「下描きまでは上手くいったのに、ペンを入れたらなんだかショボくなってしまった……」
そんな経験はありませんか?実は、漫画制作においてペン入れは単なる「清書」ではありません。キャラクターに命を吹き込み、画面に立体感と説得力を与える「再構築」の作業なんです。
この記事では、初心者から上級者まで役立つ、漫画ペンの入れ方完全ガイドをお届けします。プロが実践しているテクニックを取り入れるだけで、あなたの原稿の仕上がりは劇的に変わります。
なぜペン入れで「絵が下手」に見えてしまうのか?
多くの人が陥る罠は、下描きの線を「なぞるだけ」になってしまうことです。下描きは複数の線の集合体ですが、ペン入れはそれを一本の「意志ある線」に絞り込む作業です。
ここで迷いが生じると、線がガタガタと震え、絵から勢いが消えてしまいます。また、すべての線を同じ太さで描いてしまうと、画面に奥行きがなくなり、ベタッとした印象になってしまいます。
プロの仕上がりに近づく第一歩は、ペン入れを「線をなぞる作業」から「形を定義する作業」へと意識を変えることにあるのです。
劇的に変わる!ペン入れ前の「下準備」と「手順」
いきなりペンを動かし始める前に、プロが必ず行っている手順があります。この順番を守るだけで、作業効率と完成度が跳ね上がります。
- 下描きの線を整理するペン入れで迷わないよう、下描きの段階で「本番の線」を明確にしておきましょう。デジタルなら下描きレイヤーの色を青系に変えるだけで、ペンを入れるべき場所が驚くほど見やすくなります。
- 枠線と吹き出しから描くキャラクターから描き始めたい気持ちを抑えて、まずは枠線と吹き出しを完成させます。これを先に描くことで、コマの中の空間が確定し、キャラクターがはみ出したり、セリフが顔に被ったりするミスを防げます。
- メインのキャラクターから描く画面の主役からペンを入れます。最も太く、力強い線が必要な部分を先に決めることで、背景との強弱のバランスが取りやすくなります。
- 背景・小物は最後にキャラクターを引き立てるために、背景は一歩引いた細い線で描くのが基本です。
プロが教える「生きた線」を引くための基本テクニック
線には「感情」や「質感」が宿ります。プロのような生き生きとした線を引くための、具体的な技術を整理しました。
- 「入り」と「抜き」を意識する線の描き始め(入り)と描き終わり(抜き)を鋭くすることで、絵にスピード感と繊細さが生まれます。特に髪の毛の毛先や、まつ毛などは、ペンを紙から払うように抜くことでプロらしい仕上がりになります。
- 一気に線を引く「ストローク」の力線をちまちまと繋げるのではなく、一息にサッと引く練習をしましょう。長い線が難しい場合は、肘や肩を支点にして動かすと、手首だけで描くよりも安定した滑らかな線が引けます。
- 「溜まり」で影を表現する線と線が交差する部分や、物の角に少しだけインクを盛り上げるように「溜まり(太み)」を作ってみてください。これだけで、わざわざ影を塗らなくても、線画だけで立体感が際立ちます。
画面の奥行きを作る「ラインウェイト」の使い分け
すべての線が同じ太さだと、読者の視線はどこへ行っていいか迷ってしまいます。情報の優先順位を「線の太さ」でコントロールしましょう。
- 輪郭線は太く、内側は細くキャラクターの外側のラインは太めに描き、服のシワや髪の細かな毛束、筋肉の筋などは極限まで細い線で描きます。この対比が、キャラクターを背景から浮かび上がらせる秘訣です。
- 光と影を線で描く光源を意識して、光が当たっている側の線は細く(あるいは途切れさせる)、影になる側の線は太く描きます。これを徹底するだけで、プロのような重厚感のある原稿になります。
- 手前は太く、奥は細くカメラに近いものは太い線で、遠くにあるものは細い線で描く「空気遠近法」をペン入れに取り入れましょう。画面の中にリアルな奥行きが生まれます。
道具選びで変わる描き心地:アナログとデジタルの極意
自分に合った道具を選ぶことも、技術向上と同じくらい重要です。
- アナログ派におすすめの道具パキッとした強弱をつけたいなら「Gペン」が王道です。繊細なディテールには「丸ペン」が欠かせません。均一な線を安定して引きたい時や背景には、ピグマ ミリペンのような耐水性のドローイングペンが非常に便利です。インクは乾きが早く、消しゴムをかけても薄くなりにくい証券用や漫画専用のものを選びましょう。
- デジタル派の設定のコツデジタル作画の場合、wacom 液タブなどのデバイスを使用している方が多いでしょう。ここで重要なのが「手ブレ補正」の設定です。補正を強くしすぎると意図した「ハネ」が描けなくなり、弱すぎると線が震えます。自分の筆速に合わせて、心地よい数値を追求してください。
- 筆圧感知の調整デジタルのペン設定にある「筆圧カーブ」をいじってみるのも手です。軽い力で太い線が出るようにするか、力を入れないと太くならないようにするかで、ペン入れの疲労度や線の質がガラリと変わります。
ペン入れがみるみる上達する練習ステップ
「理論はわかったけれど、手が動かない」という方は、以下のステップで練習してみてください。
- 直線のロングストローク紙やキャンバスの端から端まで、同じ太さの直線を引く練習を毎日5分行うだけで、ペン先のコントロール力が劇的に向上します。
- プロの原稿のトレース憧れの作家さんの原稿を薄くプリントアウトし、その上からペン入れをしてみましょう。「ここで線を太くしているのか!」「ここは線を抜いているんだな」という発見が、最高の教科書になります。
- 渦巻きと図形の描画渦巻きを内側から外側へ、外側から内側へと描く練習は、曲線と筆圧のコントロールに最適です。狙ったポイントでピタッと止める練習も並行して行いましょう。
ペン入れのよくある失敗と解決策
よくある悩みを解決して、ストレスのない制作環境を整えましょう。
- 線がガタガタして不安そうに見える原因は「描くスピードが遅すぎること」です。失敗を恐れてゆっくり描くと、手の細かな震えがすべて線に出てしまいます。「失敗したら修正すればいい」という気持ちで、勢いよくペンを動かすのがコツです。
- ペン入れをするとキャラクターが別人になる下描きの「線の中心」を通るように意識していませんか?下描きの線の「外側」を取るのか「内側」を取るのかをパーツごとに決め、形を削り出すような感覚で描くと、顔の印象が崩れにくくなります。
- 画面が真っ黒になってしまう書き込みすぎて画面が重くなった時は、あえて「線を描かない」という選択をしてみてください。光が強く当たっている場所の線を飛ばす(描かない)ことで、画面に抜け感が生まれ、見やすい原稿になります。
まとめ:漫画ペンの入れ方完全ガイド!プロの技で仕上がりが劇的に変わる
ペン入れは、あなたの作品を決定づける最もクリエイティブな工程の一つです。最初からプロのような完璧な線を引くのは難しいかもしれませんが、今回ご紹介した「強弱のつけ方」や「手順のルール」を意識するだけで、確実にクオリティは底上げされます。
大切なのは、一本一本の線に「ここは硬いもの」「ここは柔らかい肌」といった質感のイメージを込めることです。道具の特性を理解し、毎日の練習を積み重ねることで、あなたのペンはもっと自由自在に動くようになるはずです。
この「漫画ペンの入れ方完全ガイド!プロの技で仕上がりが劇的に変わる」の内容を参考に、ぜひ次の原稿で新しいテクニックに挑戦してみてください。あなたの描くキャラクターが、これまで以上に力強く、魅力的に動き出すのを楽しみにしています。

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