「ジョジョの奇妙な冒険」という長い物語の中で、最強の男といえば誰を思い浮かべますか?多くのファンが、時を止める無敵のスタンド「スタープラチナ」を操る空条承太郎を挙げるはずです。
しかし、そんな承太郎が「死を覚悟するほど」に追い詰められた意外な戦いがあることをご存知でしょうか。相手は屈強なスタンド使いでも、吸血鬼でもありません。たった2匹の「ドブネズミ」です。
今回は、第4部「ダイヤモンドは砕けない」で異彩を放つエピソード、通称「ネズミ退治」に登場するスタンド「ラット」の恐ろしさと、なぜ承太郎がこれほどまでに苦戦したのかを徹底的に掘り下げていきます。
始まりは音石明の「毒針」だった
物語の舞台、杜王町に潜む不気味な影。それは人間だけではありませんでした。事の始まりは、第4部の序盤で世間を騒がせた「弓と矢」です。
これを手にした音石明(レッド・ホット・チリ・ペッパーの本体)は、矢の性能を試すために、その辺にいたドブネズミを射抜きました。その結果誕生したのが、知能を持った恐るべきネズミのスタンド使いです。
東方仗助は、承太郎から「ハンティング(狩り)に行こう」と誘われます。最初は「ネズミ捕りなんて楽勝っすよ」と高を括っていた仗助でしたが、現場に到着して目にした光景に戦慄することになります。
そこにあったのは、肉体をドロドロの「にこごり」に変えられ、キューブ状に固められた老夫婦の姿。ラットの能力は、単なる攻撃手段ではなく、自然界の摂理を歪めた「捕食」のための残酷な力だったのです。
スタンド「ラット」の驚異的な狙撃能力
ラットの本体は、耳の一部が欠けた「虫喰い」と、その相方の2匹です。彼らが操るスタンド「ラット」は、機械的な砲台のような姿をしています。
その最大の特徴は、驚異的な命中精度を誇る「毒針(ダーツ)」の射出です。
肉体を融解させる恐怖の毒針
この針は、命中した生物の肉体を瞬時に溶かしてしまいます。しかも、急所を射抜く必要はありません。指先にかすっただけでも、その箇所から融解が始まり、放っておけば全身がドロドロのゼリー状になってしまいます。
劇中では、承太郎が咄嗟に指で針を弾こうとしましたが、スタープラチナのパワーをもってしても、その「溶かす力」を止めることはできませんでした。触れたら終わり。この圧倒的な制約が、近距離パワー型最強の承太郎にとって最大の壁となりました。
野生の知能が導き出す「跳弾」
本体である「虫喰い」は、ただのネズミではありません。承太郎が「時を止めて避ける」ことを見抜き、それに対抗する策を講じました。
岩の配置を利用して針を跳ね返させ、承太郎が避けた先に別の針が飛んでくるように計算して撃ち込んできたのです。野生の本能にスタンド能力という「武器」が備わったことで、ラットは一流の暗殺者をも凌駕するスナイパーへと進化していました。
なぜ空条承太郎はラットに敗北しかけたのか
多くのファンが抱く疑問。「あの承太郎が、なぜネズミごときにボロボロにされたのか?」という点です。DIOを倒し、数々の修羅場を潜り抜けてきた男が、なぜこれほど苦戦したのでしょうか。
時止め能力の減衰と制約
第3部の全盛期には5秒ほど止められた時は、第4部の時点では数秒(約0.5秒〜2秒程度)にまで短くなっていました。
見晴らしの良い平原で、どこから狙われているかわからない狙撃に対し、わずか数秒の停止時間で接近して本体を叩くのは物理的に困難です。さらに、ラットは時を止めて移動した後の「着地地点」まで予測して追い込んできました。
仗助を育てるための「囮」
承太郎は自分一人で戦うこともできたはずですが、あえて仗助にトドメを刺させる役割を与えました。これは、将来的に杜王町を守るヒーローとなる仗助の「精神的な成長」と「精密射撃の訓練」を意図していたと考えられます。
承太郎は自らが囮となり、何度も針を浴びることでラットの居場所を特定させました。自分の命を懸けて後輩を導く、承太郎の黄金の精神が垣間見えるシーンでもあります。
仗助の「クレイジー・ダイヤモンド」による逆転劇
この絶望的な状況を打破したのは、主人公・東方仗助の機転でした。
承太郎から渡されたのは、ライフルの弾丸ではなく、ただの「ベアリング」。仗助はball bearingsのように小さな金属球を指で弾き、スタンド能力で加速させて撃ち出すという荒業に挑みます。
最初はプレッシャーから外してしまいますが、承太郎が身を挺して稼いだチャンスを活かし、最後は見事に「虫喰い」の眉間を撃ち抜きました。
この戦いは、力押しのバトルではなく「読み合い」と「勇気」が勝敗を分ける、ジョジョらしい知略戦の極致と言えます。
杜王町の平和を守るための代償
戦いが終わった後、承太郎の体はボロボロでした。しかし、彼は涼しい顔をして「ハンティングは終了だ」と告げます。
この「ラット」との戦いは、物語全体から見れば日常の一コマに過ぎないかもしれません。しかし、もしここで承太郎と仗助がネズミに敗北していれば、杜王町は静かに、しかし確実にネズミたちの「食料貯蔵庫」へと変貌していたでしょう。
動物にスタンド能力が芽生えた時の恐ろしさは、後の第6部などに登場する生物スタンド使いたちにも引き継がれていくテーマです。
ジョジョの奇妙な冒険第4部「ラット」徹底解説!承太郎を追い詰めた驚異の能力と強さ:まとめ
今回は、第4部屈指の異色作「ネズミ退治」に登場するスタンド「ラット」について解説しました。
最強の男・空条承太郎をここまで苦しめたのは、巨大なパワーではなく、小さな体と狡猾な知能、そして「触れたら溶ける」というシンプルかつ回避不能な能力でした。
- 本体は知能の高い2匹のドブネズミ
- 能力は当たれば即融解の毒針射撃
- 承太郎は仗助を育てるために自ら囮になった
- 第4部のホラー要素と戦術的おもしろさが凝縮されたエピソード
改めてこの話を読み返すと、承太郎の「無敵ゆえの危うさ」と、仗助の「土壇場での勝負強さ」が完璧に描かれていることがわかります。
もしあなたが、次に杜王町のような静かな田舎町を歩くことがあれば、足元の小さな影に注意してみてください。そこには、人知れず進化した「ハンター」が潜んでいるかもしれません。
次は、第4部のもう一人の重要人物、岸辺露伴とスタンドの関わりについて深掘りしてみるのも面白いかもしれませんね。また別のエピソードでお会いしましょう!

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