「ジョジョの奇妙な冒険」という作品を知らなくても、このフレーズだけは聞いたことがある……という人も多いのではないでしょうか。そう、あの伝説の擬音「レロレロレロレロ」です。
端正なルックスと冷静沈着な頭脳を持つ、第3部の主要キャラクター・花京院典明。彼がなぜ、あんなにも執拗にチェリーを舌の上で転がし続けたのか。そして、アニメ史に残るあの怪演にはどんな裏話があるのか。
今回は、ジョジョファンの間で語り継がれる「レロレロ」の全貌を、初心者の方にも分かりやすく徹底的に深掘りしていきます。
「レロレロ」の初出は第3部・何巻の何話?
まず気になるのが、このシーンが一体どこで見られるのかという点ですよね。原作漫画とアニメ、それぞれの登場回を整理しておきましょう。
- 原作漫画:単行本16巻「黄の節制(イエロー・テンパランス)その(1)」
- テレビアニメ:第3部「スターダストクルセイダーズ」第9話「黄の節制(イエロー・テンパランス)」
物語の舞台はシンガポール。承太郎一行がホテルに滞在している際、突如として花京院が「奇妙な行動」を取り始めます。それこそが、アイスクリームに添えられたチェリーを手に取り、舌の上で高速回転させるあのシーンです。
ジョジョには数多くの印象的な擬音(ゴゴゴ、メメタァなど)が登場しますが、キャラクターの動作と音がここまで完璧に一致し、かつ読者に生理的な違和感を与えたシーンは他にありません。
衝撃の「偽物」によるレロレロ
実は、最初に「レロレロ」を披露した花京院は、本物の花京院ではありませんでした。その正体は、DIOの刺客であるラバーソール。彼のスタンド「イエロー・テンパランス(黄の節制)」は、肉体を変化させて他人に成り代わる能力を持っています。
この時の「レロレロ」には、明確な演出意図がありました。
- 読者への違和感の提示:普段は礼儀正しく、品行方正な花京院が、人前でチェリーを汚らしく弄ぶ。この「キャラ崩壊」によって、読者に「こいつは偽物だ!」と直感させるトリガーになっています。
- 不気味さの強調:ラバーソールというキャラクターの下卑た性格が、この食べ方に凝縮されています。
承太郎はこのあまりの不気味さに「……やれやれだぜ」と呆れ返りますが、結果としてこの奇行が、偽物を見破る決定的なヒントの一つとなりました。
まさかの伏線回収!「本物」もレロレロする理由
多くの読者が「偽物の変な癖だったんだな」と納得した直後、物語は予想外の展開を見せます。戦いが終わり、怪我から復帰した「本物」の花京院が、承太郎の前でまったく同じようにチェリーを「レロレロ」し始めたのです。
これには承太郎も、そして読者も度肝を抜かれました。なんと、あの不気味な動作はラバーソールの創作ではなく、花京院典明本人の「真の特技」であり「大好物の食べ方」だったのです。
なぜ花京院はこれほどまでにチェリーを転がすのでしょうか。
- 唯一のアイデンティティ:花京院は幼少期、スタンドが見える自分を理解してくれる友人がおらず、孤独な日々を過ごしていました。その中で培われた、彼なりの繊細な感覚や「こだわり」が、あの独特なチェリーの食べ方に現れているという説があります。
- ギャップの演出:作者の荒木飛呂彦先生は、完璧に見えるキャラクターに「変な癖」を持たせることで、人間味や愛嬌を出す手法をよく使われます。花京院の「レロレロ」は、その最たる例と言えるでしょう。
アニメ版・平川大輔氏による「魂の17回レロレロ」
アニメ版ジョジョにおいて、このシーンはさらに伝説的なものへと昇華されました。花京院役を演じた声優・平川大輔さんの演技が、あまりにも凄まじかったからです。
通常、台本には「レロレロ」と数文字書いてあるだけなのが一般的ですが、このシーンの収録ではスタッフから非常に高い要求があったと言われています。
- 驚異の舌さばき:平川さんは、実際に飴などを口に含んでいるかのような、生々しく高速な発声を追求しました。
- 回数の指定:一部の情報では、アニメのカット割りに合わせて「17回レロレロと言ってください」という緻密なディレクションがあったとも。
- プロの執念:収録後、平川さんは酸欠に近い状態になるほど全力を出し切ったそうです。
このプロフェッショナルな仕事ぶりがあったからこそ、アニメ版の「レロレロ」は、視聴者の耳から離れない中毒性を持つことになりました。
元ネタはある?チェリーを転がす文化
実は、チェリーの茎を口の中で結ぶ、あるいはチェリーを器用に扱うという行為自体は、古くから「器用さの証明」として知られています。
しかし、ジョジョにおける「レロレロ」は、茎を結ぶことが目的ではなく、あくまで「チェリーそのものを転がして楽しむ」という独自の美学に基づいています。荒木先生の作品には、イタリア料理を美味しそうに食べる描写など、食に対する独特のこだわりが見られますが、花京院のチェリーもまた、彼なりの「究極の味わい方」なのかもしれません。
ちなみに、ジョジョファンなら一度はさくらんぼを買って真似をしてみたことがあるはず。ですが、実際にやってみるとあのスピードで音を出しながら回すのは至難の業。花京院の精密動作性の高さ(あるいは舌の筋肉の凄さ)を思い知らされる結果になります。
ネットミームとしての拡散とグッズ展開
「レロレロ」は、今やジョジョを象徴するネットミーム(流行語)として定着しています。SNSでは、何かに執着している様子を表現する際に使われたり、ファンアートの題材になったりすることも珍しくありません。
公式もこの人気を放っておくはずがなく、過去には驚きのグッズも登場しました。
- 花京院のレロレロキャンディ:チェリー味の飴で、なんと花京院の顔がデザインされたパッケージ。
- フィギュアの差し替えパーツ:花京院の可動フィギュアには、わざわざ「レロレロ用の舌パーツ」や「チェリー」が付属することもあります。
これほどまでに一つの擬音が愛され、商品化までされるキャラクターは、漫画界全体を見渡しても非常に稀有な存在です。
花京院典明という男の魅力と孤独
「レロレロ」ばかりが注目されがちですが、花京院というキャラクターの本質は、その高潔な精神にあります。
彼はDIOの呪縛から救ってくれた承太郎たちに対し、深い恩義と友情を感じていました。旅の最中、彼は自分のスタンド「ハイエロファントグリーン(法皇の緑)」を駆使し、幾度となく一行をピンチから救います。
あの「レロレロ」という奇行は、彼がようやく見つけた「自分をありのまま受け入れてくれる仲間」の前だからこそ、リラックスして見せることができた「素の自分」だったのかもしれません。そう考えると、あの滑稽な音さえも、どこか愛おしく、そして切なく聞こえてはこないでしょうか。
もし、これからジョジョを読み始める、あるいはアニメを観るという方は、ぜひこのシーンの前後にある花京院の心の機微にも注目してみてください。
ジョジョ花京院の「レロレロ」とは?何話で見れる?チェリーを転がす理由と元ネタ解説のまとめ
「レロレロ」は、単なるギャグシーンではなく、花京院典明というキャラクターの二面性、そして物語の緊迫感を高めるための素晴らしい演出でした。
偽物の不気味なパフォーマンスから始まり、最終的には本物のチャーミングな(?)特技として着地する。この流れるような構成こそが、ジョジョという作品が持つ「奇妙な」魅力の真骨頂です。
アニメでその圧倒的な音圧を確認するもよし、原作で荒木先生の緻密な描写を堪能するもよし。次にチェリーを食べる時は、ぜひ心の中でそっと「レロレロ」と呟いてみてください。きっと、花京院が感じていた世界が少しだけ理解できるはずです。
もし、あなたがこのシーンをきっかけにジョジョに興味を持ったなら、ジョジョの奇妙な冒険 第3部 カラー版などをチェックして、エジプトへの長い旅路を共に歩んでみてはいかがでしょうか。そこには、レロレロ以上の衝撃と感動が待っていますよ。

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