「漫画を描いてみたいけれど、一体何ページ描けばいいんだろう?」
「新人賞に応募したいけど、ページ数が多すぎたり少なすぎたりしたら落選しちゃう?」
漫画を描き始めるとき、最初にぶつかる大きな壁がこの「ページ数」の問題です。真っ白な原稿用紙を前にして、ゴールが見えないまま描き続けるのは、地図を持たずに砂漠を歩くようなもの。実は、漫画には媒体ごとに決められた「黄金のページ数」が存在します。
この記事では、プロを目指す志望者から趣味の同人作家さんまで、誰もが悩む漫画のページ数を決める方法を徹底解説します。出版社別の目安から、読者を飽きさせない効果的な話の分量の作り方まで、あなたの創作活動がスムーズに進むヒントを詰め込みました。
なぜ漫画のページ数を最初に決めるのが重要なのか
物語を書き始める前にページ数を決めるべき理由は、ずばり「完成させるため」です。漫画制作は想像以上に重労働。ページ数を決めずに描き始めると、エピソードが膨らみすぎて途中で挫折したり、逆に内容がスカスカで読み応えのない作品になってしまったりします。
あらかじめ「今回は32ページで描き切る」と枠を決めることで、その中に何を詰め込み、何を削るべきかが明確になります。プロの現場でも、雑誌の枠は決まっているため、ページ管理能力は漫画家の必須スキルと言えるでしょう。
出版社・媒体別に見るページ数の目安
まずは、自分がどのステージで作品を発表したいかに合わせて、業界の標準的なページ数を知っておきましょう。
週刊少年・少女漫画誌の場合
週刊連載の場合、1話あたりのページ数は16ページから20ページが一般的です。平均すると18ページ前後が多く、これに表紙や扉絵が含まれます。
新人賞の募集要項では、ストーリー漫画なら31ページという指定をよく見かけます。なぜ「31」という中途半端な数字なのか不思議に思うかもしれませんが、これは雑誌掲載時に「広告」を1ページ挟んで、印刷の基本単位である32ページ(16の倍数)に収めるための業界の知恵です。
月刊漫画誌の場合
月刊誌は週刊誌に比べて1話のボリュームが大きく、30ページから50ページほど割り振られます。特に新連載の第1話は、読者に世界観を強く印象付けるために50ページから60ページ以上の大増量で掲載されることも珍しくありません。
4コマ漫画・ショート漫画の場合
4コマ漫画は、1ページに2本、あるいは1本という構成が基本です。1回あたりの掲載分量は、雑誌なら4ページから8ページ程度。SNSでの投稿なら、画像4枚という投稿制限に合わせて4ページ(16コマ前後)で一区切りにするのが現在のトレンドです。
Web漫画・アプリ連載の場合
Web漫画やスマホアプリの場合、物理的な紙の制約がないため自由度は高いですが、読者の「スクロール疲れ」を考慮する必要があります。1回の更新で12ページから16ページ程度が、集中力を切らさずに読める適切な分量とされています。
読者を飽きさせない「話の分量」の黄金比
ページ数が決まったら、次は中身の配分です。最もポピュラーな「32ページの読み切り漫画」を例に、物語の構成比率を見ていきましょう。
起(導入):約8ページ(全体の25%)
物語の始まりです。「誰が」「どこで」「何をする話か」を提示します。ここで読者を惹きつけられないと、最後まで読んでもらえません。主人公の魅力と、解決すべき問題をスピーディーに見せましょう。
承(展開):約12ページ(全体の37.5%)
物語が動き出し、主人公が困難に直面するパートです。ここでは読者をハラハラさせることが目的。32ページあるなら、ここを一番厚くして、複数のエピソードを重ねることで物語に深みを出します。
転(クライマックス):約10ページ(全体の31%)
物語の最大の見せ場です。主人公が覚醒したり、最大の敵を倒したり、恋が実ったりする瞬間。ここではあえてセリフを減らし、大きなコマ割りで迫力を出すのがコツです。ページを贅沢に使って、読者の感情を揺さぶりましょう。
結(結末):約2ページ(全体の6.5%)
戦いが終わった後の余韻や、登場人物たちのその後を描きます。ここはダラダラ書かず、スッキリと終わらせることで「面白かった!」という読後感を演出します。
初心者が挫折しないためのページ数設定のコツ
「いきなり32ページなんて描けない!」という方は、まずは8ページや16ページの短編から始めることを強くおすすめします。
16ページの構成がおすすめな理由
16ページは、起承転結の基本を学ぶのに最適なサイズです。
- 登場人物は2人まで(主人公と相手役)。
- 舞台設定は1箇所か2箇所。
- テーマは「一つの感情」に絞る。この制限があることで、無駄なエピソードを削ぎ落とす訓練になります。16ページを完璧に仕上げられるようになれば、32ページへのステップアップはぐっと楽になります。
キャラクターの数とページ数の関係
ページ数が少ないのに登場人物を出しすぎると、誰が誰だかわからないまま終わってしまいます。
- 〜8ページ:キャラは1人〜2人。
- 16〜24ページ:キャラは2人〜3人。
- 32ページ以上:ようやくサブキャラや脇役を描く余裕が生まれる。自分の描きたいキャラの数に合わせて、ページ数を調整するのも一つの手です。
制作効率を上げるデジタルツールの活用
ページ数が多い漫画を描くなら、アナログよりもデジタル環境を整えたほうが圧倒的に効率的です。ページの入れ替えや、全体のバランス確認が瞬時に行えるからです。
漫画制作に欠かせないタブレットならiPad Proが人気ですし、より本格的な描き心地を求めるならWacom 液晶ペンタブレットを導入するのも良いでしょう。こうしたツールを使いこなすことで、ネーム(下書きの前段階)の修正が容易になり、ページ数の調整も苦ではなくなります。
印刷を考えるなら知っておきたい「4の倍数」のルール
同人誌を作ったり、自分で本として印刷したりする場合は、ページ数を必ず「4の倍数」に設定しましょう。
本は大きな紙を半分、さらに半分と折って作られるため、1ページ単位で増やすことは物理的にできません。もし物語が30ページで終わってしまったら、残りの2ページは「あとがき」や「イラストページ」「白紙(メモ欄)」などで埋める必要があります。
最初から32ページを目指してネームを切っておけば、こうした調整に頭を悩ませる必要がなくなります。
漫画のページ数を決める方法!出版社別の目安と効果的な話の分量のまとめ
漫画のページ数を決めることは、物語の面白さをコントロールすることと同義です。
- まずはターゲットとする媒体(雑誌、SNS、同人誌など)の標準を知る。
- 自分の実力に合わせて、まずは少なめのページ数から挑戦する。
- 起承転結の黄金比を意識して、エピソードの密度を調整する。
- 印刷する場合は「4の倍数」を意識する。
最初はページ数に縛られるのが窮屈に感じるかもしれません。しかし、決められた枠の中で最大限の表現を模索することこそが、プロの漫画家への近道です。
さあ、あなたもまずは「16ページ」や「32ページ」というゴールを決めて、最初の一歩を踏み出してみませんか?描き終えたときに味わう達成感は、何物にも代えがたいはずですよ。
次は、実際に決めたページ数に合わせて「ネーム」を描く作業に進みましょう!

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