「ドラゴンクエスト」のアニメといえば、皆さんは何を思い浮かべますか?今でこそ『ダイの大冒険』が有名ですが、30代後半から40代以上の世代にとって、忘れられない衝撃を残した作品があります。それが通称『アベル伝説』と呼ばれるアニメ版『ドラゴンクエスト』です。
しかし、この作品を語る上で避けて通れないのが「打ち切り」という不名誉な噂。勇者が魔王に敗北して終わったというトラウマ級の記憶を持っている人も多いはずです。
今回は、ドラクエ・アベル伝説はなぜ打ち切りに?と言われるのか、その真相や隠された理由、そして物語の本当の結末について、当時の熱狂を知るファンの一人として深掘りしていきます。
勇者が負けて終わる?第一部の衝撃的なラスト
1989年、国民的RPG『ドラゴンクエスト』がアニメ化されるというニュースは、当時の子供たちを熱狂させました。鳥山明先生がキャラクター原案を手掛け、音楽はすぎやまこういち氏(一部除く)。まさに完璧な布陣でスタートした番組でした。
しかし、1990年9月。物語は全32話をもって、視聴者の誰もが予想だにしなかった展開で幕を閉じます。
宿敵・大魔王バラモスとの決戦。主人公アベルは力及ばず、仲間のバハラタは命を落とし、ヒロインのティアラを救い出すこともできないまま、アベルが地面を叩いて慟哭するシーンで画面に流れたのは「第一部 完」の文字。
これを見た当時の子供たちは、「え、ドラクエ負けて終わったの?」「これって打ち切りじゃん!」と絶望しました。勇者が勝てずに終わるという、あまりに救いのないバッドエンド。これが「アベル伝説=打ち切り」というイメージを決定づけた最大の要因です。
ドラクエ・アベル伝説が打ち切り(中断)となった3つの理由
なぜ、第一部はあのような中途半端な形で終わらざるを得なかったのでしょうか。そこには、当時のテレビ業界特有の事情と、アニメ制作における過酷な背景が隠されていました。
1. 裏番組『クイズダービー』という巨大な壁
放送当時、アベル伝説が割り当てられた枠は土曜の夜19時30分。実はこの時間帯、裏番組にはTBSの怪物番組『クイズダービー』が鎮座していました。
「はらたいらさんに3000点」でお馴染みのあの番組です。当時は一家に一台のテレビが当たり前。チャンネル権は父親が握っている家庭が多く、子供が「ドラクエ見たい!」と言っても、「うちはクイズダービーだ」と却下されるケースが多発しました。
結果として、期待されたほどの視聴率が獲得できず、スポンサー企業の判断に影響を与えたことは否定できません。
2. 鳥山明デザインを再現する「作画コスト」の限界
『アベル伝説』の魅力は、なんといっても鳥山明先生のデザインがそのまま動いているような高いクオリティにありました。しかし、そのこだわりが仇となります。
当時のセル画アニメにおいて、鳥山メカや独特のキャラクターラインを維持するのは非常に手間がかかる作業でした。毎週の放送にクオリティを間に合わせることが難しくなり、制作スケジュールが限界を迎えていたと言われています。万全の体制で物語を続けるために、一度「中断」という形をとらざるを得なかったのです。
3. おもちゃ・関連商品の苦戦
アニメ番組の継続には、スポンサーである玩具メーカーの利益が不可欠です。当時はカードダスやフィギュアなどが展開されていましたが、ゲームソフト本編ほどの爆発的なヒットには至りませんでした。
制作費が高騰する一方で、関連商品の売り上げが伸び悩んだことで、放送の継続にストップがかかった。これがビジネス的な側面から見た、実質的な「打ち切り」の真相の一つです。
知られざる第二部「レベルアップ編」の真実
第一部の終了から約3ヶ月後、1991年1月から物語の続きとなる「第二部(レベルアップ編)」がスタートしました。しかし、ここでさらに「打ち切り感」を強める出来事が起こります。
最大の問題は、放送時間の変更です。それまでのゴールデンタイムから、放送局によっては早朝や夕方、あるいはローカル枠へと移動してしまったのです。さらに、一部の地域では第二部自体が放送されないという事態も発生しました。
これにより、「第一部しか見ていない人」が大量に発生し、世間的には「バッドエンドで打ち切られたアニメ」という誤解が定着してしまいました。
実際、第二部は全11話という非常に短い尺で構成されています。バラモスとの再戦、そして真の黒幕である大魔王ゾーマとの戦いまでを、猛スピードで駆け抜けることになりました。この駆け足すぎる展開も、打ち切りの印象を強めた一因と言えるでしょう。
物語の結末:アベルとティアラの再会
あまり知られていない第二部の結末ですが、アベルはしっかりと勇者として覚醒します。
修行を経てレベルアップしたアベルは、伝説の武器や防具を揃え、ついにティアラをバラモスの手から救い出します。そして物語は、浮遊島を舞台にした最終決戦へ。仲間のデイジィ、ヤナック、チチ、カカたちの助けを得て、アベルは聖竜を復活させ、大魔王ゾーマを撃破。
世界に光が戻り、アベルとティアラは故郷のアリアハンへと帰還します。第一部であれほど絶望したファンも、この結末を見れば納得できる、王道のハッピーエンドだったのです。
もし、あなたが「バッドエンドで終わった」と記憶しているなら、それは非常に勿体ないことです。アベルたちは最後、しっかりと勝利を掴み取っていました。
伝説のED曲「夢を信じて」が残したもの
『アベル伝説』を語る上で、徳永英明氏の「夢を信じて」を外すことはできません。この曲は、アニメソングの枠を超えた名曲として今も語り継がれています。
徳永英明 夢を信じてこの曲があまりに大ヒットしたため、「アニメの内容は詳しく知らないけれど、歌は知っている」という逆転現象が起こりました。第一部の切ないラストシーンでこの曲が流れた記憶が強すぎて、多くの人の心に「悲しい物語」として焼き付いてしまったのかもしれません。
歌詞にある「夢を信じて生きてゆこう」というフレーズは、まさに過酷な運命に立ち向かうアベルたちの姿そのものでした。
幻の作品を今から視聴する方法
現在、この『アベル伝説』をフルで視聴するのは、実は少し難易度が高い状況です。
権利関係が非常に複雑で、制作会社や放送局、そしてゲームメーカーであるスクウェア・エニックスなど、多くの企業が関わっているためです。過去にDVD-BOXが発売されましたが、現在は廃盤となっており、中古市場ではかなりのプレミア価格で取引されています。
時折、動画配信サービスで期間限定のラインナップに入ることもありますが、常時配信されているケースは稀です。もし、レンタルショップや配信で見かけることがあれば、それは非常に幸運なことだと言えます。
ドラクエ・アベル伝説はなぜ打ち切りに?理由や結末、伝説のED曲の秘密を徹底解説:まとめ
ここまで、ドラクエ・アベル伝説はなぜ打ち切りに?と言われる真相について詳しく見てきました。
結論として、この作品は決して「失敗作」として打ち切られたわけではありません。裏番組との視聴率争い、高い作画クオリティを維持するための制作遅延、そして放送枠の移動といった不運が重なり、多くの視聴者の目に「中途半端に終わった」と映ってしまったのが真相です。
実際には、アベルは勇者として最後まで戦い抜き、大魔王を倒して世界を救っています。第一部の衝撃的な敗北は、第二部での覚醒をドラマチックにするための演出でもありましたが、当時の放送事情がそのカタルシスを多くのファンに届けることを邪魔してしまったのです。
鳥山明先生の描くキャラクターたちが、すぎやまこういち氏の旋律(一部はアニメ用新曲)に乗って冒険する姿は、今見ても色褪せない魅力があります。
もしチャンスがあれば、ぜひアベルたちの真の結末を見届けてみてください。そこには、あの頃私たちが夢見た本物の「ドラゴンクエスト」が確かに存在しています。
「夢を信じて」のメロディを聴きながら、アベルたちの冒険に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
ドラゴンクエスト アニメ DVD以上、ドラクエ・アベル伝説はなぜ打ち切りに?理由や結末、伝説のED曲の秘密を徹底解説でした。

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