「いつか自分でも漫画を描いてみたい」
そんな憧れを抱きながら、いざペンを握ってみると「何から描き始めればいいの?」と手が止まってしまうことはありませんか?
白い紙を前にして、キャラクターの顔すら満足に描けず、「自分には才能がないのかも」と諦めてしまうのはあまりにももったいないことです。実は、漫画には「描き方」の順番があり、初心者が効率よく上達するための「型」が存在します。
この記事では、完全初心者の方がゼロから漫画を描けるようになるための、具体的で効果的な練習法を5つに厳選してご紹介します。
なぜ「イラスト」ではなく「漫画」の練習が必要なのか
まず最初に知っておきたいのは、イラスト一枚を描く能力と、漫画を描く能力は似ているようで別物だということです。
イラストは「最高の一瞬」を切り取る作業ですが、漫画は「時間の流れ」や「感情の変化」を読者に伝える作業です。そのため、絵がとびきり上手くなくても、構成力や演出力さえあれば面白い漫画は描けます。
逆に、どれだけ絵が綺麗でも、コマ割りのルールやキャラクターの動かし方を知らなければ、読者は物語に没頭できません。これから紹介する練習法は、この「漫画ならではの力」を最短ルートで身につけるためのものです。
1. キャラクターの「喜怒哀楽」を固定して描く
初心者が最初につまずくのは、キャラクターの顔がコマごとに別人になってしまう「絵のブレ」です。これを防ぐために、まずは特定の感情を徹底的に練習しましょう。
まずは、自分のキャラクターの「基本の顔」を一つ決めます。その上で、「最高に嬉しいとき」「心の底から怒っているとき」「悲しくてたまらないとき」「驚いたとき」の4パターンを描き分けてみてください。
この練習のコツは、大げさに描くことです。漫画は記号の組み合わせでもあるので、眉毛の角度や口の開き方を少し大げさにするだけで、読者に感情が伝わりやすくなります。
もし、キャラクターのポーズや角度で迷ったら、iPadなどのタブレット端末で3Dデッサン人形アプリを活用するのも一つの手です。画面上でモデルを動かしながら、それをなぞるように練習するだけでも、立体感の捉え方が劇的に変わります。
2. 「4コマ漫画」で物語の最小単位をマスターする
「いきなり16ページの読み切りを描こう」とするのは、フルマラソンを走ったことがない人がいきなり42.195キロに挑むようなものです。ほぼ確実に途中で力尽きてしまいます。
漫画の構成を学ぶのに最も適しているのは、間違いなく「4コマ漫画」です。
- 1コマ目:導入(場所や登場人物の紹介)
- 2コマ目:展開(何かが起きる)
- 3コマ目:転換(予想外のことが起きる、ボケる)
- 4コマ目:結末(オチ、リアクション)
この「起承転結」のセットを何度も繰り返すことで、読者が「次に何を期待しているか」という感覚が養われます。まずは日常のちょっとした出来事を4コマにする練習から始めてみてください。壮大なファンタジーを描くのは、この最小単位をコントロールできるようになってからでも遅くありません。
3. プロの「ネーム」を模写して視線誘導を学ぶ
漫画の描き方において、絵と同じくらい重要なのが「コマ割り」です。読者の視線は、右上から左下へと流れていきます。この流れを無視したコマ割りをすると、読者は「どこを読めばいいの?」と混乱してしまいます。
そこでおすすめなのが、自分の好きな漫画の1ページを、絵ではなく「コマの形とセリフの位置だけ」真似して描いてみることです。これを「ネーム模写」と呼びます。
なぜこのコマは斜めなのか?なぜこのセリフはこの位置にあるのか?
実際に手を動かして枠線を引いてみると、作者が読者の視線をコントロールするために仕掛けたテクニックが透けて見えてきます。
デジタル環境で練習を始めるなら、CLIP STUDIO PAINTのような専用ソフトを使うと、コマ割り機能が充実しているため、枠線を引くストレスが大幅に軽減されます。
4. 「15分クロッキー」で描くスピードを上げる
漫画家は、何百枚、何千枚という絵を描かなければなりません。1枚の絵に何十時間もかけてしまうと、物語がいつまで経っても進みません。
そこで有効なのが、短時間で形を捉える「クロッキー」の練習です。写真やポーズ集を見ながら、1体につき2分〜5分程度でざっくりと形を取ります。
細かな描き込みは一切不要です。頭の大きさ、肩のライン、腰の向き、足の重心。これだけを素早く捉える練習を毎日15分続けるだけで、キャラクターを自由に動かせるようになります。
この練習には、Apple Pencilのような筆圧感知が優れたペンが欠かせません。紙に描くような感覚で、勢いのある線を引くことを意識してみてください。
5. 「完成」を最大の目的として1ページ描き切る
最も重要で、かつ最も辛い練習法。それが「とにかく1ページ、最後まで仕上げること」です。
多くの初心者は、最初のコマを丁寧に描きすぎて力尽きたり、自分の絵の下手さに絶望して途中で投げ出したりしてしまいます。しかし、漫画の上達において「未完成の100枚」よりも「完成した1枚」の方が価値があります。
- 下描きを描く
- ペン入れをする
- ベタ(黒塗り)を塗る
- トーン(網点)を貼る
- セリフを入れる
この一連の工程を一度でも最後まで通して行うことで、自分がどこで苦戦しているのか、何が足りないのかが初めて明確になります。背景が描けないなら、次は背景の練習をすればいい。トーンの使い方が分からないなら、次はトーンの動画を見ればいい。
まずは「人に見せるため」ではなく「自分のために完成させる」という意識で、1ページ漫画を書き上げてみましょう。
挫折しないためのメンタル管理
練習法を5つ紹介しましたが、これらを毎日完璧にこなす必要はありません。漫画を描くことは本来、楽しいはずの創作活動です。「今日は顔しか描きたくない」という日は、顔だけ描けば十分です。
大切なのは、ペンを握るハードルを下げることです。
例えば、Surface Proのような持ち運びやすいデバイスをリビングに置いておき、テレビを見ている隙間時間に少しだけ描く。そうした「日常の一部」に漫画を組み込む工夫が、長期的な上達に繋がります。
また、SNSなどで周りの上手な人と自分を比べすぎないことも重要です。昨日の自分よりも少しだけ線が綺麗に引けた、昨日よりも早くネームが描けた。その小さな成長を自分で認めてあげてください。
まとめ:漫画の描き方を初心者がゼロから学べるおすすめ練習法5選
今回ご紹介した練習法を振り返ってみましょう。
- 表情の描き分けでキャラクターの安定感を作る
- 4コマ漫画でストーリーの基本構造を身につける
- プロのネームを模写して視線誘導を理解する
- クロッキーで速写力と動的なポーズを習得する
- 1ページを完成させることで制作の全体像を掴む
これらはどれも、今日からすぐに始められるものばかりです。最初は誰だって「ゼロ」からのスタートです。最初から神絵師のような原稿が描ける人はいません。
まずは好きな紙やデバイスを用意して、一コマ目を描いてみてください。その一歩が、あなただけの物語を作る偉大な一歩になります。
漫画の描き方を初心者がゼロから学べるおすすめ練習法5選を参考に、ぜひあなたも創作の世界へ飛び込んでみてくださいね。

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