『ジョジョの奇妙な冒険』という作品には、主役を食うほどのインパクトを残す敵キャラが数多く登場しますよね。ディオやカーズといったラスボスはもちろんですが、物語のスパイスとして欠かせないのが「一瞬で散っていった怪人たち」です。
第2部「戦闘潮流」において、短い登場シーンながら読者の記憶に強烈な爪痕を残した男、それが剛針線(ワイアード)のベックです。
「剛針線ってなんて読むの?」「元ネタの音楽は何?」といった疑問から、彼のシュールな口癖の秘密まで、ジョジョファンなら知っておきたい情報を深掘りしていきましょう。
剛針線のベックとは?第2部に登場した愛すべき(?)悪党
まずは彼の基本プロフィールをおさらいしましょう。ベックは第2部の中盤、ジョセフ・ジョースターたちが最終決戦の地であるスイスのサンモリッツへ向かった際に立ちはだかった吸血鬼です。
もともとは自分の恋人を絞め殺して投獄されていたという、弁解の余地もないほどの凶悪犯。脱獄して逃走している最中に「柱の男」の一人であるカーズと出会い、石仮面の力によって吸血鬼化されました。
ジョジョの世界において、石仮面で吸血鬼になった者は超人的な身体能力を得ますが、ベックもその例に漏れず、人間離れした特殊能力を授かっています。
彼はカーズたちの「番犬」のような役割を担っており、ジョセフたちが潜入した廃ホテルのドアに化けて待ち伏せしていました。あの巨体でドアに擬態するというのは、冷静に考えるとかなり無理がある気もしますが、そこがジョジョらしいシュールなホラー演出と言えるでしょう。
読み方は「ワイアード」!能力の仕組みと破壊力
「剛針線」と書いて、読み方は「ワイアード」です。漢字だけ見ると「ごうしんせん」と読みたくなりますが、ジョジョ特有の当て字文化がここでも炸裂しています。
彼の能力はその名の通り、全身の体毛を針のように鋭く、そしてワイヤーのように硬く変質させて自在に操るというものです。
- 全身が武器になるベックは服の下にある全身の毛を剛針線に変えることができます。相手を抱きしめるような格好で針を突き出し、蜂の巣にするのが彼の得意パターンです。
- 驚異の切断能力作中ではジョセフが武器として使っていたアメリカンクラッカーのような道具の紐を、一瞬で切り裂く描写がありました。ただの硬い毛ではなく、鋼鉄をも凌駕する鋭利さを持っていることがわかります。
ジョセフはこの不意打ちに対し、波紋を練った糸を張り巡らせることで対抗しましたが、ベックの剛針線はその糸さえもズタズタにしてしまいました。吸血鬼としてのパワーと、この特殊な毛の組み合わせは、普通の人間であればひとたまりもない脅威だったはずです。
「~ズラ」という口癖と名セリフの誤解
ベックを語る上で絶対に外せないのが、その独特すぎる喋り方です。
「~だズラ」「~じゃねーずら」といった、どこか田舎臭さを感じさせる口癖。凶悪な脱獄囚という設定とのギャップが激しく、一度聞いたら忘れられません。
ここで多くのファンが混同しがちなのが、有名な「オーノーだズラ」というセリフです。
実はこれ、ベック本人のセリフではありません。ベックの能力に追い詰められたふりをしたジョセフが、彼の口癖を逆手にとってバカにするために放った皮肉たっぷりのセリフなのです。
ジョセフの「逃げ道がない!オーノーだズラ!」という煽りに対し、ベックが「おめえの言う通りオーノーだズラ!」と乗っかってしまうやり取りは、第2部屈指のコミカルな名シーンとして愛されています。
元ネタは伝説のギタリスト!ジェフ・ベックと名盤『Wired』
ジョジョの登場人物や能力名の多くは、洋楽のアーティストや楽曲名から引用されています。剛針線のベックも、非常に豪華な元ネタを持っています。
- キャラクター名の由来:ジェフ・ベック名前の由来は、世界三大ギタリストの一人と称される「ジェフ・ベック(Jeff Beck)」です。ストラトキャスターを魔法のように操る彼のスタイルは、まさに変幻自在。荒々しくも繊細なギタープレイは、どこかジョジョのキャラクターたちが持つエキセントリックな魅力に通ずるものがあります。
- 能力名の由来:アルバム『Wired』能力名である「ワイアード(剛針線)」は、ジェフ・ベックが1976年に発表したインストゥルメンタル・アルバムの金字塔Wiredから取られています。
このアルバムはフュージョンやロックを融合させた非常にテクニカルな作品で、ジャケットには電線(ワイヤー)のような光をバックにしたジェフ・ベックが描かれています。荒々しい「毛(ワイヤー)」を武器にするベックの能力は、このアルバムタイトルからインスピレーションを受けたことは間違いありません。
リサリサに一瞬で敗北した悲しき末路
どれほど強力な能力を持っていても、相手が悪すぎました。ベックの最期は、ジョジョ史上でも稀に見る「圧倒的な格差」を見せつけられる結果となります。
ジョセフを追い詰め、次に標的としたのが波紋の師匠・リサリサでした。ベックは彼女を抱え込み、全身から剛針線を突き出して串刺しにしようとします。
しかし、リサリサは全く動じません。彼女が身に纏っていた「エイジャの赤石」を触媒とした特製のマフラーを通じて、全身に高濃度の波紋を流し込みました。
結果、ベックが誇る剛針線は突き刺さる直前にすべて粉砕され、彼は波紋の衝撃で文字通り一瞬で再起不能(リタイア)に追い込まれました。
吸血鬼としての再生能力すら追いつかないほどの完璧な波紋攻撃。ベックの登場時間は非常に短いものでしたが、リサリサの圧倒的な強さを引き立てる「最高のかませ犬」としての役割を見事に全うしたと言えるでしょう。
剛針線のベックから学ぶジョジョ第2部の面白さ
剛針線のベックというキャラクターを振り返ってみると、第2部「戦闘潮流」の魅力が凝縮されていることがわかります。
- 奇想天外な能力バトルただの力押しではなく、「毛」を武器にするというアイデアの面白さ。
- 洋楽オマージュの深さジェフ・ベックのWiredを能力名にするという、荒木飛呂彦先生の音楽愛。
- ジョセフの知略とユーモア相手の口癖をコピーして精神的に優位に立つジョセフの機転。
ベックのような脇役一人ひとりにまで、しっかりとした設定と元ネタが用意されているからこそ、ジョジョの世界観はこれほどまでに奥深く、時代を超えて愛され続けているのです。
まとめ:ジョジョの剛針線(ワイアード)という存在
いかがでしたでしょうか。第2部の脇役ながら、その読み方や元ネタ、そして散り際まで非常に見どころの多いキャラクターでしたね。
もしこれからアニメや漫画で第2部を読み返す機会があれば、ぜひベックの全身から飛び出す鋭い針に注目してみてください。そして、心の中で「オーノーだズラ」と呟いてみれば、より一層ジョジョの世界を楽しめるはずです。
一瞬の登場でも、元ネタであるジェフ・ベックの名盤のように、鋭く尖った印象を残した男。剛針線という名前の響きと共に、彼の勇姿(?)を忘れないであげてくださいね。
以上、ジョジョの奇妙な冒険に登場する剛針線のベックについての徹底解説でした!

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