「自分の描いた漫画、なんだか画面が真っ白で物足りないな……」
「背景や影に色を塗ってみたけど、なんだか素人っぽさが抜けない」
そんな悩みを抱えていませんか?漫画のクオリティを劇的に引き上げ、一気に「プロの原稿」へと近づけてくれる魔法のアイテム、それがスクリーントーンです。
でも、いざ使おうとすると「線数(L)って何?」「%(濃度)はどう選べばいいの?」「デジタルだとモアレが怖い」と、専門用語の壁にぶつかってしまう人も多いはず。
この記事では、初心者が迷いやすいスクリーントーンの使い方の基本から、プロが密かに使っている「削り」や「重ね」のテクニックまで徹底解説します。アナログ派もデジタル派も、今日から使えるコツを凝縮してお届けしますね。
なぜスクリーントーンで漫画の仕上がりが変わるのか
漫画において、スクリーントーンは単なる「色の代わり」ではありません。画面に質感、奥行き、そして感情を吹き込むための演出ツールです。
白と黒の二色しかない漫画の世界で、中間の「グレー」を表現するために、小さな点の集合体であるトーンは欠かせません。この網点の密度や大きさをコントロールすることで、キャラの肌の柔らかさ、金属の硬さ、夕暮れの切なさまで表現できるようになります。
まずは、トーン選びの基本となる「数字」の読み解き方から見ていきましょう。
トーン選びで失敗しないための「線数」と「濃度」の知識
トーンの裏面や設定画面を見ると、必ず「60L 10%」といった数字が書かれています。これ、実は読み方さえわかればとってもシンプルなんです。
1. 線数(L)は「点の細かさ」
「L」はラインの略で、1インチの中にどれだけドットが並んでいるかを表します。
- 60L(60線): 少年漫画や少女漫画で最もよく使われる標準的な細かさです。
- 50L以下: 点が大きく、少しポップな印象や、あえて粗い質感を出したい時に使います。
- 70L以上: 点が非常に細かく、肉眼ではグレーの塗りに見えます。青年漫画や、繊細な肌の質感を表現したい時に重宝します。
2. 濃度(%)は「色の濃さ」
数字が大きくなるほど、黒い部分が増えて色が濃くなります。
- 10%以下: キャラクターの肌の影、淡い光、空気感の演出に。
- 20%〜30%: 服の色や、標準的な影。もっとも汎用性が高いです。
- 40%以上: 夜のシーンや、黒髪のツヤ、重厚な建物の影などに。
初心者のうちは、アイシー スクリーントーン S-61のような60線10%付近のものを数枚持っておくだけで、画面の表現力がぐんと上がりますよ。
【アナログ編】プロ並みに美しく貼る・切るコツ
アナログ原稿の場合、トーン貼りは「職人芸」に近い楽しさがあります。失敗せずに美しく仕上げるための手順を確認しましょう。
道具を揃えることから始まる
まずは最低限、以下の道具を用意してください。
- カッター: デザインナイフのような刃先が鋭いもの。
- トーンヘラ: トーンを原稿にしっかり密着させるために必須です。
- カッティングマット: 原稿を傷つけないために下に敷きます。
貼る時のポイント:空気は敵!
トーンを貼る時は、必要な大きさにざっくり切り取ったら、中心から外側に向かって空気を押し出すようにヘラでこすります。空気が入ってしまうと、後でカッターを入れる時にズレたり、印刷で浮いてしまったりする原因になります。
切る時のコツ:力加減がすべて
原稿用紙まで切ってしまわないよう、トーンの層だけを「なぞる」感覚で刃を動かします。直線は定規を使い、曲線は手首を固定して紙の方を回すようにすると、滑らかなラインが引けます。
切り終わった後の余分なトーンは、カッターの先でそっと持ち上げるように剥がしましょう。この時、糊が残ってしまったら、練り消しゴムでトントンと叩くと綺麗に取れます。
【デジタル編】クリスタでモアレを防ぐ鉄則
デジタル漫画(主にCLIP STUDIO PAINTなど)で最も怖いのが「モアレ」です。画面上でシマ模様や斑点が出てしまう現象ですね。これを防ぐには、いくつかの鉄則があります。
1. 解像度は必ず600dpi以上で
モノクロ漫画を印刷する場合、解像度が低いとトーンの網点が綺麗に再現されず、モアレの原因になります。必ずB4やA4の漫画用プリセットを使い、600dpi(できれば1200dpi)で作成しましょう。
2. アンチエイリアスを「オフ」にする
トーンの網点に「ぼかし(アンチエイリアス)」がかかっていると、印刷時にドットが潰れてしまいます。トーン化の設定をする際は、必ずモノクロ2階調のバキッとしたドットの状態を保ってください。
3. 書き出しサイズを変えない
100%のサイズで作成したトーンを、書き出し時に「80%に縮小」などと設定を変えると、網点の周期が狂ってモアレが発生します。最初から投稿・発表するサイズで原稿を作るのが、プロの共通認識です。
画面に奥行きを出す!ワンランク上のテクニック
ただペタペタ貼るだけでは、画面が単調になってしまいます。プロっぽさを出すための応用技を3つご紹介します。
1. 「削り」で光と空気感を表現する
トーンの表面をカッターの背や砂消しゴムで削る技法です。
- グラデーション削り: 影の端をカッターでシュシュっと払うように削ると、柔らかな光の当たり方を表現できます。
- ホワイト飛ばし: トーンの上からホワイト(修正液)を飛ばすと、キラキラした雰囲気や雪、雨などの演出が可能です。
2. 「重ね貼り」で深みを出す
同じ線数のトーンを2枚重ねることで、より濃い影を作ったり、複雑な模様を作ったりできます。
※注意:線数が違うものを重ねると、デジタルでもアナログでも100%モアレが発生します。必ず「60線なら60線同士」を重ねるようにしましょう。
3. 遠近法に合わせた使い分け
- 手前のもの: 線数を低め(粗め)にして、ハッキリ見せる。
- 奥のもの: 線数を高め(細かめ)にするか、濃度を薄くする。これだけで、読者の視線を誘導し、空間の広がりを感じさせることができます。
初心者がハマりやすい「トーンの罠」と解決策
「なんだか画面が汚く見える……」そんな時は、以下のポイントをチェックしてみてください。
トーンを貼りすぎている
すべての箇所にトーンを貼ってしまうと、画面に「抜け感」がなくなり、読者がどこを見ればいいか迷ってしまいます。一番見せたいキャラの表情や、重要なシーンに絞ってトーンの密度を上げる勇気も必要です。
影の方向がバラバラ
光源(太陽やランプの位置)を意識せずに影を塗ると、立体感が崩れて素人っぽさが出てしまいます。最初に「光は左上から」と決めたら、それに合わせて全てのトーンの影を配置しましょう。
境界線がハッキリしすぎている
服のしわや顔の影など、すべてパキッとしたトーンの切り口だと、キャラクターが硬い印象になります。適度に「削り」を入れて、柔らかい部分と硬い部分のメリハリをつけましょう。
道具へのこだわりが上達への近道
道具を使いこなすことは、漫画の楽しさを倍増させてくれます。
例えば、トーンを貼った後に上からゴシゴシこするためのバーニッシャーは、一度使うと手放せないほど作業を効率化してくれます。
デジタル派の方なら、液タブや板タブのペン先の種類(フェルト芯など)を変えるだけでも、トーンを削る際の「アナログ感」に近いタッチが再現しやすくなり、表現の幅が広がりますよ。
スクリーントーンの使い方徹底解説!漫画制作でプロ並みの仕上がりを実現するコツのまとめ
スクリーントーンは、あなたの漫画に「命」を吹き込むツールです。
最初は線数や濃度の違いに戸惑うかもしれませんが、まずは標準的な「60線」から使い始めてみてください。実際に貼ってみて、削ってみて、失敗したら剥がしてやり直す。その繰り返しのなかで、自分だけの「心地よい画面の作り方」が見つかるはずです。
- 基本は「60線」からスタート。
- 濃度は10%〜30%をメインに。
- 削りや重ねで立体感を出す。
- デジタルは解像度とアンチエイリアスに注意。
このコツを意識するだけで、あなたの漫画は驚くほどプロっぽい仕上がりに変わります。真っ白な原稿がトーン一つで鮮やかに色づいていく楽しさを、ぜひ存分に味わってください。
次は、実際にアイシー 漫画原稿用紙を広げて、お気に入りのキャラクターに最初の影を乗せてみることから始めてみませんか?あなたの漫画制作が、もっと刺激的で素晴らしいものになることを応援しています。

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