「ジョジョの奇妙な冒険」の第9部として連載が始まった『The JOJOLands(ジョジョランズ)』。連載開始当初こそ大きな注目を集めましたが、最近ネット上では「前ほど盛り上がっていないのでは?」「ジョジョランズは話題にならないよね」といった声もちらほら聞こえてきます。
長年のジョジョファンからすれば、最新作がどのような評価を受けているのか、そして本当に「面白くない」のかは非常に気になるところですよね。
今回は、なぜ『ジョジョランズ』が一部で話題になりにくいと言われているのか、その構造的な理由を紐解きながら、実はこれまでのシリーズ以上に「現代的でスリリング」な本作の真の魅力について深掘りしていきます。
なぜ今「ジョジョランズは話題にならない」と感じる人が多いのか
まず、私たちが「話題になっていない」と感じる背景には、作品の質以前に「連載環境の変化」が大きく影響しています。
かつて『週刊少年ジャンプ』で連載されていた第1部から第6部までは、毎週のように衝撃的な展開が供給され、学校や職場でリアルタイムに感想を言い合えるスピード感がありました。しかし、現在のジョジョは月刊誌『ウルトラジャンプ』での連載です。
月刊連載は1話あたりのページ数こそ多いものの、物語が大きく動くまでに時間がかかります。SNS全盛期の今、1ヶ月に1度の更新では、どうしても熱量が持続しにくいという物理的なハンデがあるのです。
また、前作『ジョジョリオン』が約10年という長期連載だったことも影響しています。完結時に一つの区切りがついたと感じて、最新作の開始を追いかけきれていないファンも少なくありません。
さらに、第9部の主人公ジョディオ・ジョースターの特異なキャラクター性も要因の一つでしょう。これまでの「正義感あふれる黄金の精神」とは一線を画す、冷徹で計算高い「ビジネスライクな少年」としての登場は、読者に「これまでのジョジョと違うぞ?」という戸惑いを与えたのかもしれません。
9部が「地味」に見えてしまう3つの理由
「バトルが分かりにくい」「スケールが小さくなった」という意見についても、本作の独自性を理解すると見え方が変わってきます。
目的が「大富豪になること」という現実味
歴代のジョジョは、宿命の敵を倒す、あるいは町を守るといった「運命」や「正義」がテーマでした。しかし、ジョディオたちの目的は「大富豪になること」です。このあまりにも即物的な目標が、一部の読者にはスケールダウンしたように映っている可能性があります。
スタンド能力が「仕組み(メカニズム)」重視へ
ジョディオのスタンド「ノーベンバー・レイン」は、これまでの近距離パワー型のような派手なラッシュを見せるタイプではありません。重圧をかけるという、使いどころを選ぶテクニカルな能力です。バトルの勝敗が「パワー」ではなく、現場の「状況と仕組み」をどう利用するかというサスペンス的な要素にシフトしているため、一見すると地味に見えがちなのです。
主人公たちの「犯罪者」という立ち位置
彼らはハワイで麻薬売買などに加担する「ギャング」側の人間として描かれています。5部のジョルノたちもギャングでしたが、彼らには「麻薬を流さない」という崇高な目的がありました。対してジョディオたちは、よりリアルな「格差社会を生き抜くための犯罪」に身を置いています。この生々しさが、ファンタジーとしての爽快感を求めている層には重く感じられるのかもしれません。
むしろ今が最高?ジョジョランズが提示する「新しい面白さ」
ここからは、なぜ今こそ『ジョジョランズ』を読み込むべきなのか、その圧倒的な魅力について語らせてください。
本作の最大の魅力は、現代社会の「仕組み(メカニズム)」をハックしていく知略戦にあります。キーワードとなるアイテム「溶岩(ラヴァ・ロック)」の登場により、物語は一気に加速しました。
「価値のあるものが自分の元へ集まってくる」という溶岩の性質は、物理的なバトルを超えた「経済的な駆け引き」を生み出しています。誰が持ち主になるかではなく、どうやってその「流れ」をコントロールするか。この概念は、投資やビジネス、ネット社会のアルゴリズムに翻弄される現代人にとって、非常にリアリティのある恐怖と興奮を与えてくれます。
また、ジョジョの奇妙な冒険シリーズの伝統である「予測不能な展開」は健在です。物語の序盤で、まさかの人気キャラクター「岸辺露伴」が登場した時の衝撃は、SNSでも大きな話題となりました。過去作とのリンクを匂わせつつ、全く新しいルールで物語が構築されていく様は、まさに荒木飛呂彦先生の独壇場です。
ジョディオが語る「メカニズム」という言葉は、私たちの日常にも通じる深みを持っています。運が良い、悪いではなく、世界を動かす法則を理解した者だけが頂点に立つ。この冷徹ながらも筋の通った世界観は、読み進めるほどにクセになります。
読みやすくなった「新時代のジョジョ」としての側面
第9部は、実は新規読者や、しばらくジョジョから離れていた人にとっても入りやすい作品になっています。
- 舞台がハワイという開放感: 湿っぽさがなく、カラッとした南国の空気が作品全体に漂っています。
- チームのキャラ立ち: ドラゴン、パコ、ウサギといった仲間たちの個性が非常に強く、会話劇としての面白さが際立っています。
- ファッションの最先端: 荒木先生の画力は今がピークと言っても過言ではなく、登場人物の衣装やポージングの美しさは、もはや芸術の域です。
特にウルトラジャンプで連載されている現在のアートスタイルは、カラー版やコミックスで見た際の情報量が凄まじく、1ページ1ページをじっくり眺める楽しさがあります。
話題にならないという声は、裏を返せば「じっくりと腰を据えて楽しむ大人のサスペンス」へと進化した証拠でもあります。派手な騒ぎにはならなくても、読んだ人の心に確実に爪痕を残す。そんな「静かなる熱狂」が今のジョジョランズには流れています。
まとめ:ジョジョランズは話題にならない?面白くないと言われる理由と9部の魅力を徹底考察
ここまで『ジョジョランズ』を巡る評価や、その独自の魅力について考察してきました。
結論として、「ジョディオ・ジョースターが話題にならない」のではなく、**「語るべきポイントがより高度で、現代的なものにシフトした」**というのが正解に近いのではないでしょうか。
単なる超能力バトルではなく、社会の仕組みや経済の流れ、そして「価値とは何か」という深いテーマを、ハワイの風に乗せて描き出す。これは第1部から続くジョジョの歴史の中でも、非常に挑戦的でクリエイティブな試みです。
「最近のジョジョは追えていないな」という方も、今から単行本で一気に最新話まで追いついてみてください。The JOJOLandsを読み始めた瞬間、あなたもジョディオが仕掛ける壮大な「メカニズム」の虜になるはずです。
「話題にならない」というノイズに惑わされず、自分の目でこの新しい伝説の始まりを確かめてみませんか?きっと、これまでのシリーズとは違う、新しい「奇妙な冒険」に出会えるはずです。

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