの部ごとに、特に話題になったポイントを見ていきましょう。
第1部・第2部:初期の模索
まだジョジョの奇妙な冒険 Blu-rayが発売される前のTV放送時、第1部ではキャラクターが画面の奥にいる際に、顔のパーツがほとんど描かれないことがありました。しかし、これは「アニメとしての表現」としては一般的。ただ、ジョジョというブランドへの期待値が高すぎたために、目立ってしまった側面があります。
第3部:承太郎の顔が安定しない?
48話という大ボリュームだった第3部。エジプト上陸前後のエピソードでは、承太郎のトレードオフである「渋さ」が抜け、少し幼い顔つきになってしまう回がありました。特に「アヌビス神」戦などの激しいアクション回では、動きを優先するために線がラフになり、それを「崩壊」と捉える視聴者もいました。
第4部:吉良吉影の変貌(物理的に)
一番議論を呼んだのが第4部かもしれません。シリーズを通しての宿敵である吉良吉影が登場した際、TV放送版では顔のバランスが不安定なカットがいくつか存在しました。「静かに暮らしたい」と言いつつ、作画まで静かになってしまった(控えめになった)とネタにされることも。しかし、これには後述する「驚異の修正」が待っていました。
伝説の「Blu-ray修正」:TV版と円盤版の比較
ジョジョのアニメ制作を担当しているdavid production(デイヴィッドプロダクション)は、ある意味で「最も信頼できるスタジオ」と言われています。なぜなら、TV放送で「崩れた」箇所を、Blu-ray版(通称:円盤)で信じられないほど徹底的に直してくるからです。
修正というより「描き直し」
ジョジョの円盤修正は、単に線を整えるレベルではありません。「カット丸ごと描き直し」が当たり前のように行われます。
- 顔の造形: TV版では平坦だった顔に、原作風の細かい斜線や影が追加され、一気に重厚感が増します。
- 残酷描写の解禁: ジョジョに欠かせない、スタンド攻撃による激しいダメージ描写。TV放送では「黒い塗りつぶし」で隠されていた部分が、円盤では緻密な作画でフル解禁されます。
- 背景とエフェクト: 空の色や光の差し込み方まで調整され、全体的な空気感が別物になります。
特に第4部の吉良吉影に関しては、円盤版で「これぞラスボス」という端正かつ不気味な顔立ちに完璧に修正されました。現在、多くの配信サイトで見られるのはこの「修正後」のバージョンであるため、今から見る人は作画崩壊をほとんど感じないはずです。
制作陣の「ジョジョ愛」が作画を救っている
「作画崩壊」というネガティブな言葉がある一方で、ジョジョのアニメがこれほどまでに支持されているのは、制作スタッフの異常なまでの「原作愛」があるからです。
擬音を文字として出す演出
ジョジョをアニメ化する際、最大の発明と言われたのが「ゴゴゴゴ」「メメタァ」といった擬音を画面上に文字として出現させたことです。これは作画の労力を増やすだけの手間な作業ですが、これをあえてやることで「動く漫画」としての完成度を高めました。
演出としての「色替え」
キャラクターの感情が高ぶった瞬間に、画面全体の色が反転したり、空が黄色くなったりする演出。これは荒木先生のカラーイラストのセンスをアニメに取り入れたもの。初見では「色がバグった?」と思うかもしれませんが、これこそがジョジョアニメのアイデンティティです。
ジョジョのアニメは作画崩壊してる?ひどいと噂の理由や修正前後の比較を徹底解説!:結論
結論として、ジョジョのアニメに「作画が乱れる回」があったのは事実です。しかし、それは決して手抜きではなく、あまりにも高すぎる原作のハードルに挑み続けた結果、生じてしまった「熱量のゆがみ」のようなものです。
そして何より、制作陣はその乱れをそのままにはしませんでした。Blu-rayでの徹底した修正作業は、ファンに対する誠実さの表れであり、今では「TV版の崩壊は、円盤で神作画になるまでの前振りに過ぎない」と楽しむ余裕さえファンには生まれています。
もし、ネットの「作画がひどい」という噂を聞いて視聴を迷っているなら、もったいない!ジョジョの奇妙な冒険 ストーンオーシャンを含め、現在のシリーズはどれもアニメ史に残る情熱が注がれています。
完璧なデッサンだけがアニメの良さではありません。画面から溢れ出すエネルギー、キャラクターの魂が乗った声、そして物語を彩る音楽。それらが一体となった時、多少の作画の乱れなど気にならなくなるほどの「黄金の体験」が待っています。
まずは配信サイトやジョジョの奇妙な冒険 画集をチェックして、その唯一無二のビジュアルに圧倒されてみてください。きっと、あなたもジョジョの世界から抜け出せなくなるはずです。
次は、あなたが実際にアニメを観て、どの部の作画が一番「グッときた」かを探してみてくださいね。

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