「最近、ビッグコミックオリジナルで『昭和天皇物語』を見かけない気がする……もしかして打ち切りになった?」
そんな不安を抱えているファンの方は少なくありません。また、これから読み始めようと思っている方にとっても、これほどデリケートで重厚なテーマの作品が、途中で投げ出されるような形になっていないかは非常に気になるところですよね。
結論から申し上げますと、『昭和天皇物語』は打ち切りにはなっていません。
では、なぜこれほどまでに「打ち切り」という噂がネット上で飛び交うのでしょうか。そこには、この作品が持つ特殊な事情や、歴史を扱う漫画ならではの苦労が隠されています。
この記事では、連載の現状から、噂が流れた本当の理由、そして読者から高く評価されている「物語の核心」について、熱量を持ってお伝えしていきます。
なぜ「昭和天皇物語は打ち切り」という噂が流れたのか?
まず、火のない所に煙は立たないと言いますが、なぜこの作品に打ち切りの噂がつきまとうのか、その背景を整理してみましょう。
原案者・半藤一利氏の逝去による影響
もっとも大きな要因の一つは、2021年に原案者である半藤一利氏がこの世を去ったことです。半藤氏は「昭和史の語り部」として知られ、本作の骨組みを支える圧倒的な知識の宝庫でした。
読者の間では「羅針盤を失った物語が、これ以上先に進めるのか?」という不安が広がり、それが転じて「連載終了(打ち切り)」という予測に繋がったと考えられます。
圧倒的な描き込みによる「不定期連載」
作画の能條純一氏による描写は、もはや芸術の域に達しています。表情の一つ一つ、当時の建物のディテール、空気感。これらを維持するためには膨大な時間とエネルギーが必要です。
そのため、本作はしばしば「休載」を挟みます。一般的な週刊・隔週連載のペースに慣れている読者からすると、「雑誌に載っていない期間=終わってしまった」と誤認されやすいのです。
テーマの「危うさ」に対するメタ的な憶測
昭和天皇という、日本史において最も議論を呼ぶ人物を主人公に据える。このこと自体が、日本の漫画界では極めて挑戦的な試みです。「どこかから圧力がかかって、描きたいことが描けなくなるのではないか」という読者の裏読みが、打ち切り説を補強してしまった側面もあります。
物語は今どこに向かっているのか?
『昭和天皇物語』は、単なる歴史の教科書ではありません。私たちが知っている「歴史的な出来事」の裏側で、一人の人間としての「裕仁(ひろひと)」が何を思い、どう苦悩したかに焦点を当てています。
現在は、昭和初期の軍部が暴走を始める緊迫した時代を描いています。二・二六事件といった国家の根幹を揺るがす大事件を経て、物語はいよいよ戦争への足音が強まる激動期へと突入しています。
歴史の結末を誰もが知っているからこそ、「なぜ止められなかったのか」「その時、天皇はどう動こうとしたのか」という描写に、読者は息を呑んで見守っているのです。
昭和史をより深く理解したい方には、半藤一利氏の著作である昭和史 1926-1945を併読することをおすすめします。漫画で描かれているエピソードの背景がより鮮明に見えてくるはずです。
読者が熱狂する理由と作品の評価
これほどまでに「終わってほしくない」と切望されるのは、本作がこれまでの歴史漫画とは一線を画すクオリティを持っているからです。
「神」ではなく「人間」としての描写
これまでのメディアでは、天皇は「象徴」としての側面が強く強調されてきました。しかし本作では、生物学を愛する一人の青年であり、家族を想う一人の男性としての姿が丁寧に描かれています。その人間味があるからこそ、国家の重圧を背負わされる悲劇性が際立つのです。
組織論としての面白さ
皮肉なことに、この漫画は現代のビジネスマンからも高い評価を受けています。「上が望んでいないことを、忖度した部下が暴走させる」「巨大な組織の中で、トップがいかに情報から隔離され、孤独になるか」という描写は、現代の企業組織にも通じる普遍的なテーマだからです。
昭和の空気感を再現する圧倒的画力
軍服の質感、当時の東京の街並み、そして何より登場人物の「眼」の力。能條純一氏の画力は、言葉以上に多くを語ります。台詞がないコマでも、そこにある緊張感が伝わってくる。この「黙して語る」表現こそが、本作の真骨頂と言えるでしょう。
『昭和天皇物語』をより深く楽しむために
本作を読み進める上で、いくつかの視点を持つとより一層面白さが増します。
- 側近たちの動きに注目する天皇一人の意思だけで国が動いていたわけではありません。彼を取り巻く侍従武官や政治家たちの「思惑」が複雑に絡み合う様子は、上質な政治サスペンスのようです。
- 当時の国際情勢を把握する日本国内だけでなく、世界がどのような混乱の中にあったのか。当時の世界情勢を知ることで、なぜ日本が孤立していったのかというパズルが組み合わさっていきます。
もし、腰を据えてじっくりとこの時代を学び直したいなら、本作を全巻揃えて一気読みするのも手です。最新刊は昭和天皇物語でチェックしてみてください。
完結への道のりと、私たちが期待すること
今のところ、『昭和天皇物語』がすぐに完結するという情報はありません。むしろ、物語が核心に迫れば迫るほど、一コマ一コマの重みが増していくでしょう。
打ち切りの心配をするよりも、今は「この壮大な物語を、作者が最後まで描き切れるように応援する」ことが、ファンにできる最善のことかもしれません。
昭和という時代をどう総括するのか。そして、一人の人間が背負った運命をどう描き切るのか。私たちは今、漫画の歴史に残る「事件」をリアルタイムで目撃しているのです。
まとめ:昭和天皇物語は打ち切り?連載終了の真相と読者の評価
あらためて整理しましょう。『昭和天皇物語』は打ち切りではありません。
現在は、徹底した取材と考証、そして魂を削るような作画作業のために、納得のいくペースで連載が続けられています。原案者の逝去という大きな悲しみを乗り越え、スタッフ一丸となって昭和の真実を追い求めているのです。
「歴史の闇に光を当てる」という困難な作業には、時間がかかります。雑誌で見かけない時があっても、それは物語をより強固なものにするための準備期間だと捉えるのが正解でしょう。
読者の皆さんの熱い支持がある限り、この物語は昭和の終焉、そしてその先の光を見せるまで続いていくはずです。これからも、一歩一歩進んでいくこの壮大な叙事詩を、じっくりと、そして大切に読み進めていきましょう。
次に新刊が出るまでの間、これまでのエピソードを読み返して、見落としていた伏線を探してみるのも贅沢な時間の使い方かもしれません。
今のうちに既刊を読み直したい、あるいは最新の動向を追いかけたいという方は、昭和天皇物語 1から始まる、あの激動の始まりをもう一度体験してみてはいかがでしょうか。

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