「労災の休業補償を打ち切ると言われた……」
「まだ体が痛くて動けないのに、会社や労基署から支給が終わると連絡が来た」
今、この記事を読んでいるあなたは、そんな不安や憤りの中にいるのではないでしょうか。仕事中の怪我や病気で働けない時、唯一の命綱ともいえるのが労災保険の休業補償給付です。それが突然打ち切られるとなれば、これからの生活がどうなるのか、目の前が真っ暗になるのも無理はありません。
実は、労災の打ち切りには明確な仕組みと、それに対する正当な対抗策が存在します。ただ漫然と受け入れるのではなく、正しい知識を持って行動すれば、引き続き別の給付を受けられたり、決定を覆したりできる可能性があるのです。
今回は、労災の休業補償が打ち切られる本当の理由から、納得できない時の具体的な対処法、そして支給終了後にもらえるお金の種類まで、あなたの生活を守るための情報を余すことなくお届けします。
そもそもなぜ労災の休業補償は打ち切られるのか
労災保険は、労働者が仕事中に負った怪我や病気に対して、本来であれば会社が負うべき補償を肩代わりしてくれる制度です。しかし、この手厚いサポートも「ずっと無制限」に続くわけではありません。打ち切りが検討されるのには、主に3つのタイミングがあります。
「治癒(症状固定)」と判断されたとき
労災の世界でいう「治癒」とは、傷病が完全に治った状態だけを指すのではありません。「これ以上治療を続けても、症状の改善が見込めない状態」も治癒(症状固定)とみなされます。
リハビリを頑張っても痛みが引かない、麻痺が残っているという状態でも、医学的に「これ以上は変わらない」と判断されると、療養の必要がない=休業補償の対象外、となってしまうのです。これが最も多い打ち切りのパターンです。
療養開始から1年6ヶ月が経過したとき
怪我をしてから1年6ヶ月が経っても治っていない場合、労働基準監督署はその状態を再確認します。もしその時点で傷病の程度が重く(傷病等級1級〜3級に該当)、かつ治っていない場合は、これまでの「休業補償給付」から「傷病補償年金」へと切り替わります。
これは給付がなくなるわけではなく、より長期的な支援に移行するイメージですが、手続き上の区切りとして「打ち切り」のような連絡が来ることがあります。
労基署が「平均的な治療期間」を超えたと判断したとき
怪我の種類(骨折や捻挫など)には、ある程度の「標準的な加療期間」があります。主治医が「まだ休ませたい」と言っていても、労基署の顧問医が「この怪我ならもう働けるはずだ」と判断すれば、支給停止の通知が届くことがあります。特に、他覚的所見(レントゲンやMRIで異常が見えないもの)が乏しい腰痛やむち打ちなどは、早い段階で打ち切りの打診が来やすい傾向にあります。
症状固定に納得できない!打ち切り宣告への対抗策
もしあなたが「まだ治療を続ければ良くなるはずだ」「とても働ける状態ではない」と感じているなら、ただ通知に従う必要はありません。納得できない時に取るべきアクションを整理しましょう。
主治医に「治療の継続性」を訴える
労基署が支給を止める根拠にするのは、病院から提出される診断書です。もし主治医が「もうこれ以上は良くならない(症状固定)」と書類に書いてしまえば、それを覆すのは困難です。
まずは主治医に対し、今の具体的な痛みの状況や、リハビリによってわずかでも改善の兆しがあることをしっかり伝えましょう。「まだ治療を続けることで改善の余地がある」という見解を維持してもらうことが、打ち切りを防ぐ最大の防御になります。
セカンドオピニオンで別の視点を得る
今の先生が「もうこれ以上は無理」と言っていても、別の病院では「この治療法を試せばまだ良くなる」という判断が出るかもしれません。転院やセカンドオピニオンを検討し、医学的な観点から「まだ症状固定ではない」という証明を得ることも一つの手です。
「審査請求」という不服申し立てを行う
労基署から正式に「支給停止決定通知」が届いた場合、その決定を知った日の翌日から3ヶ月以内であれば、労働者災害補償保険審査官に対して「審査請求」を行うことができます。
これは、労基署の判断が間違っていないかを再チェックしてもらう制度です。自分でやるのが難しい場合は、社会保険労務士や弁護士などの専門家に相談して、決定を覆すための証拠(医師の意見書など)を揃えるのが得策です。
打ち切り後の生活を支える「次のお金」の種類
休業補償が終わったからといって、手元に入ってくるお金がゼロになるとは限りません。むしろ、打ち切り=次のステージへの移行と考え、適切な申請を行うことが大切です。
障害補償給付(後遺障害)の申請
症状固定と判断されたのであれば、それは「体の一部に障害が残った」ということ。その場合は「障害補償給付」を申請しましょう。
障害の程度に応じて、1級から14級までの等級が決まります。1級から7級までは「年金」として継続的に、8級から14級までは「一時金」としてまとまった金額が支払われます。休業補償が止まった後の大きな支えになるため、診断書を漏れなく書いてもらうことが重要です。
健康保険の「傷病手当金」へ切り替える
もし「労災(仕事が原因)」としての補償は終わってしまったけれど、病状的にまだ働けないという場合、健康保険の「傷病手当金」を受け取れる可能性があります。
労災と健康保険の二重取りはできませんが、労災が止まった後に健康保険側の要件を満たしていれば、給料の約3分の2程度の支給を受けることができます。健保組合や協会けんぽに早めに相談しておきましょう。
失業保険(基本手当)の受給期間延長
怪我が原因で退職せざるを得なくなった場合、ハローワークで失業保険の手続きをします。ただ、すぐには働けない状態だと受給できません。その場合は「受給期間の延長手続き」をしておけば、働ける状態まで回復した後に、しっかりと手当を受け取ることができます。
会社から「打ち切りだから解雇」と言われたら?
労災で休んでいる間に、会社から「補償が終わるならもう辞めてもらう」と言われるケースがあります。しかし、これは法律で厳しく制限されています。
療養中の解雇制限
労働基準法第19条により、仕事中の怪我で休業している期間と、その後30日間は、会社は労働者を解雇することができません。たとえ休業補償の給付が止まったとしても、治療を続けている限り、この「解雇制限」は有効です。
「打切補償」という特殊なルール
混同されやすい言葉に「打切補償」があります。これは労災保険の話ではなく、労働基準法に基づき、会社が直接支払うものです。
療養開始から3年が経過しても治らない場合、会社が平均賃金の1200日分をドンと支払うことで、上記の「解雇制限」を解除して解雇することができるというルールです。ただ、実際にこれを支払う会社は稀ですし、労災保険から傷病補償年金を受けている場合は、この打切補償を支払ったとみなされて解雇が可能になるケースもあります。
いずれにせよ、打ち切り=即解雇が許されるわけではありません。不当な退職勧奨には応じない毅然とした態度が必要です。
心身の負担を減らすために。スマホや環境の活用
闘病生活や手続きのストレスは、想像以上に心身を削ります。少しでも日々の負担を減らすために、身の回りの環境を整えることも立派な「療養」です。
例えば、リハビリや通院の合間に情報を集める際、古いスマートフォンだと画面が見づらかったり動作が重かったりして、それだけでイライラが募るものです。もし快適な操作性を求めるならiPhone 16のような最新デバイスを手元に置いておくと、調べ物や連絡がスムーズになり、精神的な余裕に繋がります。
また、自宅での療養時間が長いなら、長時間座っていても疲れにくいワークチェアや、体を預けられるクッションなど、物理的な快適さを追求するのも回復への近道です。
労災の休業補償が打ち切り?納得できない時の対処法と症状固定後の給付を徹底解説
ここまで、労災の休業補償が打ち切られる理由と、その後の備えについて解説してきました。
最後にもう一度、大切なポイントをまとめます。
- 打ち切りは「治癒(症状固定)」や「期間の経過」が主な理由
- 納得できない時は、主治医と相談し「審査請求」を検討する
- 支給が終わっても「障害補償給付」や「傷病手当金」に切り替えられる可能性がある
- 療養中の解雇は法律で制限されているため、慌てて退職に応じない
労災の打ち切りは、決して「あなたの苦しみが否定された」わけではありません。あくまで制度上の区切りであり、そこから後遺障害の申請や新しい生活へのリスタートが始まると捉えてみてください。
もし今、労災の休業補償が打ち切りになると知らされて不安なら、まずは病院のソーシャルワーカーや、労働問題に強い弁護士に相談することをおすすめします。一人で抱え込まず、利用できる制度をすべて使い切って、あなた自身の権利と生活を守り抜きましょう。

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